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飢餓海峡

2006-05-02 09:19:01 |  映画(カ.~キ)
 これは「レ・ミゼラブル」日本版だ。「舞鶴の実業家、樽見京一郎(三国連太郎)が刑余者更生の為に多額の寄付をした」という記事が新聞に載る。彼は正に日本のジャン・バルジャンであった。東京亀戸の遊郭で、これを知った八重(左幸子)は「この人は、あの時、大金を貰ったあの人に違いない!。一目会ってお礼を言いたい」と思い立つ。

 彼と初めて遭ったのは10年前だった。それは下北半島の山中だった。握り飯を食べる私を見て、ゴクンと生唾を飲み込んだ彼..三国連太郎、迫真の演技が光る。貰った握り飯を貪り食った彼は、その後大湊の遊郭で八重と遊ぶ。彼の足の爪まで切ってやった八重だが、貰った34000円はあまりにも大金だった。恐山の方角に雷鳴が轟く演出が効果的である。

 遙々舞鶴まで赴いて、彼女は殺される。犯人は10年前の1947年9月20日に530人の命を奪った青函連絡船の悲劇を利用し、強盗殺人を犯した犬飼多吉(三国連太郎)。10年後の実業家樽見京一郎であった。与えた情けが仇となる!この悲劇には愕然とする。身を突き刺すような激しい震えを覚える。

 この憎い犯人拿捕に執念を燃やす弓坂刑事(伴淳三郎)が、また素晴らしい味を出す。これがあの「アジャパー」の伴淳か!と脱帽する。左幸子もチリ紙に包んだ犬飼の足の爪に口づけする仕草など実に巧い。その爪が証拠の一品となる脚本も巧い。推理劇としても、松本清張張りの一級品といえる。

 下北の海に蕩々と流れる地蔵和讃の旋律が、この世の無常観を盛り上げて映画は終わる。暗いトーンのモノクロ撮影と相まって、日本映画史上にその名を残す格調高い作品となった。高倉健が実に若々しかったのが印象に残っているこの映画は1987年11月28日に鑑賞した。水上勉の原作も昔読んだ。確かA週刊誌に発表された連載小説だった。

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7 コメント

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アジャパー伴淳の名演技 (kju96)
2006-05-02 16:43:26
日本映画の名作ですね。

脚本が面白かったですね。

三國連太郎、左幸子、伴淳三郎の

存在感は抜群。

有り難うございます (SUKIPIO)
2006-05-03 18:19:13
早速、お引き受け下さいまして、大変有り難うございました。



T・Bとブックマークの登録をさせて頂きました。

今後とも、宜しくお願い致します。
こちらこそよろしくお願いします (アスカパパ)
2006-05-05 14:40:41
また、SUKIPIOさんのブログにも機会を見てお邪魔するつもりをしています。
こんばんは☆ (miri)
2012-05-05 21:22:00
>下北の海に蕩々と流れる地蔵和讃の旋律が、この世の無常観を盛り上げて映画は終わる。
>暗いトーンのモノクロ撮影と相まって、日本映画史上にその名を残す格調高い作品となった。

ものすごい映画でした~!
原作は若い頃読みました。
またこの作品はドラマで見ています。
なので内容はよく知っていたつもりでしたのに、全然違うド迫力で、凄かったです☆

恥ずかしながら、内田叶夢監督初見です。
俳優さんは皆凄かったですが、伴淳さんは懐かしく、左幸子さんは一世一代の演技では?と思いました。
三國さんももちろん素晴らしく、健さんは若かったですね~♪
miri様。 (アスカパパ)
2012-05-06 08:48:44
あのド迫力をmiriさんと共有できて、ほんとうに嬉しいです。

内田叶夢作品は、ほかには「血槍富士」「どたんば」「大菩薩峠(全3部作)」などを見ていますが、やはり、この映画が最高です。
手間味噌ながら、私の生涯映画ベスト100の中で、第40位にランクしていました。
Unknown (宵乃)
2014-01-11 14:22:21
こんにちは!
やっと観終わりました。さすがの一言で、私はちょっとズレた見方をしてしまったんですが、見ごたえある名作だったと思います。

>これは「レ・ミゼラブル」日本版だ。

考えてみれば確かに類似点が多かったですね!
八重さんばかりに意識がいってしまって、10年前の事件の真相まで考えてませんでした。言っても信じてもらえないという事が、この悲劇のはじまりということでしょうか。

またいつか再見する時には印象が変わるかもしれません。
宵乃様 (アスカパパ)
2014-01-13 17:33:27
 私は男性だからでしょうか?。犬飼ばかりに意識がいっていたと思います。
 目線の角度が違うと受け取り方も異なるように思いました。

 彼の背にジャン・バルジャンの影が付き纏いました。
 罪を憎まず人を憎まず。とでもいいますか、どちらの映画も、此の世の無常に想いを馳せ、悟りさえ開かせるような、素晴らしい不朽の名作と思います。

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