このブログの熱心な読者であるHさんからメールをいただいた。
その中に、5年生の算数教科書を拾い読みした感想があった。
こんな問題についてだ。
(例題)青い針金は1.5mの重さが7.5gです。
赤い針金は0.5mの重さが7.5gです。
それぞれの1mのおもさは何gでしょうか。
ここにわかるようなわからないような線分図が書いてあって、
青い針金 7.5÷1.5=
赤い針金 7.5÷0.5=
「こんな説明で意味がわかるのか」「特に赤い方は2倍した方が簡単なのではないか」というのが彼女の意見だった。
私は返事にこう書いた。
「たぶん、ほとんどの子はわからないと思います。」
これはいわゆる「1あたり」の考え方である。
1.5で割る方はまだしも、0.5で割るという考え方は、この時点ではかなり難しいと思われる。
塾で扱うときも、仕方ないので「2mだったら÷2するでしょ?小数でも同じだから÷0.5」などとアドバイスするが、教える方も教えられる方も今一スッキリしない。
小数の計算方法自体は学ぶ必要があるだろう。
文章題でも「6mのヒモから0.5mのヒモが何本取れるか」などの素直な問題なら、まだわかりやすい。
いったい、この段階で「1あたり」の量を1より小さい数から求める意味がどこにあるのか...?
結局、「÷0.5」は単なる作業で終わってしまう危険性が高い。
よく理解できないままやり方だけ覚えさせられるから、「速さ」でまた0.5時間などが出てきたとき、機械的に「は・じ・き」の図に当てはめて計算することになるのではないだろうか...。
この問題(赤い方)を大人が解くとしたら、ほとんどの人はHさんの言われるように2倍するのではないか。
その方がやっていることの意味が理解しやすいからだ。
1より小さい数で割るという作業はどうも馴染まない。
「1あたり」の量を求めるためには、まず「1」の概念が十分に形成されている必要がある。
そして、そのために重要なのは小数より分数の考え方であろう。
ところがその分数はと言うと、意味は4年生で習うが、それ以降6年生まで、その加減や乗除の計算は忘れた頃に少しずつ登場するのだ。
5年生のこの段階で、「1」の意味が子どもたちに十分理解できているとは思えない。
今の算数では、小数や分数の乗除計算を習ったあとには、細切れのようにそれを使った「○倍」関係の文章題があるが、相互の間には何の脈絡もない。
「1あたり」にしても0.5倍や1/2(2分の1)倍にしても、要は「割合」である。
「割合」という単元は6年で初めて登場するのだが、分数の意味からそこまでを、もっと系統立てて教える必要があるのではないだろうか。
小数の計算しかできない段階ではなく、分数の乗除、比などを習ったあとで「1あたり」や「百分率」を学べば、今よりずっとわかりやすいのではないか。
そこまで学んでいれば、先の問題も「÷0.5」でなく「×2」で簡単にできる。
それで十分ではないか。
「÷0.5」で解かなければならない必然性はどこにもない。
「1あたり」を1より小さい分数から求めるときも同じことだ。
3/4(4分の3)mで6gなら、1m分は6÷3×4=8とすればよい。
そこから少し進んで6×(4/3)=8。
この方が6÷(3/4)よりよほど意味がわかりやすいだろう。
繰り返すが、こういう自在な発想ができるためには、小数だけでなく、分数の乗除や比などを十分に理解している必要がある。
これら6年で習っている内容をもっと早めに学習することも含め、小数・分数以降のカリキュラムを「割合」という概念で再編成すべきではないか。
それが無理なら、5年までは小数も分数も計算問題と単純な文章題だけに限るべきであろう。
中学生でも、とにかくこの「割合」関係が苦手な子が多い。
春期講習用に作った「割合」のオリジナル教材、若干の改善を加えて中学生にも使ってみようと思っている。
※応援してくださる方はクリック(↓)をお願いします!
その中に、5年生の算数教科書を拾い読みした感想があった。
こんな問題についてだ。
(例題)青い針金は1.5mの重さが7.5gです。
赤い針金は0.5mの重さが7.5gです。
それぞれの1mのおもさは何gでしょうか。
ここにわかるようなわからないような線分図が書いてあって、
青い針金 7.5÷1.5=
赤い針金 7.5÷0.5=
「こんな説明で意味がわかるのか」「特に赤い方は2倍した方が簡単なのではないか」というのが彼女の意見だった。
私は返事にこう書いた。
「たぶん、ほとんどの子はわからないと思います。」
これはいわゆる「1あたり」の考え方である。
1.5で割る方はまだしも、0.5で割るという考え方は、この時点ではかなり難しいと思われる。
塾で扱うときも、仕方ないので「2mだったら÷2するでしょ?小数でも同じだから÷0.5」などとアドバイスするが、教える方も教えられる方も今一スッキリしない。
小数の計算方法自体は学ぶ必要があるだろう。
文章題でも「6mのヒモから0.5mのヒモが何本取れるか」などの素直な問題なら、まだわかりやすい。
いったい、この段階で「1あたり」の量を1より小さい数から求める意味がどこにあるのか...?
結局、「÷0.5」は単なる作業で終わってしまう危険性が高い。
よく理解できないままやり方だけ覚えさせられるから、「速さ」でまた0.5時間などが出てきたとき、機械的に「は・じ・き」の図に当てはめて計算することになるのではないだろうか...。
この問題(赤い方)を大人が解くとしたら、ほとんどの人はHさんの言われるように2倍するのではないか。
その方がやっていることの意味が理解しやすいからだ。
1より小さい数で割るという作業はどうも馴染まない。
「1あたり」の量を求めるためには、まず「1」の概念が十分に形成されている必要がある。
そして、そのために重要なのは小数より分数の考え方であろう。
ところがその分数はと言うと、意味は4年生で習うが、それ以降6年生まで、その加減や乗除の計算は忘れた頃に少しずつ登場するのだ。
5年生のこの段階で、「1」の意味が子どもたちに十分理解できているとは思えない。
今の算数では、小数や分数の乗除計算を習ったあとには、細切れのようにそれを使った「○倍」関係の文章題があるが、相互の間には何の脈絡もない。
「1あたり」にしても0.5倍や1/2(2分の1)倍にしても、要は「割合」である。
「割合」という単元は6年で初めて登場するのだが、分数の意味からそこまでを、もっと系統立てて教える必要があるのではないだろうか。
小数の計算しかできない段階ではなく、分数の乗除、比などを習ったあとで「1あたり」や「百分率」を学べば、今よりずっとわかりやすいのではないか。
そこまで学んでいれば、先の問題も「÷0.5」でなく「×2」で簡単にできる。
それで十分ではないか。
「÷0.5」で解かなければならない必然性はどこにもない。
「1あたり」を1より小さい分数から求めるときも同じことだ。
3/4(4分の3)mで6gなら、1m分は6÷3×4=8とすればよい。
そこから少し進んで6×(4/3)=8。
この方が6÷(3/4)よりよほど意味がわかりやすいだろう。
繰り返すが、こういう自在な発想ができるためには、小数だけでなく、分数の乗除や比などを十分に理解している必要がある。
これら6年で習っている内容をもっと早めに学習することも含め、小数・分数以降のカリキュラムを「割合」という概念で再編成すべきではないか。
それが無理なら、5年までは小数も分数も計算問題と単純な文章題だけに限るべきであろう。
中学生でも、とにかくこの「割合」関係が苦手な子が多い。
春期講習用に作った「割合」のオリジナル教材、若干の改善を加えて中学生にも使ってみようと思っている。
※応援してくださる方はクリック(↓)をお願いします!
僕も小数の割算を教えるときはすごく悩みます。
『割算の意味』自体を色々な視点から教えなければならないと感じます。
いまのところ自分の中で、色々な考え方があって、
数直線、線分図で、『いくつ入っているのか』ということや、
『1あたりを求める』という風にしています。
小数の割算の計算の筆算などを教えるときは、
一番小さい小数の位のものが、いくつあるのか?っていうのを数えさせて教えることにしています。
1÷0.5だと、0.1が、10こと、0.1が5こ。
よって、10÷5と一緒。答えは2という風に。
しかし、このような意味よりも、
保護者や、塾自体さえも教える側に求めるのは、『点数』であったりします。
そうすると、割算の意味なんかしらなくたって、
公式覚えて、あてはめて・・・
それこそ、『は・じ・き』に当てはめれば答えはでてしまう。
割合の公式を暗記して、当てはめれば終わり・・
下手したら割合の問題も、あの円を三等分した図で公式暗記・・・
それで点数とって、親も子も喜ぶ。
点数がすべて・・・・
この風潮を変えないことには考える力なんて育ちませんよね・・
完全に「は・じ・き」です。
(地域差があるようで、「み・は・じ」と言っていますが・・・)
うちの娘は、公式に当てはめれば、とりあえず解けるというタイプです。本人は苦手とは思っていないようですが、割り算の意味、ちゃんとわかっているのか心配です。
そう言っている私も、割合とても苦手でした
私もまったく同じ事を考えて、現在教材を作っている最中です。
自分の納得できる式を積み重ねていくのが原点だと思います。時間がかかる方法ですが、図や絵を描いていって、その中から納得できる確かな式を積み上げていくと、やがて公式の意味も理解できるし、公式を導き出すこともできますよね。
「「わかる」より「できる」が先」の意見が採用される世の中ですから、今の状況、われわれに不利は不利ですね。
ダメですなあ。そんな教育をしているから、教育がバカにされるんですよねえ。
いやあびっくりしました。
情けないですね...。
私は単純に整数にしてもいい問題だと思ってしまいました。
>1÷0.5だと、0.1が、10こと、0.1が5こ。
これが一番わかりやすいと思いますが、結局これって分数の発想ですよね。小数より分数の方が視覚化しやすくわかりやすいと思うのですが、なぜあんなに小数にこだわるのでしょうか...。
>この風潮を変えないことには考える力なんて育ちませんよね・・
最終的にはここに行き着きますね。いつかわかってくれる日が来ることを信じて、正しい学習法を進めるしかありません。コツコツがんばりましょう。
あ、なるほど、「み・は・じ」と言う地域もあるんですか...。「距離」の代わりに「道のり」なんですね。
「割合」の教材、完成したら何らかの形で皆さんに使ってもらえるようにしたいと考えています。そのときにはぜひご利用下さい!
>自分の納得できる式を積み重ねていくのが原点だと
>思います。
こだまさんの教材、とても楽しみです。私の教材では、「図や絵を描いて」という部分がどうしても弱いのです。そこは実績のあるこだまさんにお願いして、私の方はその続編的な位置づけの教材になれば...と勝手に考えています。...いかがでしょう?
>「「わかる」より「できる」が先」の意見が採用さ
>れる世の中ですから、今の状況、われわれに不利は
>不利ですね。
絶対に世の中の方が変わります。必ず春は来ます。...ですよね!?
>私は単純に整数にしてもいい問題だと思ってしまい
>ました。
ええ、そうなんです。整数同士にして計算するのが一番賢いやり方だと思います。ただ、それをテクニックとして教えるのではなく、意味を理解した上で自分で気づいてほしいのです。「分数」や「比」が十分に自分のものになれば、小学生でもできると思うんですが...。
針金の問題、黙って娘にさせてみました。
赤いほうは「0.5mは50cmだから~」と言いながら、2倍してオワリ。
青は3で割って50cmの重さを出し、それを2倍して大正解!少数の割り算がわからないと言うので、ちょっとアドバイスはしましたが。
母は大満足!「おぬしらもやるよのう~」とワルのお代官様風に言ったら、「それは『おぬしもワルよのう』って言うときに使うんだよ」と切り替えされた。さすが時代劇フリークの娘よ・・・。
料理のお手伝いで、比や倍の感覚を養うことができますよね。例えばめんつゆをのばす時、「3倍に薄めて」とか「1:2で」とか書いてあるんですよ。こういったことで実感が沸いてくるのではと思ったりもします。
手伝ってくれると母も助かります!
さすが、ひょうさんの娘さん、おみごとです!赤い方はもちろん、青い方の出し方も素晴らしい!今手直し中の教材でも、分数のかけ算を習っていない場合はその解き方を推奨しています。めんつゆの「3倍に薄めて」も、「ジュースの素」として扱ってますよ。料理の手伝いはいろいろな面で理想的だと思います。