アスカ・スタジオ

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蜘蛛巣城

2008-09-03 16:24:06 |  映画(ク~コ)
 多分4~5回目の鑑賞になると思う。黒澤映画は観る都度、新鮮な匂いに駆られる。そして得体の知れないような奥深さに魅入られてゆく。和製マクベスで知られるこの作品の場合は“運命”というものについて、何時もあれこれと思いを巡らせて仕舞う。
 「その事実を作り予言が当たったと言う」台詞が食い込んでくる。運命は作られる。鷲津武時(三船敏郎)の妻、淺茅(山田五十鈴)によって。「三木義明が事実を漏らしたら・・」夫を操るその巧さは鳥肌もの。

 冒頭で予言する物の怪、浪花千栄子にも凄さを感じる。武時と三木義明(千秋実)が濃霧の山中で遭遇する彼女に「ハムレット」の父の亡霊が重なって仕方がない。
 祝宴に待ち人来たらず。空席の幻に斬りつける武時哀れ。落ち目になると人寄りつかず。現代にも屡々見られる現象である。武時に哀れみの念ひとしおなり。最期の壮絶さには参ってしまった。


 全編に亘って発露されている能の威力の見事さ。武者が乗る馬と人の動きの見事さ。流石“動”の黒澤だ。欠陥は聞き取り難い台詞があること。特に冒頭に戦況報告をしに来る武者の台詞。いったい何を言っているのか、さっぱりだった。1点減点。

 1957年.日[監督]黒澤明[撮影]中井朝一[音楽]佐藤勝[出演]三船敏郎。山田五十鈴。千秋実。佐々木孝丸。浪花千栄子。志村喬[上映時間]1時間50分[私の評価]79点

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8 コメント

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アスカパパへ (kju96)
2008-09-04 01:13:32
こんばんわ
何回見てもいい映画ですよね。
娯楽作品の黒澤は世界一ですね。
インディ・ジョーンズの成功もこの映画がなかったらと
思うと黒澤の功績は凄いですね。
確かにアメリカ人が好みそうな映画ではありますが・・。
大好きな映画の一本です。

色んな映画 (由羽)
2008-09-04 04:49:34
私も色んな映画を見たいと思っているこの頃です。
映画って、きちんと感性を持ってみると、自分の生き方に繋がる気がします。
最近見ていないのでツタヤに通おうかなぁ。
由羽さんへ (アスカパパ)
2008-09-04 12:26:50
映画は人生の縮図のような気がします。
自分に合いそうな映画を観られるのが、最もいいと思います。
どれが佳い映画で、どれが悪い映画かは、人によってみんな違いますから。
kju96さんへ (アスカパパ)
2008-09-04 12:35:33
いい娯楽映画は、月並みな芸術映画なら、傍にも寄せ付けないパワーを持っていると思います。何が娯楽で何が芸術か、微妙なものはありますけれども。
明後日のBS超弩級の娯楽映画「七人の侍」に、お久しぶりに再会出来るのを今か今かと待っています。
Unknown (スタンリー)
2008-09-05 21:10:29
こんばんは。
仰るように黒澤映画のスタンダード作品の録音は良くないですね。私はこの映画では合戦で三船が馬に乗って喋っているセリフが「ナムサン」意外全然判りません。
アスカパパさんの指摘されました冒頭の伝令のセリフも判り難いですね。
同じ東宝でも、成瀬作品は録音がしっかりしているのですが、これは未だ謎です。
しかし、この作品も私の好きな黒澤作品です。
構成が音楽でいうところのトリオ形式になっていますね。
「むかし・むかしこういうことがあったとさ」という展開。
ショパンのパラードの2番のようです。
スタンリーさんへ (アスカパパ)
2008-09-06 13:44:45
そうです、そうでした。馬上の三船敏郎も確かにそうでした。言われてみれば確かに成瀬作品はそんなことはありませんね。もしかして、黒澤さんがわざと?まさか!ほんとうに、東宝の七不思議に入りそうです。

クラシック音楽に準えてのご批評、素晴らしいです。
Unknown (ボー)
2009-03-06 07:12:06
今回の鑑賞で、物の怪が浪花千栄子さんだと知りました。何かの映画で見たことがあるはずなのですが。
あの物の怪、おじいさんかと思いました。。。

山田五十鈴さんも、恐ろしい演技ですね。話すときの静かな情念、いざ動くときの機敏さ、手を洗う場面も、見事に的確!
ボーさんへ (アスカパパ)
2009-03-07 16:37:31
浪花千栄子さん、あこまでやるとは。
凄いという言葉は、この映画のこのシーンの彼女のためにあるという思いさえしました。

それから、仰る通り、私も、山田五十鈴さんの、あの手を洗う場面。これには鳥肌が立ちました。

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黒澤明監督作品の中では、もう一度見てみたい度が、いちばん大きかった映画。 (といっても、黒澤映画はそれほど多くは見ていないが。)