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恐怖の報酬(2回目)

2010-05-22 19:32:33 |  映画(カ.~キ)
 この映画は公開された1954年に見逃してしまい、翌年の6月4日(土曜日)に観た。トップ画像はその時の感想文。誤字等もあるが、その儘、下記にまるごと転記する。
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 昨年度各界ベストテンの一、二位を争った作で、余り賞賛の声が高いので、何時か来たら見ようと思って居たが、今月、公楽小劇で一日だけ公開されたので飛び着いて見に行く。
 満員とはこんなものでは無い。小劇がこんなに人でうまったのを見たのは、今日が始めてだ。これにても人気の程がしのばれる。
 暑く、上着をとり、ネクタイを外しても、ハンカチをしょっちゅう使った。この中で見る映画が又、開巻より暑苦しいメキシコ辺りの田舎町で、熱帯の昆虫を子供がなぶっている所など、雰囲気をまざまざと見せつける。

 この町は廃町とも云うべき所で、警察力も無く、只、アメリカの石油会社があるだけでである。誰もこの町を出たがって居るが、唯一の交通機関のPlaneが非常に高い。
 この時この街を出るチャンスが訪れた。石油会社の油田が火事で、二千弗の懸賞で、ニトログリセリンを約五百粁離れた油田迄運ぶ仕事である。
 そこから此の映画の本領が発揮される。文字通り観客をはらはらさして、四人のうち三人が死に、最後に、金をうけとったマリオも帰りに死ぬ。只、ものすごい映画であった。
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 [ストーリー]+[凄い]だけの文に過ぎない。左斜めに傾き、棘のある下手な字体は、超満員で脂汗を流した余韻か。

 みんなの前で、たった1滴のニトログリセリンを床に零して、その爆発力のすざましさを見せつけるショット。これが此の映画の命。その後の幾多の場面で起こる恐怖感の因は、総て此の1ショットに在る。

 1台に2人が搭乗。2台のトラックが出発する。万一の事故に備えた策である。並みのアクション映画に見られる‘必ず生き残る主人公’という保障は無い。緊張感を倍加させる由縁が此処にも在る。
 ジョーがマリオに言う。「運転するお前の方が気が楽だ」。出発前の各人の性格描写が此処で活きてくる。この演出の鋭さ。
 序でなから、出発前の、不況に喘ぐ気怠い街の描写も秀逸。ビル建設工事中止の残骸が残る足場の空しさよ。

 「なるほど」と納得させるスリリングな場面が続発する。ニトロを摘んだ荷台に零れ落ちる岩石等々。
 「俺はパリで結婚する」と、ビンバ。「俺はこの国が好きだ」と、ルイジ。報酬への欲が恐怖を選ばせているのだった。

 最大の見せ場は、道路工事中で、谷間に飛び出た足場。
 
 1回では廻りきれぬ」「此処で曲がり、ギリギリまで進め」。
 粘土のように滑る木は、所々腐っていた。
 「バックで入り、出発だ」。

 安全分散策は不幸にも的中した。ビンバ&ルイジ車爆発。その跡を通ったマリオ車のジョーも、重油まみれで死ぬ。

 マリオの帰途は極楽だった。“♪美しく青きドナウ”の旋律が、マリオのカー・ラジオと、彼を待ちつつ踊るリンダとの間で流れる。この鮮やかなクロス・カッティング!。
 マリオの車もワルツを踊っていた…。
 

 ところで、先日オン・エアーで見た作品の、マリオ車の最期は、仰向けにひっくり返った車体で、エンド・クレジットとなった。
 が、55年前に映画館で見たラストは、確か、空回りする車輪で終わった筈。
 スティーヴン・スピルバーグ作品『激突!』のラストもそうだった。
 その時「これは『恐怖の報酬』のオマージュ」と思ったもの!。
 そういえば、上映時間も、作品により若干異なっているようだ。

 無駄なカットは、作品価値を下げてしまう。
 この映画をリアルタイムで観ることが出来た幸せに、今、浸っている。

 [私の評価]秀作中の秀作。
 1953年(54公開).仏[監督&脚本]アンリ=ジョルジュ・クルーゾウ[撮影]アルマン・ティラール[音楽]ジョルジュ・オーリック[主な出演者]イヴ・モンタン。ペーター・ヴァン・アイク。ペーター・ヴァン・アイク。フォルコ・ルリ。ヴェラ・クルーゾー[原題]LE SALAIRE DE LA PEUR[上映時間]2時間10分。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (ディープインパクト)
2010-05-22 22:10:10
 この映画は僕が観た映画で最もスリル感を味わった映画です。
 本当に特撮無しでも、スリルのある映画が撮れることの見本となる映画だと思います。
 ニトログリセリンを一滴垂らすだけで、スリル満点の映画が出来ることが素晴らしいです。
 また前半の人物描写が後半の怒涛の展開に活かされていることもこの映画の素晴らしいところですね。
 しかし、この監督の映画は『恐怖の報酬』『悪魔のような女』『密告』の3作品を観ていますがラストシーンはどれも意地悪な終わり方をする監督ですね
 
ディープインパクトさん、こんにちは。 (アスカパパ)
2010-05-23 10:37:32
コメント&TBありがとうございました。
ほんとうに、この映画を観ていると、CGなど、デジタル技術を駆使した今の映画よりも、凄さを感じさせますね。名画だと思います。

そう言われれば、アンリ=ジョルジュ・クルーゾウ作品のラストは…、そうともとれそうですね。

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