アスカ・スタジオ

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アンネの日記

2005-08-05 15:31:35 |  映画(ア)
有名なアンネ・フランクの日記を基に、アムステルダム市の協力で彼女の隠れ家で撮影されたというこの映画。トップカットの群れ飛ぶ鴎から2時間36分の悲痛な訴えが読みとれるようでもある。「ピアノを弾かなくてもよい。最高じゃないか」父のこんな言葉で始まった息の詰まる長い生活。

それでもユダヤ教のお祭りの日は厚い本の中に隠したラジオから流れるウィンナーワルツを踊る老若男女は哀れを誘う。アムステルダムの夜を真っ赤に染めるナチスドイツの爆撃も、屋根裏に流れるベートーベンの運命交響曲とオーバーラップさせて反戦思想をいやが上にも燃えたぎらせている。

共同生活の8人はやはり人間。愛も芽生え憎しみも生まれる。クラーラ、ミーブ夫妻サービスのケーキをファン・ダーン夫人が切ろうとすると「イーデスが切って」と飛ぶ声に、思わず自分自身も経験した食糧難だった戦時中を思い出した。

きめ細かに屋根裏の8人を描写しているが、ベーターの愛猫の活躍は特筆もの、ナチに発見されそうになるところを怪我の功名で救うところなど、下手なスリラー映画など吹っ飛ぶ感あり。戦後、一人だけ生き残ったオットー・フランクが、クラーラ、ミーブ夫妻の家を訪れて、屋根裏に残されていた当時を回想する話は終わる。

非常に素直で真面目な映画という感じを受ける。もちろん反戦思想が骨格を形成している。人間の業とでもいうべきものも十二分に描き尽くしている。サスペンス映画も顔負けする緊縛感もふんだんに盛られている。が何故かインパクトに欠ける。ちょっと平凡な映画に見えるのだ。それは私がユダヤ人ではなく日本人であるからなのか。

いやそんなことはない。それは例えば、一寸した物音にも気をつけねばならぬ環境にも拘らず、外へ聞こえそうな歌を唱いダンスをする、その矛盾性から来ているのかもしれない。「それが映画なんだ」と言ってしまえばそれまでなのだが、、。原題 The Diary of Anne Frank アメリカ映画
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5 コメント

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しかし150分は長い。 (DCP)
2008-05-07 20:57:00
たった今、うん十年振りに再見が終わった所です。勉強不足で、あの「シェーン」と「ジャイアンツ」の監督とは知りませんでしたが淡々と丁寧に描いていますね。Foxがかなり期待したミリー・パーキンスは本作品が映画初デビューとは思えぬ多感な少女役を好演し改めて感服。何よりもその初々しさと唯一外を見る事の出来る窓から遠くを見つめるところとR・ベイマーとの淡いラブ・シーン寸前は素直なカメラ・ワークと相まって実に美しい。あの長い本物のマツゲには何本のマッチ棒が乗るのかと想像したくらい(マジに)。背伸びしてキスする時の脚の美しいのにもびっくり。ただここまで褒めちぎったのに本作品以降は全くの開店休業が悔しい。確かに2時間半の長丁場においてインパクトに欠けますがラブ・ストーリーとして捉えたいです。そうそうFox専用ミュージシャンのアルフレッド・ニューマンの音楽も綺麗でした。見て損はないと思いますコメント・ゼロは不思議だ。(アムステルダムが撮影を許可したとクレジットにありましたが果たしてどこまで?。室内に限って言えばセットと思います)
余談 彼女もダイアン・ベーカーも二人とも今年で68歳。信じられなーい。



間違えました (DCP)
2008-05-08 09:34:05
二人とも70歳が正しかった。尚更、信じられなーい。
DCPさん、ご丁寧に。 (アスカパパ)
2008-05-08 11:56:28
DCPさん、ゼロのコメント欄を埋めて頂き有難う御座います。また、二人の年齢訂正までご丁寧にありがとうございました。

ジョージ・スティーヴンスは「陽のあたる場所」も撮っていますが、私が好きな監督の一人です。
私も、何処までアムステルダムが撮影を許可したのかは知りません。室内の撮影はセットでしょうね。

私は、この映画の冒頭で現れた群れ飛ぶ鴎が、再び現れるラストに“詩”を感じました。
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①隠れ家のドアを、ナチの兵士たちが叩き破る激しい音と怒声。
②不安に駆られ立ち竦む8人の怯えた表情。
③アンネの日記帳のクローズアップ。
④そして、ミリー・パーキンスのナレーション「隠れ家の生活も終わりです。すぐに荷造りの命令です。持ち物はバッグに入る着替え。それだけです。日記さん、残念だわ」
⑤キャメラは、窓外の原から、千切れ雲が浮かぶ空に次第にティルトしていき、鴎が群れ飛ぶ青空がスクリーン一杯に広がる。
⑥ミリー・パーキンスのナレーション「あなたともお別れです」。
⑦父がアンネの日記を読む屋根裏に変わる。
⑧ミリー・パーキンスのナレーション「さようなら。追伸:誰でもいい。この日記を見つけた人は預かっておいて下さい。何時の日か必ず・・」
⑨「終わっている」と呟いたアンネの父は、自分だけ生き延びられた経過をクラーラ&ミーブ夫妻に話す。
⑩三角屋根の窓から、鴎の空が再び覗く。
⑪ミリー・パーキンスのナレーション「わたしはまだ信じてるわ。人の心は美しい」
⑫スクリーン一杯に群れ飛ぶ鴎。
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画面はモノクロでも、空は青でした。
パパさんに敬服致します。 (DCP)
2008-05-08 13:34:11
実に深くご覧になっていますね。私、穴があったら入りたいです。昨日再見したと言え・・。もう何も言えません。この作品は決してないがしろに出来ないとしきりに思う私であります。では明日から2週間ほどご無沙汰しますがパパさんお体に留意され、そうそう傘の忘れ物ないよう。NRではありません、「I shall return」でまた銀幕でお会いしましょう。

そんな~、照れます(汗) (アスカパパ)
2008-05-09 10:18:00
インパクトに欠けるとか書きましたが、真面目な映画だと思います。プロローグとエピローグがシンクロナイズして、地味ながらも纏まりある作品になっていると思います。
そうですか。お気を付けて行ってください。ところで、「I shall return」って、確か、かって、マッカーサー将軍が、コレヒドールから撤退する時に言った言葉でしたね。昔のことは何故こんなによく憶えていめのだろう(汗)

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