燃える林業普及員~林業復活に魂を注ぐ日々~

島根県東部農林振興センターの林業普及員が、日々の取り組みを通じて森林・林業の最新情報をお伝えするブログです。

ハチに気をつけたい季節です。

2005-08-23 | Weblog
8月も下旬になり、山に入るには最も気をつけないといけない時期です。
 何に気をつける?
 もちろんハチ、特にオオスズメバチが要注意です。
 詳しく書くと終わらなくなりますので、後日この続きは書きます。
 
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 オオスズメバチが「日本で最も危険な野生生物」とさえいわれるのは、毎年何人もの人が、このハチに刺されて死亡しているからです。普通の人が被害に合う確立が高いのです。最も恐れられている毒蛇ハブや、実態以上に怖がられているクマよりも、危険性は上かもしれません。
 
オオスズメバチ
 日本には7種類ほどのスズメバチがいますが、その中で最も大きな種類です。体長は約3センチから5センチ近くもあります。おもに地中に巣を作って、女王バチを中心に社会生活をします。エサは、アシナガバチなどのハチやその他の昆虫です。捕まえると肉団子にして巣に持ち帰ります。また、クヌギなどの樹液にもやってきます。
 働きバチは、獲物を捕まえるのには強い大あごを使いますが、自分自身や巣を守るときには、お尻(腹部の先端)にある強力な針で外敵を刺し、強い毒液を注入します。スズメバチの仲間の中でも、攻撃性も毒の強さも最大です。


オオスズメバチの何が危険
 最も恐ろしいのは、刺された人が「アナフィラキーショック」を起こして死亡することがあるからです。これは一種の抗原抗体反応(アレルギー反応)です。最初に刺されたとき、その毒(タンパク質の一種)に対する抗体が体の中にできるため、次に刺されたときに、毒(抗原)に抗体が激しく反応して強いショック症状を起こします。治療が遅れると死亡します。たった1匹に刺されただけでも死に至ることがあるのです。
 抗体ができていなくても、毒がとても強力なのです。内臓などへの影響も小さくありません。集団で攻撃してくるハチに何ヶ所も刺されると、それだけで命の危険があります。


オオスズメバチから身を守る
○服装に注意
 ハチは、黒くて動くものに対して攻撃する性質があります。スズメバチがいそうな場所へ行くときは、黒い服装は避けましょう。黒髪も帽子をかぶるなどして隠すべきです。
 また、ハチは各種のフェロモンにコントロールされて生活する昆虫で、においに敏感です。自然の中へ出かけるときは化粧品はできるだけ使わないようにしましょう。
○ハチを刺激しない - 探索中のハチに合ったとき
 林の中で、獲物を探しているオオスズメバチに合うことがあります。あまりに大きいので、近くに飛んでくるとパニックになって、逃げ回ったり、追い払おうと手を振り回したりしがちですが、それはハチを怒らせる行為です。ハチは自分が攻撃されていると勘違いして、身を守るために反撃してきます。探索中のハチは人に合っただけで刺したりはしません。じっと動かないでやり過ごすのが正しい対処法です。
○巣に近づかない
 社会性の昆虫であるスズメバチは、巣を守るために生きているといっても過言ではありません。巣を攻撃してくる敵に対しては、集団で猛烈に反撃します。
 もし複数のスズメバチが飛びまわっているのに出合ったら、近くに巣がある可能性があります。それらのハチがカチッカチッというような音を立てているときは、確実にそこに巣があります。この音はハチが大あごを打ち合わせて出す音で、「これ以上巣に近づいたら攻撃するぞ」という警告音なのです。そのような場合は、速やかにしかも静かに、その場を離れてください。
 遠足の小中学生がスズメバチに襲われたというニュースをよく見ます。大勢の子供達が、スズメバチの警告に気づかずにドタバタと巣の近くを歩くからで、地中に巣のあるスズメバチはその振動を感じて、巣が攻撃されると思って集団で反撃するのです。いったん攻撃フェロモンが撒き散らされると、まるでスイッチが入ったように攻撃モードに転じ、ハチは狂ったように襲ってきます。大事なのは、早期に危険を察知して回避することです。
 もし人家の近くでスズメバチの巣を見つけたら、危険を減らすために、その巣とハチは駆除すべきです。でも、間違っても自分で退治しようなどと考えないでください。スズメバチ駆除の専門家にお願いしましょう。

○万一刺されたら
 まず、注入された毒液を速やにかつできるだけ多く取り除くことが重要です。ハチの毒は水に溶けるので、刺された部分を両手の指で強くつまんで毒を絞り出しながら水で洗い流します。オシッコのアンモニアがハチの毒を中和するというのは迷信ですが、毒を洗い流すためには、水筒のお茶でも何でも使うべきです。薬としては、抗ヒスタミン剤を含有したステロイド軟膏を塗ります。
 応急処置が済んだら、すぐに近くの病院へ行きましょう。ショックの兆候が見られたら、救急車を呼ぶことも考えましょう。もしアナフィラキーショックが起きると、短時間のうちに危篤状態になります。なお、ハチ毒に対する抗体ができているかどうかは病院で調べてもらえます。野外での活動が多い人はあらかじめ調べてもらって、対策(ショックを抑える薬など)を準備しておくとよいでしょう。



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