<奥能登>
「あ」の音を発し「あ」の音追ひかけて吐き尽くす阿字観想法に入る
清らなる空気を吸ひて瞑想す夏の終はりの蝉時雨のなか
古刹にて三百年経し二幅の幽霊図あはれ子を案じやも
汐風の撫でる稲穂の黄金色棚田はみのりの時を迎へり
潮汲みを三年潮撒きを十年堪へたる浜士(はまじ)への道はるばる難し
蒼穹にぱああっと白き弧を描くその先の先を追ふ浜士の眼
家持(やかもち)もかつて見し景 はろばろと沖へ蒼増す珠洲(すず)の海原
ゆるゆると喉うるほす夏にごり朱塗りの酒器に金彩ゆらり
能登の魚ブリの子どものフクラギの朝市の氷に横たはりをり
樹の皮の面付け海藻の髪を振り御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)打つ夏の闇
「あ」の音を発し「あ」の音追ひかけて吐き尽くす阿字観想法に入る
清らなる空気を吸ひて瞑想す夏の終はりの蝉時雨のなか
古刹にて三百年経し二幅の幽霊図あはれ子を案じやも
汐風の撫でる稲穂の黄金色棚田はみのりの時を迎へり
潮汲みを三年潮撒きを十年堪へたる浜士(はまじ)への道はるばる難し
蒼穹にぱああっと白き弧を描くその先の先を追ふ浜士の眼
家持(やかもち)もかつて見し景 はろばろと沖へ蒼増す珠洲(すず)の海原
ゆるゆると喉うるほす夏にごり朱塗りの酒器に金彩ゆらり
能登の魚ブリの子どものフクラギの朝市の氷に横たはりをり
樹の皮の面付け海藻の髪を振り御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)打つ夏の闇