ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

奥能登・五感の旅③ 短歌編

2016-12-30 23:58:23 | 歌を詠む
 <奥能登>


「あ」の音を発し「あ」の音追ひかけて吐き尽くす阿字観想法に入る

清らなる空気を吸ひて瞑想す夏の終はりの蝉時雨のなか 

古刹にて三百年経し二幅の幽霊図あはれ子を案じやも

汐風の撫でる稲穂の黄金色棚田はみのりの時を迎へり

潮汲みを三年潮撒きを十年堪へたる浜士(はまじ)への道はるばる難し

蒼穹にぱああっと白き弧を描くその先の先を追ふ浜士の眼

家持(やかもち)もかつて見し景 はろばろと沖へ蒼増す珠洲(すず)の海原

ゆるゆると喉うるほす夏にごり朱塗りの酒器に金彩ゆらり

能登の魚ブリの子どものフクラギの朝市の氷に横たはりをり

樹の皮の面付け海藻の髪を振り御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)打つ夏の闇

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