アスカ・スタジオ

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長い散歩

2009-11-07 14:50:40 |  映画ナ行
 猛獣や鳥類の親だって懸命に我が子を育てるのに、サチの母のような人間が現れる現世に絶句する。
 然し乍らも、「そんなことは幸せに生きている人間が言うこと」の台詞に再び愕然となる。

 何時もボール紙で作った羽根を着け、メロンパンしか食べないサチ。家庭が崩壊して終ったマッツァンこと松太郎。この奇妙な老幼コンビに、わけありのワタルも一時加わる奇妙な旅。
 「あの子は地獄に居たのだ。警察ならちゃんと調べろ。本当は誰が犯罪者か」松太郎の怒りに、思わず拍手したくなるようなこの衝動は一体何なのか。
 「これって誘拐か?」「誘拐は誘拐だ」「この儘そっとしてやりたいと思った」と呟く刑事の心境が、この映画のテーマを端的に表現していると思った。

 荒んでいた心が次第に変わって行くサチの背に、「シベールの日曜日」が、「ペーパー・ムーン」が重なって来る。
 その度に何処からか流れて来るピアノの旋律が、天使のように清々しい。
 いゃ~!ロードムービーって佳いなぁ。社会の矛盾を鋭く突きつつ、人の心を浄化していくよう。
 「ハリーとトント」。「レインマン」。「スケアクロウ」。「イージー・ライダー」。「リトル・ミス・サンシャイン」。「アリスの恋」等々。
 邦画にもある。「家族」。「幸福の黄色いハンカチ」。「蜂の巣の子供たち」。「有りがたうさん」が、いま、シャボン玉のようにポッカリと浮かんでは消え行く。


 そして、映画の中で実際に髪を切って「長い散歩」を終えた緒形拳も、この2年後に、この世からは消えて逝った。先月は確か一周忌。合掌。

 2006年.日[監督&企画&原案]奥田瑛二 [撮影]石井浩一[音楽]稲本響[出演]緒形拳。杉浦花菜。高岡早紀。松田翔太。奥田瑛二[上映時間]2時間16分[私の評価]85点

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2 コメント

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観なきゃ (みちる)
2010-03-20 02:06:40
ご無沙汰してます。いつも拝見させて頂いてレビューで映画を観たような気持ちになってしまいます。
緒形拳さん、大好きです。いつも本物でしたね。池端さんの脚本でのコンビは秀悦でしたね。
訃報を聞いた時は滂沱いたしました。もう観れないなんて。
この作品も気になっていたのに横着して未だに未見。また会いたいです。
みちるさん、コメントありがとうございます。 (アスカパパ)
2010-03-20 17:22:37
こちらこそ、お久しぶりです。
過分のお言葉をいただき、光栄です。
緒形拳さんは、私も、お気に入り俳優の一人です。訃報に接した時に、追悼文を作りました時も、みちるさんにお読みいただいたと思います。
私も、緒形拳さんの出演作品で、未見のものがあります。機会があれば、観ることに致しましょう。

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