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クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

フレンチ・キス

2006年03月06日 16時11分25秒 | 世界的笑世界
『フレンチ・キス』
(French Kiss ローレンス・カスダン監督 1995 アメリカ)



『或る夜の出来事』でラブコメ好きを告白しちゃいました。なんで好きかなー?とつらつら考えるに、そこにはいつもある女性の影がちらちらすることに気づきました。

その女性の名は、メグ・ライアン。

「世界ラブリーな女性選手権」が開催されたなら、絶対優勝するはず(したはず?)の女性、メグ・ライアン。

まさにラブコメの女王の名をほしいままにした彼女の作品の、ファンの方はたくさんいらっしゃるでしょう。『恋人たちの予感』、『キスへのプレリュード』、『めぐり逢えたら』、『ユー・ガット・メール』…それぞれすてきなんだけど、わたしは『フレンチ・キス』です。メグの魅力が(髪型から衣装から表情から全部ひっくるめて)大爆発!

で、よっく観てみると、この作品、『或る夜の出来事』をかなり意識した作りになっているみたいです。

最初はヒロインに別の婚約者がいる。ヒロインは婚約者に会うために旅をする。旅の途中で別の男性に出会う。ヒロインが荷物をなくす。ヒロインが男物のシャツを着る。こういった基本構造は、『或る夜の出来事』をそのまんま踏襲しています。『或る夜の出来事』のヒロインの父親的な役所も、ジャン・レノ演じる刑事が担っています。

作品の出来としては、残念ながら"本家"に遠く及ばないのですが…。でも、舞台をフランスにうつすことで、独特の雰囲気を造り出すのに成功していて、しかもフランス名所巡り的なダサいことをしていないのが素敵なのです。

メグ・ライアンが現代のクローデット・コルベールだとすれば、クラーク・ゲーブルの役所を演じたのは、これまたわたしの大好きなケビン・クライン(フランス人役)。なぜにフランス人俳優を起用しないのか?という疑問はおいといて、彼の男くさくかつコミカルな演技は最高!メグとワインの味について語り合う場面のやわらかな色調とタッチ、とてもいいです。

ふたりはナイスカップルだと思うのですけども、これ以外に共演作がないのが残念です。


ところで、メグも、ラブコメのヒロインを演じるには、ちょっと大人になりすぎてしまいました(『ニューヨークの恋人』はすでにすこし無理があった)。チャーミングであることに変わりはないですけれどね。

メグ・ライアン以降、ラブコメをうまく演じられる女優が出てきてないようです。ジュリア・ロバーツ?…うーむ。リース・ウィザースプーン?…インテリすぎ。ジェニファー・ロペス?…肉体派すぎ。ケイト・ハドソン?…まあまあいい線いってるかな?他にだれかいます?

コメディエンヌとして大成するのは、アクションヒロインになるより難しいでしょうからね。すぐれたコメディエンヌがいないから、すぐれたスクリューボール・コメディも生まれないのが現状でしょう。

アクターズ・スタジオのトークショーに出演した時の、メグの言葉がとても印象に残っています。
「俳優というものは、楽器のような存在であるべきなのよ。監督の意図を確実に表現してみせられることこそが大切」

…メグ自身の役者としての技倆は別として、こういう謙虚さをもちあわせているからこそ、彼女は多くの人に愛されるのではないかなあ、とその時感じました。その謙虚さが、女優としてもうひとつビッグになるには、マイナスだったのかもしれないけれど…。

それでも、やっぱり、メグが好き。






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