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雨月物語

2005-06-22 12:14:08 |  映画(イ~ウ)
私はこの映画を1953年4月5日に奈良映劇で見た。死霊の若狭(京マチ子)に取り憑かれた男の怪奇な話に、ぞっする恐怖感を覚えた。

深い霧が立ちこめる若狭の屋敷を初めとする宮川一夫の撮影や、能の動きを採り入れたという京マチ子の演技は、早坂文雄の臨場感ある音楽も伴って、見事な幽玄の世界を醸し出していた。

だかその後何度とこの映画を鑑賞するうちに、その裏に隠された、現代にも通じる教訓を含む映画であると思うようになって来た。

ここ近江の国では秀吉と柴田勝家が戦っていた。商人に憧れていた陶工の源十郎(森雅之)は妻の宮木(田中絹代)と子を連れて、京に上る旅に出る。
侍に憧れていた源十郎の義弟、百姓の藤兵衛(小沢榮太郎)もまた、妻の阿浜(水戸光子)を伴い同行する。だがもともと上京に反対していた彼等の妻子たちとは途中で別れてしまう。

家族を捨ててまで意思を貫いた二人の男は京で目的を達する。このような男の仕事欲、名誉欲、出世欲は、少なくともバブルが崩壊する時点までは世の中に通用していた。
私自身も多少はその傾向があった。だかその結果は最悪の場合、家族崩壊に繋がる。弟の妻は遊女に、兄の妻は死んでいたのだ。

溝口健二監督は、人間の真の生き方を世に問うために、絶対にカラー作品では表現出来得ぬこの傑作幻想映画を、モノクロトーンで完成させたのではないだろうか。

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1 コメント

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コメントありがとうございました (マヤ)
2005-06-22 16:16:43
雨月物語は最初にみたとき、囲炉裏のシーンでぶっとびました。あのシーンは世界映画史の中でも永遠に語られるべき名シーンだと思います。宮川一夫さんのカメラも美しいですよね。

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