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不動産受験新報2008年2月号 平成19年度 管理業務主任者試験 解答と解説 その3

2008-01-30 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


管理業務主任者試験
平成19年度 解答と解説 その3
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光


【問 36】 正解 4
1 誤り。1棟の区分所有者全員で構成する管理組合だけでなく,一部共用部分の所有者で構成する管理組合についても,法人となることができる(区分所有法47条,3条)。
2 誤り。管理組合法人の成立前の規約は,管理組合法人についても効力を生ずることになっている(47条5項)。したがって,法人になるに当たって,法人としての規約を定める必要はない。
3 誤り。管理組合法人には,理事を置かなければならない(49条1項)。理事は,法人化されていない管理組合における管理者(25条以下)に当たるものである。したがって,管理組合法人において,理事とは別に管理者を置くことはできない。
4 正しく正解。共用部分に関する損害保険契約に基づく損害保険金の請求および受領は,管理組合法人が区分所有者を代理して行う(47条6項,18条4項)。したがって,法人自身が行うとする本肢は正しく,正解となる。
楽学管理業務主任者 p.80~86「管理組合法人」

【問 37】 正解 3
1 正しい。建替え決議(区分所有法62条)とは,既存の建物を取り壊し,かつ,新たに建物を建築する決議をいう。したがって,マンションが全部滅失した場合は,既存の建物はないのであるから,再建の決議(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法3条)の対象とはなっても,建替え決議の対象とはならない。
2 正しい。建物の価格の2分の1を超える部分が滅失(大規模滅失)した場合において,滅失の日から6月以内に復旧決議(区分所有法61条5項)も建替え決議(62条1項)もなされないときは,各区分所有者は,他の区分所有者に対し,建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる(61条12項)。この買取請求権の行使により,各区分所有者の持分が変わり議決権数も変化することになるから,場合によっては復旧決議も建替え決議もできないこともありうる。
3 誤りで正解。建替え決議に必要なのは,区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数の賛成である(62条1項)。したがって,滅失した部分の価格が建物の価格の2分の1以下であっても,区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数の賛成があれば建替え決議をすることができる。
4 正しい。大規模滅失の場合,区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数の賛成があれば,復旧決議をすることができる(61条5項)。さらに,区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数の賛成があれば,建替え決議をすることもできる(62条1項)。
楽学管理業務主任者 p.94~104「復旧・建替え」,p.131~137「被災区分所有法」

【問 38】 正解 1
1 誤りで正解。一括建替え決議は,すべての建物が区分所有建物でなければならないが(区分所有法70条1項),団地内の特定の建物のみを建て替える場合は,戸建ての建物を含んでもよい。
2 正しい。敷地が団地内建物の区分所有者全員の共有になっている場合でなければ,一括建替え決議はできない(区分所有法70条1項)。
3 正しい。団地内建物の一括建替え決議ができるのは,団地内建物を団地管理規約により団地管理組合が管理することになっている場合である(70条1項)。したがって,団地内建物を棟別の管理組合で行うことになっている場合には,その規約を改正しなければ一括建替え決議はできない。
4 正しい。団地内の特定の建物のみで建替え決議をする場合でも,団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による承認決議が必要である(69条1項)。
楽学管理業務主任者 p.105~111「団地」

【問 39】 正解 2
 本問は,最高裁昭和62年7月17日判決の判決文を素材に,穴埋め形式の問題にしたものである。事案は,問題文にもあるとおり,管理組合が専有部分を賃借している暴力団組長に対して,その専有部分の明渡しを請求したというものである。
 まず(ア)に何が入るかであるが,選択肢には「管理組合」と「管理組合法人」が入っており,ここではいずれかに決めにくい。次に(イ)と(ウ)であるが,判決文の中に「建物の区分所有等に関する法律60条1項に基づき」とあるので,これがヒントになる。区分所有法60条1項に基づき請求できるのは,占有者が占有する専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除およびその専有部分の引渡しである。したがって,(イ)には「解除」,(ウ)には「引渡し」が入る。この2つさえ分かれば正解は2と定まる。そして,当該判決は区分所有法60条1項に基づき訴訟提起する前提として,集会の決議をするには,占有者に対して弁明する機会を与えれば足り,賃貸人である区分所有者に弁明の機会を与えることを要しないとしている。もちろん(エ)には,「弁明する機会」が入る。
 以上により,(ア)には管理組合法人,(イ)には解除,(ウ)には引渡し,(エ)には弁明する機会が入るから,2が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.87~93「義務違反者に対する措置」

【問 40】 正解 3
1 違反する。宅地建物取引業者は,たとえ買主が宅地建物取引業者であっても,宅地建物取引主任者をして,重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならない(宅建業法35条1項・2項)。
2 違反する。重要事項の説明は,宅地建物取引業者の義務であるので,たとえ当該マンションの買主から重要事項説明書の交付を行わないことについての承諾が得られたとしても,宅地建物取引業者は宅地建物取引主任者をして重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならない(35条1項・2項)。
3 違反しないので正解。引渡しの時期については,重要事項の説明を要する事項ではなく(35条1項・2項),37条書面の必要記載事項である(37条1項4号)。
4 違反する。共用部分に関する規約の内容は重要事項として説明しなければならない事項であり,その規約が案の状態であった場合には,その案について説明しなければならない(35条1項6号,同法施行規則16条の2第2号)。
楽学管理業務主任者 p.142「宅建業法の重要事項の説明」

【問 41】 正解 1
ア 適切でない。天災地変等の不可抗力による損壊,購入者の使用上の不注意による場合にはアフターサービスの対象範囲の除外となることが多い。
イ 適切である。アフターサービスの対象範囲は,マンションの専有部分に限られず,共用部分も対象とすることが多い。
ウ 適切でない。アフターサービスの対象は,隠れた欠陥(瑕疵)に限らない。
エ 適切でない。アフターサービスの対象となる部位や欠陥の種類によりアフターサービス期間とその起算日は異なることが多い。たとえば,(1)構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分については,建設会社から分譲会社(売主)に引き渡された日,(2)前記(1)以外の共用部分については,供用を開始した日(区分所有者のうちの1人が最初に使用した日),(3)その他の部分については,当該物件の引渡しの日などである。
オ 適切である。アフターサービスの対象部位は,マンションの基本構造部分に限られず,専有部分内の設備も含むことが多い。
カ 適切でない。アフターサービスは,宅地建物取引業者が,営業政策上または消費者サービスの観点から行う契約当事者間における契約内容をなすものであり,たとえ宅地建物取引業者がこれを遵守しなかった場合でも,宅地建物取引業法に違反することにはならない。
 以上により,適切なもののみの組合せはイとオであり,1が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.147「瑕疵担保責任とアフターサービス」

【問 42】 正解 2
 宅地建物取引業者は,自ら売主となる宅地または建物の売買契約において,買主が宅地建物取引業者でない場合,その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し,瑕疵担保責任を負う期間について,目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除いて,民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない(宅建業法40条1項)。そして,この規定に反する特約は無効とする(40条2項)。民法は売主の瑕疵担保責任の内容を規定し,買主は売主に対し,損害賠償請求をすることができ,また,その瑕疵のために買主が契約の目的を達することができないときは,契約を解除することができることとしている(民法570条,566条1項)。なお,買主の有するこれらの権利は,買主が事実を知った(瑕疵を発見した)時から1年以内に行使しなければならない(566条3項)とされ,瑕疵の「修補請求」は民法上の責任としては規定されていない。
1 誤り。「買主は,損害賠償の請求はできず,……」という特約は,買主に不利な特約なので無効である(宅建業法40条2項)。
2 正しく正解。本肢のような特約をした場合,その特約は無効となる(40条2項)。したがって,民法の原則が適用され,宅地建物取引業者は,買主が目的物に隠れた瑕疵があると知った時から1年以内は瑕疵担保責任を負わなければならない(民法570条,566条3項)。
3 誤り。瑕疵担保責任はいわゆる無過失責任なので,「売主は,瑕疵について故意又は過失がある場合についてのみ,……」とする特約は,買主に不利な特約なので無効である(宅建業法40条2項)。
4 誤り。瑕疵担保責任について何らの取り決めをしなかった場合には,民法の原則が適用され,肢2の解説後段のとおりである。
楽学管理業務主任者 p.147「瑕疵担保責任とアフターサービス」

【問 43】 正解 1
 住宅の品質確保の促進等に関する法律2条(定義)2項(新築住宅)に,「新築住宅とは,新たに建設された住宅で,まだ人の居住の用に供したことのないもの(①建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう」と規定されており,アンダーライン①の部分により,(ア)には「1年」が入る。
 同法95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)1項に,「売主は買主に②引き渡した時から③10年間,住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの隠れた瑕疵について,瑕疵担保の責任を負う」と規定されており,アンダーライン②の部分により,(イ)には「引渡し」が入り,アンダーライン③の部分により,(ウ)には「10年」が入る。
 同法97条(瑕疵担保責任の期間の伸長等の特例)に,「……瑕疵担保の責任を負うべき期間は買主に引き渡した時から④20年以内とすることができる」と規定されており,アンダーライン④の部分により,(エ)には「20年」が入る。
 以上により,用語の組合せとして,最も適切なものは(ア)には1年,(イ)には引渡し,(ウ)には10年,(エ)には20年が入るので1が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.149「住宅の品質確保の促進等に関する法律による規制」

【問 44】 正解 1
1 正しく正解。マンション建替組合の定款には,事業に要する経費の分担に関する事項を定めなければならない(マンションの建替えの円滑化等に関する法律7条6号)。
2 誤り。区分所有法第64条の規定により区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議の内容により,マンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者は,5人以上共同して,定款および事業計画を定め,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事の認可(国土交通大臣の認可ではない)を受けて組合を設立できる(9条1項)。
3 誤り。権利変換計画の原案を作成し,原案について総会の議決を行う(27条7号)。この場合の議決は,組合員の議決権および持分割合の各5分の4以上の特別多数決議である(30条3項)。組合員の4分の3以上の賛成による総会の決議ではない。
4 誤り。マンション建替組合のほか,区分所有者またはその同意を得た者(個人施行者)もマンション建替事業を施行することができる(45条1項)。
楽学管理業務主任者 p.122「マンション建替え円滑化法」

【問 45】 正解 2
1 誤り。定期建物賃貸借契約は,建物の賃貸借で,貸主と借主があらかじめ合意をした契約期間が満了した場合,更新がなく,必ず契約が終了する契約をいい(借地借家法38条),契約期間は,最短,最長ともに制限はなく,何カ月でも何年でもよい。
2 正しく正解。期間が1年以上の定期建物賃貸借契約においては,賃貸人は,期間満了の1年前から6月前までの間に,契約が終了する旨を通知しなければならず,この通知をしなかったときは,通知の時から6月を経過するまで,契約の終了を賃借人に対抗することができない(38条4項)。
3 誤り。床面積が200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借契約では,賃借人が転勤,療養,親族の介護その他やむを得ない事由により自宅として使用することが困難となったときは,1月の予告期間で解約の申入れをすることができる(38条5項)。
4 誤り。定期建物賃貸借契約は,建物の賃貸借で,貸主と借主があらかじめ合意をした契約期間が満了した場合,更新がなく,必ず契約が終了する契約をいう(38条)。したがって,正当事由がなくても,契約期間が満了により当然に終了する賃貸借契約である。

【問 46】 正解 2
1 定められていない。マンションの管理の主体は,マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり,管理組合は,マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう,また,長期的な見通しを持って,適正な運営を行うことが重要である(指針一の1)。
2 定められているので正解。管理組合を構成するマンションの区分所有者等は,管理組合の一員としての役割を十分認識して,管理組合の運営に関心を持ち,積極的に参加する等,その役割を適切に果たすよう努める必要がある(一の2)。
3 定められていない。マンションの管理は,専門的な知識を必要とすることが多いため,管理組合は,問題に応じ,マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら,主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である(一の3)。
4 定められていない。マンションの管理の適正化を推進するため,国,地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは,その役割に応じ,必要な情報提供等を行うよう,支援体制を整備・強化することが必要である(一の4)。
楽学管理業務主任者 p.578「マンション管理適正化指針」

【問 47】 正解 1
ア 誤り。管理業務主任者とは,マンション管理適正化法第60条第1項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう(マンション管理適正化法2条9号)。
イ 誤り。管理業務主任者登録簿に登録の有効期間はない。
ウ 正しい。管理業務主任者は,その事務を行うに際し,マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは,管理業務主任者証を提示しなければならない(63条)。
エ 誤り。国土交通大臣は,管理業務主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,当該他人がその名義を使用して管理業務主任者である旨の表示をしたときであって,その情状が特に重いときは,登録を取り消さなければならない(65条1項4号)。
 以上により,正しいものはウだけであり,1が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.536「管理業務主任者」

【問 48】 正解 2
1 正しい。マンション管理業者は,その事務所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通省令で定める標識を掲げなければならない(マンション管理適正化法71条)。この標識は,別記様式26に記載事項が載っているが,その内容は本肢のとおりである。
2 誤りで正解。マンション管理業者は,管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については,これを一括して他人に委託してはならない(74条)。一括して再委託をしてはいけないのであり,一部であれば再委託も可能である。
3 正しい。マンション管理業者は,管理受託契約を締結したつど,帳簿に必要事項を記載し,その事務所ごとに,その業務に関する帳簿を備えなければならない(同法施行規則86条1項)。
4 正しい。マンション管理業者は,国土交通省令で定めるところにより,当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き,その業務に係る関係者の求めに応じ,これを閲覧させなければならない(マンション管理適正化法79条)。国土交通省令では備えるべき帳簿を「業務状況調書」「貸借対照表」「損益計算書」またはこれらに代わる書面としている(同法施行規則90条1項)。
楽学管理業務主任者 p.517「マンション管理業」

【問 49】 正解 3
ア 誤り。マンション管理業者は,従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは,あらかじめ,当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し,重要事項を記載した書面を交付しなければならない(マンション管理適正化法72条2項)。交付は,区分所有者全員に対してである。
イ 正しい。マンション管理業者は,重要事項説明書面を作成するときは,管理業務主任者をして,当該書面に記名押印させなければならない(72条5項)。
ウ 正しい。マンション管理業者は,管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは,自らが当該管理組合の管理者等である場合または当該管理組合に管理者等が置かれていない場合は,当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し,遅滞なく,73条1項に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない(73条1項)。
エ 正しい。マンション管理業者は,73条1項の規定により交付すべき書面を作成するときは,管理業務主任者をして,当該書面に記名押印させなければならない(73条2項)。
 以上により,正しいものはイ・ウ・エの三つであり,3が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.550「管理業者の業務」

【問 50】 正解 2
1 適切でない。マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準(以下「処分基準」という)は,「指示処分」「業務停止処分」「登録取消処分」をする場合の基準を定める。
2 最も適切であり正解。処分基準によれば,業務停止処分を受けたマンション管理業者は,業務停止期間中において,業務停止の開始日前に締結された管理受託契約に基づく管理事務を執行する行為を除き,マンション管理業に関する行為はできない。
3 適切でない。業務停止処分は1年以内の期間である(マンション管理適正化法82条)。処分基準では最も重い業務停止期間は,90日である。加重すべきときは,1.5倍まで可能。
4 適切でない。処分基準によると,この場合は,登録取消処分となる。
楽学管理業務主任者 p.569「管理業者に対する監督」



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