イマカガミ

こころにうつりゆくよしなしごとを・・・

ライアーズ・ポーカー

2007-11-18 22:30:31 | 
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これはものすごく有名な本だけれど、恥ずかしながら読んだことがなかったのだ。
そして、普通は先日紹介した「メイク・マネー!」の前に読むのだろう。
いろいろなところで耳にしたことがある、
当時のソロモンブラザーズで活躍したトレーダーのエピソードが述べられている。
それらのエピソードはあちこちで引用されていったのだろう。

モーゲージやワラントで稼いでいたほのぼのした時代のことがよく分かる。
初期にはMBA保持者もロケット工学者もいなかったし、
設立から長い間利益を出せない状態だったようだ。

この本では、トレーダーの集まりの会社を御することに失敗し、
それゆえソロモンが崩壊していく様子も述べられている。
ソロモンのトレーダーが金融業界のあちこちに、
バベルの塔崩壊後よろしく散らばっていく様子も。
まるで会社としての臨界規模を超えたかのようなありさまだ。

それにしても、グッドフレンドも、メリウェザーも、ラニエーリも、
Wikipediaに載っていないぞ。
どうしたことだ。

ペンギンもクジラも

2007-11-09 23:53:36 | 
秒速2メートルで泳ぐ
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激しくお勧め。

タイトルを見たときは
・流体の中をさまざまなサイズの生物が泳ぐときにはなにやらくりこみ的な、
運動状態に依らない速度に収斂するのだな
とか、
・きっと「ストロークの周波数X1ストロークで進む距離=一定」という関係式がある
という主張なのだろう(いわゆる、ゾウの時間ねずみの時間的な)
などと思ったものだ。
つまり水棲生物に物理的な考察を加えた本なのだと思って手に取ったのだ。

もちろん、そういう側面もなかったわけではないが、
この本の面白さは、著者と主にペンギンのかかわりの部分だ。
そこがなんとも言えずユーモラスで面白い。

例えば、ペンギンを捕まえる方法について述べた部分では
「巣でヒナを抱いているペンギンに姿勢を低くして近づいていく。
クエスチョンマーク「?」形の鉤をつけた棒を、そろそろと伸ばして、
サッと片足に引っかける。棒をゆっくりと手前に引き寄せると、
ペンギンは「おっとっと」といった感じで、意識と顔はヒナの方を向きつつも
足を引っ張られて人間の方にケンケンしながら近づいてくる。」

他にも、群れの中にいる過去に観測機器を取り付けたペンギンを
再度捕獲しようとするときにペンギンが挙動不審になる話や、
海中から水面へ上昇中のペンギンの写真など、
なんとも楽しげな様子が伝わってくる。
尤も、南極で実際に研究をするとそんなことばかりではないわけで、
いいところだけ凝縮した結果なのかもしれないが。

なんとも心引かれる本である。

メイク・マネー!

2007-10-14 23:27:53 | 
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全盛期だったころのソロモン・ブラザーズに在籍していた著者の体験記。
当時のソロモン・ブラザーズの主戦場は他の証券会社が軽視していた
債券や日経平均先物だった。
というのは、他の証券会社は株や債券の引き受けから
多くの売り上げを得ていたため、債券や上場直後の日経平均先物に
あえて手を出す必要がなかったのに対し、
新興のソロモンはそこでしか活路を見出せなかったからだろう。

著者が主に取引していた裁定取引の原理は単純だ。
先物と現物の間の価格のゆがみを見つけて高いものを売り、
安いものを買い、ゆがみが修正されてきたら反対売買をするというもの。
これは別に競争優位を築けるような手法ではなく、
・競合がいない市場で
・先物と現物の間の、少し見つけにくい裁定機会に賭ける
というものだったから、90年代にはうまみのある取引ではなくなっていったのだった。

この本には、かの明神氏のエピソードも出てくる。
O君と書かれているのは、おそらくマネックスの社長だろうな。

小説 新巨大証券

2007-10-12 23:29:31 | 
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バブル後の証券会社とその法人顧客、大蔵省を舞台にした小説。
もう20年近く前のことだが、事実と作家の想像による部分が渾然一体となり
面白い。
解説を読むと、出版された当時に読んでおけば
証券会社の再編など、
この想像の部分が後に現実となった面白さも味わえたようだ。

とばし、にぎりについての知識がないと読んでいても面白くないかも。

図書館にあったのを適当に借りたのだが、
どうやらこの小説はこちらの数年後の様子を書いたもののようだ。
こちらも読んで見るか。

瑣末なことだが、この作者は作中の誰彼かまわず
「~ねぇ」という語尾を発言の中に多用している。
ちょっとそこが気になるのである。

リクルートのDNA

2007-09-19 23:40:46 | 
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リクルート創業のころからの話をぽつりぽつりを書いたものだ。
意外だったことはいくつかあるが、一つ目はリクルートは
江副氏が大学生のころにやっていた大学新聞の広告代理店に起源を持ち、
それゆえ意外と古いということだ。
二つ目は、さぞやしっかりとしたビジネスモデルを持ってはじめたのかと思いきや、
手探りの連続だったということ。
三つ目は、通信回線の卸売りは全く見込みのない事業だったと思っていたが、
当事者としては相応のビジョンを持っていたということだ。

そうであるからこそ、どうしてあのような事件を起こしたのか、
不思議に思うのだ。

なぜ新しい戦略はいつも行き詰まるのか?

2007-09-16 23:47:22 | 
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この本自体の批評をすることはいたって簡単だ。
・この本で批判されている「戦略」は戦略の中でも一部分であり、
 タイトルを読んだ際に受ける、「全ての企業戦略」ではないので
 誤解を招きやすい。筆者の中ではそれが全ての「戦略」なのかもしれないが。
・論旨がとりにくい、あるいは極端な例を拾っており、説得性に欠ける
・他人の言葉を引用しすぎ

内容はさておき、前半で出てくる「戦略のコモデティ化」という言葉自体には
(筆者が意図している範囲とはずれるが)私も膝を打つのである。
どこでコンサルタントの存在意義を見出すか、
それともコンサルタントという職業から、思っているよりも早く足を洗うべきなのか。
悩ましいところである。

サントリー知られざる研究開発力

2007-08-02 00:11:14 | 
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伊右衛門、BOSS、プレミアムモルツ、青いバラなど、
サントリーの製品を取り上げつつその研究開発のいきさつを紹介している。

狙ってヒット商品を出しているその結果だ、ということらしい。
それが真実であればあるほど、
例えば伊右衛門よりいまだに売れている伊藤園のおーいお茶が
どのような開発経緯を経ているのか、
一位を維持するためにどのようなことをしているのかが知りたくなる。

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青春支援企業

2007-07-28 23:47:05 | 
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ドリームインキュベータ(DI)という会社を取材したものだが、
これがなかなか面白い。
DIはコンサルタント出身者が作ったベンチャー向けの、
ファンドとコンサルティングファームのハイブリッドのような会社だと
思っていたのだが、どうやらそう簡単なものではないようだ。
例えば、初期のベンチャーが必要としているものは何よりも人材であり、
人を見つけてくる仕組みが必要であるとのこと。

コンサルタント出身者ばかりかと思っていたところ、
創業8年の現在は、他業界からの人材も増えているようだ。

私がやりたいとぼんやり思っている方向に近い。
しかし、この本を読んでみて一筋縄ではいかないことも分かった。
例えばDIは、有望なベンチャーを探す目利きの部分を
証券会社にアウトソースしている格好になっている。
ここはコアではないのだろうか。
競争優位性や、参入障壁は築けているのだろうか。

それにしても、インサイダーとか大丈夫なんでしょうかね・・・。

見える化

2007-07-25 23:36:38 | 
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いまさら過ぎて申し訳ないですが。
お客さんに対しても通常業務の中で使ってきました。
知ったかぶりしてすみません。

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著者はいわゆる経営戦略よりも、
現場の業務の効率性に興味があるようだ。
経営も見える化の範疇だが、戦略立案ではなく、
立てた後の戦略の扱い方といったメタ経営のような話になっている。

この本では一貫して企業においては、自身が「見える」ことが重要だと説いている。
「見える」とはどういうことかの定義、
「見える」ということの種類を述べた後、
34の例を挙げている。
34もよく集めたものだ。このうち企業名を伏字にしたところは
おそらく著者や著者の所属していた会社が手がけた案件だろう。
一つ一つの例は数ページしか書かれていないので
やや欲求不満である。
もう少し、少数の事例について深く記述したほうがいいのかもしれない。
例えば、工場勤務の社員のスキルのレベルを表した表は、
この本にあるように作成するのは簡単だが、誰が管理するのだろうか。
社員自身が自分のレベルを他人に知られたくないと思う、という問題は
この本に従うと、「打破すべき習慣」であるが、
さすがに社外に漏れるのはまずいだろう。
これまた「打破すべき」考え方と言うのは簡単だが、
具体的に仕組み化するのは難しい。
そういう、「でもどうやって?」には答えていないのが残念。

「仕組み化」という本を私が書こうかな・・・。

アナンシの血脈 (上下)

2007-07-24 21:46:26 | 
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,

神である父親が死んでしまったところから始まるドタバタ劇。
驚くほどすらすら読めます。
気分転換にどうぞ。
ただ、物語の流れに必然性を求める人には向かないかな。

思考のレッスン

2007-07-23 00:16:46 | 
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おそらくコンサルタントが読んでいる割合が高いであろう、
某雑誌にて勧められていたので読んでみる。
自然科学的な思考というより、いわゆる人文科学、社会科学的な思考について
述べられてる。
いや、文学的かな。
センテンスは最後まで頭の中で完成させてから書く、ということが興味深かった。

印象に残ったのは、考える必要性を説いた部分で、
「考えるのに必要な本はもう読んでいるんです。」と述べていたところ。
ああ、この人は本の時間スケールでモノを考えているのだ、ということだ。
コンサルタントや、自然科学者の時間スケールとは違うが、
あえて当てはめると必要な本云々とは、基礎体力的な蓄積であって、
その部分で自説や信念を作り上げ、個々の案件に当てはめていくということだろう。

先週の

2007-07-22 22:40:44 | 
テレビニュースで、豊島区の中央図書館が新しくなったと報道されていた。
そして新設された自動読み取り式の貸出機で本を借りている人の映像が写っていた。

うすうす感づいていましたよ。
というのは、通常祝日になると図書館のホームページがNot Foundになるわけだが、
(これはホームページが格納されているサーバーが公的施設にあるため、
職員が自らの休日には電源を切るためだと推測していた。)
今回は平日になっても復旧しなかったから。
案の定検索してみると、何の予告もなく移転していた

というわけで遅ればせながら行ってみる。
旧大勝軒の向かいにできたビルの中だ。
見ると、
周りにとめてある全ての自転車に駐輪禁止を警告する札が貼ってある。
高まる緊張感。

よく見ると、地下に駐輪所があるようだ。
・・・2時間無料だって。
ありがたやありがたや。
2基あるのに1基しか動かない、3台しか自転車を積めない、
恐ろしく遅いエレベーターで地下へ。
スロープなんていう前近代的な施設はないのです。
見たところ、9人待ってましたよ。

既にアレな雰囲気が漂ってきましたが、
めげずに自転車を止め、
(狭くて隣の自転車にぶつかるので一台おきにしかとめられない)
上へ。

エレベーターに乗ったものの、図書館が何階か分からない。
エレベーター内に案内なんて前近代的なものはないもんね。

何とか、たどり着いた。長かった。
見ると、むちゃくちゃ人がいるね。
自動貸出機があるのに、3箇所にカウンターがあり、30人くらいの司書が
大声で
貸し出しカードを作った人の呼び出しをしている。

でも広いからしばらく行くと声も気にならなくなった。
本は、以前のものを引き継いでいるので代わり映えしないな。

最近興味を持っている靴の本を探してみる。
それらしき棚の前で立ち止まり、目を走らせてみると、
PCR法の発見、男の服装術、Eclipse入門・・・。
斬新な配架方式ですな・・・

一通り本を借りて、世界遺産のビデオも借りて、
ついでにとあることを調べてみた。
冒頭に書いたNHKニュースの中で自動貸出機で借りられていた本は、
かの林望氏がイギリス滞在中にホームステイした家の
オーナーの、ボストン夫人の自伝だった。
(メモリー-ルーシー・M・ボストン自伝)
利用状態を調べてみると・・・
一冊のみ所蔵されており、それが在架ですか・・・。
ま、ちょっとした演出だったんですね。

しばらく前から

2007-07-17 22:36:14 | 
bk1のリニューアルにつき、アフィリエイト機能が廃止されたので
読んだ本のリンクをamazonに張ることにしました。

よろしゅう。

リンボウ先生のへそまがりなる生活

2007-07-15 23:30:22 | 
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最近心の余裕がなく、久々の林望。
一テーマ数ページのエッセイだが、これがなかなかに面白い。
いかにこだわり、いかにトホホな生活を送ってきたか。

語彙もやや高尚な香りがする。
全く持って膝を打つ話もあれば、それは偏屈な思い込みに過ぎないのだと
思うところまで。
書誌学を志すきっかけなど、人生はブラウン運動のように
突発的な作用により思わぬ方向へ進むものだと感じさせられる。