絵の向こうには何が？

110531.tue.

渋谷SERにて開催中の
絵本作家・村上康成氏の個展「森羅万象」へ。

　　　「村上康成　森羅万象」展
　　　　場所：Gallery SER　〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-5-5 HAKKAビル4Ｆ
　　　　TEL:03-5468-3618 　FAX:03-5468-2016
　　　　日時： 5月24日（火）～6月4日（土）　日曜休み　10:00～19:00




今宵は小さなトークライブ。
「絵の向こうに見えるもの…この星の上で」

19時過ぎに村上氏が登場。
オレンジ色のチェックのシャツに
特注のグリーンののウクレレのなんと似合うこと！
なぜ特注かといえば、ヤマメをかたどった楕円形のウクレレ本体の
上部にポチッと小さな突起物。
これ、ヤマメのアブラビレだそうで（笑）、
ここを作ってもらうのに、プラス10万円！かかったのだとか。
あとで見せてもらったら、ネックの部分に鱗のイラストが・・・！

最近、久しぶりに北海道で釣りに興じてきて、
僕の毛穴が喜んでいます、と話し始める。

まずは、今回の展示作品の解説。
氏いわく、絵本になりにくい絵なのだとか。
絵本にこだわってきた氏としては、
こうした形での個展は初めてで慣れないそうだが、
「昨年秋あたりから、絵本とは別にあらためて、
　一点一点の絵を描きたいという気持がぬらぬら湧き始め、
　ずっと培ってきた森羅万象との愉しみを、
　毛穴でお絵描きしてみたりしています」
とのこと。

氏の絵のテーマはライフワークでもある魚釣りから
すべての自然に広がる。
それは、野球と魚釣りと絵を描くことが大好きだった少年時代を
そのまま連れてきたように。

「レモン」「ニンニク」「バナナ」、
単純な線と形でかもし出す村上氏ならではの絵。
（この連想は、まだまだ僕も若いということで・・・？と笑いつつ）
海の真ん中に椰子の木のはえた島がポツンと。
グレーの地に朧の半月に白椿。
右足の青い裏を見せて木の上で眠るコグマ君。
あえて白塗りをした地に点在する、ボールにグローブ。
キジバトとスズメがつつましく地面をついばむ日常。
画面いっぱいに泳ぐ巨大なクジラ。
夏の白い雲がくっきり映る湖にとんぼとその影。
緑の中にひっそりと居るアカショウビン。（写真ＤＭ）
真一文字に羽根を広げて飛ぶイヌワシ。
氏のトレードマークでもあるヤマメとその影。

まだまだあったが、一つ眺めてはイメージを膨らませ、
ひととき絵の中の住人になり、
また出てきてはじんわり眺める。
そんなことを絵の前で永遠に繰り返していられそうです。

世界中に魚釣りに出かけている氏の記念映像の紹介も。
「やっと会えたね」とでも言ってそうなイトウと
北海道でお見合いしている写真から
誰かの網タイツ（？）を抱いているような？のコイとのツーショット、
バンクーバーアイランドで20年来の願望を果たしたニジマス、
モンゴルで抱えるパイクなどなど
いやはや、うらやましさを通り越して
すばらしいムラカミワールド！
趣味も仕事もどちらも充実して両立させて・・・と傍からはそう見えるはず。
実際そうかもしれないが（笑）、
好きなことをシンプルに追求する楽しさと大切さを改めて感じる。
仕事をするように遊び、遊ぶように仕事をしたいと常々考えている私には
まったくもって偉大なる師匠です！
自然への畏敬を決して忘れない等身大の語り口に酔いしれて
あっというまに時間が過ぎていくのでした。

殺生をすること、そしていのちを思うこと、
それを肌で感じながら表現する。
一見静的でグラフィックアート的な絵の中から
じわじわと湧き上がってくるものは
きっとそうして得てきた彼の想いなんじゃないかな。

…などと思いながら、恒例の（？）ウクレレタイムも堪能。
やさし～～い低音で、自作の曲を3曲。
しばらく放置している我が家のウクレレを
たまには出してあげないと・・・と思い出しちゃった。

　自作ＣＤ発売中♪

ワインとチーズでいい気分になったところで
時間オーバーでお開き。
その後、渋谷の街に繰り出して終電まで2次会。

＜おまけ＞
村上氏とは絵本や曲でお馴染みの中川ひろたかさんが
立ち上げている「みんなともだちプロジェクト」は
今回の震災後、目に見える形で支援金が届くように作られた組織。
村上氏はそのキャンペーンイラストを手がけていて
缶バッジの売上金もその一部になります。
http://www.songbookcafe.com/mintomo/
お忙しい中川氏、終電間近になり、神奈川県まで慌ててお帰りになる。
「彼はキタクの人だから・・・（笑）
　それでリセットしてまた明日も動けるんだ」
隣で村上氏が呟きました。

＜おまけ2＞
村上画伯が被っているベレー帽。
実は何年前だったかな？）私が作らせていただきました～。