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炎上

2008-11-04 09:58:30 |  映画(エ~オ)
 1950年7月2日、あの金閣寺が炎上した驚きが今も残っている。金閣寺の炎上に関連した映画としては、四本の作品が浮かんで来る。
①三島由紀夫原作「金閣寺」の映画化として、この『炎上』と、
②高林陽一監督『金閣寺』(76)。
③水上勉原作では、田坂具隆監督『五番町夕霧楼』(63)と、
④伊藤俊也監督『白蛇抄』(83)である。

 当然共通性がある物語だ。中でも、金閣寺を鳳閣寺と称して撮られた『五番町夕霧楼』は情感籠もる秀作だったが、金閣寺を驟閣寺と称して撮った『炎上』も、正当派的描写で、格調は高い。

 先日懐かしく観た『赤ひげ』も同様だが、この時代近辺作品の再放映に際しては、冒頭に次の字幕が出る。
 「この映画は現在から見れば配慮すべき表現・用語を含まれていますが、作品のオリジナリティを尊重し、そのままで放送します」と。

 当然ではあるが、久し振りにこの映画を観て思うのは、昔に比べて、人の欠陥を下げ荒む差別語が無くなったことである。1958年に作られたこの映画では、当時普通に使われていた発声障害者に対する差別語が何度も出てくる。
 よく「昔はよかった」という言葉が出るが、「昔は酷かった」ことも分かる。溝口(市川雷蔵)の苦しみが、当時出来たばかりの黙秘権と重なり合って、心に食い込む。
 「仏の道と、寺の住職とは両立しない」という台詞も印象深い。今も同じだと思うからだ。

 市川崑監督は回想形式を巧く使って重厚な出来映えに完成せしめて居る。市川雷蔵に、眠狂四郎の面影は寸部も無い。“名監督は名優を育てる”の格言が、此処にも生き付いている。

 1958年.日(大映)[監督]市川崑[撮影]宮川一夫[音楽]黛敏郎[出演]市川雷蔵。仲代達矢。中村雁治郎。北林谷栄。信欣三。[上映時間]1時間39分[私の評価]76点

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6 コメント

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Unknown (スタンリー)
2008-11-04 22:15:01
こんばんは。
「~オリジナルを尊重しそのまま放送します」というNHKは時には差別用語や死語をカットすることがあり、統一のなさを感じます。
もし勝新の「座頭市」を放送するとしたらどういうことになるでしょうか。
「ど〇〇〇って三度言ってみな、いのちゃネーヨ」は処理が難しいですが、〇〇〇がカットされたらまったく迫力がありません。

「炎上」の夜の炎上シーンは金閣寺・巨大ミニチュア特撮が実写映像そのもので迫力がありました。
大映は「大魔神」のようにミニチュアセット撮影が日本映画では一番優れていると感じます。

宮川一夫さんが炎上する火の粉の表現のため高い金粉を使い、社長(永田さん?)からエライ怒られたと語っていました。
「赤ひげ」といい「炎上」といい、日本映画って素晴らしいですね。 (山口ももり)
2008-11-05 07:16:27
赤ひげは香川京子の殺人鬼を鮮明に覚えています。火付けも・・・市川雷蔵・・・凄いです。
地獄から凄いエネルギーで、地上へ這い出したような地獄の生き残り。悲母観音が、地獄へ一本の雲の糸を下ろす。カンダタの話。芥川龍之介の世界だと思い、忘れられない映画です。「藪の中」あれは・・・「羅生門」京マチ子も忘れられません。芥川の世界って、やっぱり、世界に類のない日本人の心の奥底を描いているのでしょう。絵を描きたいばっかりに御所車に娘を乗せて火をつける・・・なんていう題だったかなあ???記憶はモウロウと霧の中ですが・・・お許しください。
 忘れられない映画って一杯あるんですけど、最近は新聞やTVで、宣伝しない映画のほうが良いことが多いってのは本当にくやしいです。「サラエボの花」なんか・・・凄い映画でした
スタンリーさんへ (アスカパパ)
2008-11-06 17:11:20
>時には差別用語や死語をカット
そうですか。よく注意されてご覧になってますね。
私はそこまで気が付きません。
勝新の座頭市は、ご指摘のところがあるので、放映しない(できない)ということは、聞いたことがあります。
「炎上」の裏話、ありがとうございます。知りませんでした。
「大魔神」シリーズ、面白かったことを思い出しました。
ももりさんへ (アスカパパ)
2008-11-06 17:16:25
「赤ひげ」の香川京子、額のあの青筋には、ぞっとしました。演技力+メーキャップの相乗効果といえましょうか。
ももりさん、沢山の映画を見て居られ、また現在も新作を多く鑑賞されるパワーに、何時も吃驚しています。
アスカパパへ (kju96)
2008-11-12 02:11:47
この作品も印象深い作品のひとつ、三島ファンというより
市川雷蔵の意欲作・・映画って良いですね。
何本か観てますが、やはりこの作品が印象的です。
kju96さんへ (アスカパパ)
2008-11-12 18:44:01
市川監督が市川雷蔵を見事に引き立てましたね。
印象に残る要因の一つでしょうね。

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