アスカ・スタジオ

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熱いトタン屋根の猫

2005-05-08 07:14:43 |  映画(ア)
この映画に出てくるのは、既に自殺していて姿を見せないスキッパーを除き、ポリット家一族のみ。舞台も殆どビッグ・ダディと呼ばれる長老クーパー(パール・アイヴス)の家のみである。舞台劇の映画化だから当然ではあるが。

こういう映画は俳優の演技合戦が見ものだ。物を与えたり旅を楽しませたりするのが愛情と思っているパール・アイヴスは貫禄だが、血色が良くて、その堂々たる体格は到底末期ガン患者に見えないのだけが難点といえる。

他の俳優も熱演している。殊に舞台でも同じ役を務めたという長男の妻メイ(マデレーン・シャーウッド)は抜群に良い。5人の子持ちで更に6人目の子を宿す大きなお腹で、クーパーの財産を狙う言動の一つ一つがリアリティーだ。次男夫婦を演じるブリック(ポール・ニューマン)&マギー(エリザベス・テイラー)を完全に食った感じだ。

尤もエリザベス・テイラーも、夫婦生活に興味を示さぬ夫に対するやるせなさを精一杯に演じてはいるが、なんと言っても美女は損だ。それこそ猫のような顔付きのマデレーン・シャーウッドの前には、どちらがトタン屋根の猫?これは冗談。

独身時代は父親に、結婚後は妻の言いなりに従う長男を演じるジャック・カーソンは稍平凡だが、母アイダ(ジュディス・アンダーソン)は何十年もワンマンの夫に仕えてきた労苦を偲ばせる。昔の母はアメリカも日本も同じだなぁと感じさせられるものがある。

親友スキッパーの死以降、アル中になるポール・ニューマンは、だらしない社会的負け男を演じるが、父親に対して、物では無く、心の愛を求めているのだと叫ぶところだけは実にしっかりしたものだ。一瞬「エデンの東」のジェームズ・ディーンを連想させた。

この次男夫婦に盲目的な愛情を寄せる両親の心理は、出来の良くない子ほど可愛いの諺通りか。

それからもう一つ、忘れられない出演者が居る。長男夫婦の5人の子供だ。冒頭に飛行場でビッグ・ダディーを鳴り物入りで出迎えるシーンを始めとして、実に効果的に顔を見せている。生きた小道具と言ったら叱られるか。

全体的には、セリフが圧倒的に多く、字幕を追うのに忙しい映画だった。その割りに、一瞬たりとも飽きさせなかったのは流石。テネシー・ウィリアムズのピリリッと光る戯曲と、リチャード・ブルックスの冴えた脚本&演出によるものであろう。
ただあくまでも作り話であるから、現実感に稍欠けるところがチラホラと覗くが、やむを得ないだろう。
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