アスカ・スタジオ

2011/9/1以降の映画記事は「八十路STUDIO」=(同一人管理blog)とリンクしました。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

大いなる幻影

2005-05-09 08:32:49 |  映画(エ~オ)
昔懐かしい蓄音器の上を、SPレコードが名曲「フルフル」を奏でながら廻っている。
じっと聴入るフランス軍のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)は職工出身。貴族出身のド・ポワルデュ大尉(ピエール・フレネー)と乗った飛行機がドイツ軍に撃墜され、いま捕虜収容所に居る。

20世紀始め、第1次世界大戦の最中だった。彼等は前から居た金持ちユダヤ人のローゼンタール中尉(マルセル・ダリオ)らと脱走用穴掘りを実行する。お互いに今まで歩んできた人生体験は違っていても、一つの目的に向かい一致する。

「ゴルフ場はゴルフをするため。収容所は逃げるため」のセリフが面白い。愉快な演芸会での女装シーンや、ドゥオーモン奪回の報にフランス国家ラ・マルセイエーズを唄う感動的なシーン等があって、完成寸前に、ラウフェンシュタイン、ドイツ軍大尉(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)が所長を勤める収容所に汽車で移送される。

車窓の風景が印象的だ。アルスハイム第2捕虜収容所--センテ第9捕虜収容所--ウインデル**第14捕虜収容所--数々の収容所を眺める三人の息遣いが聞えるようだ。到着した此処はスイスまで近い。脱走のチャンスだ。ロープを樋に隠し、厳しい室内検査も逃れる。

点呼の時、ポワルデュの返事が無かった。屋根でフルートを吹く彼がおとりになり、マレシャルとローゼンタールは脱走する。ラウフェンシュタインは同じ貴族出身として心の交流をしたポワルデュを射殺する。狙ったのは彼の足だったのに手元が狂ったのだ。

ポワルデュの遺骸に、千切ったゼラニウムの花を捧げるラウフェンシュタイン。彼の部屋の妻の写真。窓に映る雪。ジョセフ・コスマの音楽と、クリスチャン・マトラの撮影が実に物悲しい。

何時しか「ユダヤ人」「古狸」と呼び合う仲になっていた二人は、夫と兄弟が戦死し、娘ロッテと暮らすエルザ(ディタ・パルロ)に匿われる。フランス語とドイツ語、お互いに相手の言葉が解らない中に始まる交流。クリスマス・イヴ風景は砂漠の中のオアシス的で情感が漂う。

ただ、あまりにも安全なエルザの家は不自然な感じを受ける。「戦争が終わったら必ず戻ってくる。娘とフランスに行こう」エルザとキスを交わすマレシャル。「国境なんて人間が引いたもの」と呟く二人は「撃つな。スイス領土」の地に達していた。

これは戦争が背景の映画であるが、戦争映画では無い。これは明らかにヒューマニティーな薫りが高い人間映画である。1937年製作、1949年日本公開。原題 La Grande Illusion フランス映画。

コメント (2)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
« 市民ケーン | トップ | ベートーヴェン交響曲第7番 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは☆ (miri)
2010-07-31 11:27:07
>これは戦争が背景の映画であるが、戦争映画では無い。これは明らかにヒューマニティーな薫りが高い人間映画である。

反戦映画と思いますが、人間性を描いていると仰る事に深く共感いたします。

アスカパパさんの記事に書かれてあることと、私の駄文に書いた事が色々とリンクしていて、嬉しいです☆

特にあの空と、ゼラニュウムの事は、小さい事かもしれないけど、大切な事だと思いました、だってルノワール監督だから!!!

日本公開は2次大戦後だったのですネ・・・悲しいような思いがします。私は高3の時にNHKの世界名画劇場で見ました。

今もずっと戦争はなくなっていないから、この映画をもっと沢山の人に見てもらいたいです・・・。特に政治家。
miriさん、こんばんは。 (アスカパパ)
2010-07-31 19:33:54
コメントとTBありがとうございます。

いゃ~、ほんとうに、miriさんのレビューと、多くリンクしていましたよね~。ゼラニウムを始めとして、、。なんだか嬉しいです。

>今もずっと戦争はなくなっていないから、この映画をもっと沢山の人に見てもらいたいです・・・。特に政治家。

miriさんと同じ思いが、私にも伝わります。そうですよね。特に政治家に観て欲しいと思います。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

2 トラックバック

Guten Tag! (nadja in wbo)
Mein Name ist Nadja.Ich bin ein student. Ich lerne Deutsch. Ich wohne in Yokohama.
(1―211) 大いなる幻影 (2回目) (映画鑑賞の記録)
再見 大いなる幻影 (2回目) 1937年・フランス 7月15日(木)2002年頃にBS2でオンエアされたのを録画保存して...