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激突

2005-08-05 07:15:24 |  映画(ク~コ)
主な出演者は只一人のこの映画をスピルバーグ監督はあっと驚く映画に仕上げてくれた。いや出演者がもう一人居た。それはローリー車だ。それは正に生きた主演車だった。それは追い越されたデビッドの車を凄い馬力で追い返す。デビッドは前の排気ガスで不快だ。再び追い越すとホーンを鳴らし追ってくる。給油のためスタンドに停めれば彼も停める。再び逃げ出す行動や、バックミラーにまた写る不安や、前へ行かせる心理や、登坂車線で遅い彼の後ろを走る辛さ。よく理解できる。

ホーンを鳴らすと前へ行けと合図した。だがそれは対向車と激突させる企みだった。バイパスで追い越しスピードアップ。96㎞/h-136㎞/h-152㎞/h。「疲れた」食堂で用便後窓を見ると彼がまた泊っているではないか。給油時に、飲食している数人の中から見つけ出そうとするデビッドに同情せずにはいられない。手掛かりは、運転手のジーパンと革靴を見た記憶だ。警察通報を思案するデビッドを振り向く男たちの不気味さ。突然背後から「いらっしゃい」のウエイトレスの声にハッとするショットなど臨床的な雰囲気が漂う。

めぼしき男が見込み違いになるのも面白いシークェンスだ。貨物車の通り過ぎを待つ踏切で、後ろから押される恐怖、警察通報中の電話ボックスを破壊する怖さもさることながら、思わずぞっとするのは、エンスト中のスクールバスを助けている最中に、引き返してきたローリー車が前方のトンネル前でじっと留っているショットだ。擬人化されたローリー車がこちらをじっと見つめている。この映画の名場面といいたい。

助けを請うても誰も信用してくれない。やり過ごして1時間ほど後から走っても、やはり前方で来るのを待ち受けている。それはデビッドが歩いて向かっていくと逃げ去る不思議な怪物車だった。その化け物が突然「先へ行け」と合図してきた。登り坂だ。みるみる離れた。ピストン音を連想させる音楽の心地よさ。突然油面計低下。発煙。やっと峠を越える。クラッチをニュートラルで逃げる。怪物は外れたホイールカバーを踏みつけて猛然と追ってきた。

土手に激突するデビッドの車。響く金属製の鋭い音楽。崖に向かって走らせる。大破した車から飛び出すデビッド。彼の車を押し落とそうとして、諸共崖下に落下するローリー車。この生きた怪物は谷底で車輪を空回りさせて息が絶える。本当の怪人を車内に安置して。エンディングに重なるデビッドのシルエットが、波乱に満ちた未来に生きる我々に何かの警告を呼びかけているようでもあった。不気味さナンバーワンの映画だ。ただしラストの車輪の空回りは『恐怖の報酬』が確か先に描いているぞ。
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2 コメント

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Unknown (DCP)
2008-03-21 17:10:43
私たちの日常の生活において「いつ・どんな時」、起こっても不思議ではない。特に近年は、くわばらくわばら。家にいるのが一番!(笑)。ローリー車のつんざくサウンド、耳に残っています。
DCPさん、こんにちは。 (アスカパパ)
2008-03-22 15:15:59
この映画を初めて観たとき、「凄い監督が現れたなぁ」と吃驚したことを思い出します。
やはり、スピルバーグさんは、ただものではなかったです~。

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