アスカ・スタジオ

2011/9/1以降の映画記事は「八十路STUDIO」=(同一人管理blog)とリンクしました。

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女優須磨子の恋

2011-08-27 16:46:01 |  映画(サ~シ.)

 冒頭に断り書きが走る。相当フィルムが痛んでいるので(云々)と。尤もである。終戦2年後の映画だもの。音質も悪い。
 これまたオンボロの当時の日記帳。7月19日に「少年の町」を観た感想記があるが、まだ少年といっても決しておかしくはなかった当時の私。恋の映画なんて無論観ていない。
 

 これは正に灼熱の恋だ。彼の有名な松井須磨子と島村抱月の。演じる田中絹代と山村聡。演劇への情熱が結んだ恋を好演している。その背景には、そういう仲に至ることを納得させる溝口健二監督の緻密な演出も垣間見る。
 古今東西、恋愛映画はキラ星の如くある。だが恋に陥る納得性に欠ける作品が屡々見られる。例えば、何時、何故、どのようにして好きになったのか、という説明、説得性に欠ける場合など。この映画を範とすべし。

 性に関する描写も感心する。ある夜、抱月が須磨子に対して、堰を切ったように思慕の念を打ち明ける。須磨子が応じる。フェイド・アウト。
 対岸は嵐山上流の緑か。二人は、川下りの舟中に居る。昨夜、何があったか、二人の態度で分かるのだ。何という爽快さ。徒に直接描写しか知らぬ作品が馬鹿馬鹿しく思えてくる。

 古い因習は恋にまで制約を加えたのか。現代の若人は幸せだとつくづく思う。
 ゴンドラの唄。カチューシャの歌が流れ、芸名を書いた旗竿を立てた人力車の列。醸す情感が流れゆく中に、やがて訪れるラストには電撃が走る思いであった。映画の善し悪しは、映像や音質の悪さは関係ない。

 [私の評価]可成りの意欲ある佳作。
 1947年(2011/8/26TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]溝口健二[撮影]三木滋人[音楽]大沢寿人[主な出演者☆=印象]☆田中絹代。☆山村聡。東野英治郎。毛利菊江。東山千栄子。小沢栄太郎[上映時間]1時間36分。

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地獄門

2011-08-04 15:19:25 |  映画(サ~シ.)

 此の映画がカンヌ国際映画祭グランプリを獲得した時は正直驚いたものだ。時は平治の乱の最中。邪恋に狂う一人の武士の話に過ぎぬ。それでもアカデミー賞の衣裳デザイン賞と外国語映画賞も受賞している。外国の目線からは魅力があったのだろう。

 カラー映画が出始めた当時だった。洋画はテクニカラーが主流(アグファカラーもあったが)。邦画はイーストマン・カラーが主流だった。今から見れば、デジタル・リマスター版とはいえ、やはり、けばけばしさが目立つ。音声も悪い。だが、これだけはどうしようもないことだ。

 問題は、内容にもある種の違和感が残ること。その原因を考えていたら思い当たるものがあった。長谷川一夫と山形勲の役柄を替えたほうが良かったのではないか?と。そのほうが、俳優の個性と、役柄人物の個性がピッタリだからである。もっとも、スター主義時代の作品だから、そんなことは不可能だったのは分かるけど、、。

 [私の評価]凡作。
 1953年(2011/8/3観賞=再見).日(大映)[監督]衣笠貞之助[撮影]杉山公平[音楽]芥川也寸志[主な出演者]長谷川一夫。京マチ子。山形勲。千田是也。沢村国太郎[上映時間]1時間29分。

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秦・始皇帝

2011-07-16 12:00:24 |  映画(サ~シ.)

 広大な中国の大地を、アメリカ西部劇の幌馬車隊そっくりに疾走する古代戦車。出演者の殆どは日本語を話す日本人。だが飛び交う台詞は「孔孟の教え云々」。何ともいえぬ違和感に包まれた光景が、延々と、ただ延々と繰り広げられる。これでもか、これでもかと。

 全上映時間3時間20分となる一因でもある。万里の長城建設の場面にも、それと同じ事が云えそうである。でも最大の要因は、総花的な作りとテンポの鈍さ。此に尽きる。大映創立何周年かの記念作品だから、専属の主要スタアには万遍なく出演場面を作る要もある。中でも勝新太郎のライバル市川雷蔵には格別の配慮も要る。といった具合だ。

 反体制派に対する生き埋め処刑シーンでは、暴君ネロが登場した幾多のキリスト史劇が重なって見えた。
 それも、孟姜女の火炙りだけはジャンヌ・ダークとはならない。
 巧い具合に救世主が出現するのだ。李黒の必死の懇願に例外を認める始皇帝には笑ってしまった。

 [私の評価]駄作と呼べば、お叱りを受けるか?。
 1962年(2011/7/15TV録画観賞=初見).日(大映)[監督]田中重雄[撮影]高橋通夫[音楽]伊福部昭[主な出演者]勝新太郎。市川雷蔵。市川雷蔵。長谷川一夫。中村鴈治郎。宇津井健。見明凡太郎。山本富士子。中村玉緒。若尾文子。山田五十鈴本郷功次郎。河津清三郎[上映時間]3時間20分。

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白い牙

2011-07-14 17:57:24 |  映画(サ~シ.)

 男好きの妻(轟夕起子)と離婚し、愛人(桂木洋子)を迎え入れる東作(佐分利信)。
 これを機に意中の男(南原宏治)に接近する長女(牧紀子)。
 どうやら東作の実子ではなさそうな長男(三上真一郎)。
 これら6人の人物を中心にして、井上靖原作のストーリーが展開してゆく。

 が、如何にも小説らしい、現実離れのしたエピソードが興を削ぐ。
 実質上の主役は牧紀子。この女優は初めて見たが、理知的な雰囲気を醸し出していた。
 彼女の意志と行動を通して、人間の醜さ、泥臭さといったものを描くのが目的だったのではないだろうか。

 それにしてもラストの彼女の行動は、私としては意に介し兼ねた。
 五所平之助監督作品としては平凡。

 [私の評価]中の中。
 1960年(2011/7/7TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]五所平之助[撮影]竹野治夫[音楽]芥川也寸志[主な出演者]佐分利信。牧紀子。桂木洋子。轟夕起子。三上真一郎。南原宏治[上映時間]1時間47分。

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釈迦

2011-05-19 15:43:48 |  映画(サ~シ.)

 スーパー・テクニラマ70と称した当時大映の総力を結集した大作だが、概して総花的であった。ここぞという見所や、盛り上がりに欠けるのである。たとえば、シッダ太子が悟りの道に入っていく動機ももっと入念に描いて欲しかったし、また修行中に人間としての弱みも露呈するような場面を挿入したりすれば、感動も深まったと思うのだが、、。

 娯楽本位の作りに徹している。当時の大映大当たりシリーズだった大魔神もどきのシーンが出て来るかと思えば、アラビアン・ナイト風の美女乱舞。暴君ネロを彷彿させるローマ史劇を彷彿する残酷シーンもある。挙げ句の果てにはキリストと紛うような釈迦史劇には疑問符が生じた。

 他には特筆事項も見当たらない。次に下らぬ独り言を呟きつつ所感を終えたい。
 (ひとりごと)やはり山本富士子は絶世の美女だった。

 [私の評価]中の下レベルか?。
 1961年(2011/5/10TV録画観賞=初見).日(大映)[監督]三隅研次[撮影]今井ひろし[音楽]伊福部昭[主な出演者]本郷功次郎。勝新太郎。川口浩。市川雷蔵。山本富士子。京マチ子。中村鴈治郎[上映時間]2時間37分。
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 花は散った後に実を残す。2月頃咲いていた梅が青い梅の実に。
 生命力の神秘さを見る想いがする。

 

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昭和枯れすすき

2011-05-17 10:13:08 |  映画(サ~シ.)

 これは完全に演歌の世界だ。サスペンスというより寧ろ人情劇と断言したくなる作品である。うら悲しい主題歌が全編を覆う。故郷を捨てて上京した兄妹を見るにつけ「♪人生の並木道」を思い出した。この歌のほうがピッタリではないか。此の映画との関連は分からないが。

 刑事の兄が、落ちぶれていく妹に示す愛情が屋台骨になっている。此処までの兄妹愛は現代社会ではそう見られない。肉親愛の深さに満ち溢れ、人間、人情について感じ入る。任務と私情の狭間に悩みつつ、妹に手錠を掛ける兄の心境は如何ばかりか。と、当時の世相の中で生きた人間の一人としてそう思う。

 が、現在の価値観からは古色蒼然の匂いもしよう。映画はその時代を反映するが、これはその典型的な映画ではなかろうか?。戦国時代や太平洋戦争を平成の眼から見つめている今のドラマを観るにつけそう思う。時は流れているのだ。

 [私の評価]準佳作。
 1975年(2011/5/7TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]野村芳太郎[撮影]川又昂[音楽]菅野光亮[主な出演者☆=印象]高橋英樹。☆秋吉久美子。下絛アトム。池波志乃。鈴木瑞穂。伊佐山ひろ子。松橋登[上映時間]1時間27分。
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 次女が育てていた薔薇を、妻が引き続いて育てている。今朝(2011/5/17)撮影。

 

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事件

2011-05-07 10:04:07 |  映画(サ~シ.)

 若山富三郎の熱演が今も印象に残るTVドラマ版は観ているが映画版は初見。なかなか絞まった作品だった。

◆その要因の一つに絢爛たるベテラン演技陣の寄与が挙げられよう。
 芦田伸介演ずる岡部検事の冒頭の起訴状陳述は臨場感に富む。菊地弁護士に扮する丹波哲郎は「砂の器」でのあの刑事役には及ばぬも、谷本裁判長役の佐分利信と共に貫禄は備わる。
 永島敏行、松坂慶子は個性を発揮するも特筆する程の事は見当たらず。大竹しのぶは此の後華を咲かせるが、その予感がした。
 脇役は、女性陣では乙羽信子に北林谷栄。男性陣では森繁久彌に西村晃と多士済々。特に短い出演ながら森繁久彌に天才の素質を感ずる。
 特筆すべきは渡瀬恒彦。あのチンピラの雰囲気は肩や背からさえ発散していた。
 こういう30数年前の豊富な人材を見ていると、現状はどうかな?との思いがふと脳裏を過ぎる。背景が戦国時代に拘わらず平成雰囲気丸出しの俳優や、地方方言と都会言葉が混同するような台詞を平気で連発する俳優のドラマを垣間見るから。

◆二つ目の要因。70%近くが法廷場面であるということ。にも拘わらず決して単調に陥らず。新鮮なフラッシュバックも多く見られた。外国映画に多々見られる法廷映画の名作が走馬燈のように走りすぎる。これは「神坂四郎の犯罪」や「真昼の暗黒」らと共に、日本の法廷映画の秀作と云える。

◆そして三つ目の要因。この映画には犯人が居ない。悪人が居ないのだ。サスペンスであってサスペンスに非ず。これは、哀しい人間の性が渦巻く文芸作とも云える。

 [私の評価]秀作です。
 1978年(2011/5/5観賞=初見).日(松竹)[監督]野村芳太郎[撮影]川又昂[音楽]芥川也寸志/松田昌[主な出演者]永島敏行。松坂慶子。☆大竹しのぶ。佐分利信。☆芦田伸介。丹波哲郎。★渡瀬恒彦。西村晃。北林谷栄。☆森繁久彌。乙羽信子[上映時間]2時間18分。(★=強印象。☆=印象)
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 テッセンも咲き始めた我が家。短い命の花だからこそ心余計に和むのか。
 

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幸福の黄色いハンカチ

2011-04-25 20:52:55 |  映画(サ~シ.)

 突如東北地方を激震が襲ったあの日14時46分。その約10時間後次女他界す。被災された方々の悲惨さとは比すべくもないが、肉親を失った苦痛は共通す。
 喪中に映画を1本だけ鑑賞した。4月14日にTVで偶然観た「幸福の黄色いハンカチ」だった。
 広大な北海道を舞台に、高倉健、武田鉄矢、桃井かおりの3人が繰り広げる、あのロードムービーだ。
 最も印象深かったのが、とある安宿で高倉健が武田鉄矢に諭す言葉だった。

 「黙って聞け。ちゃんと座れ。あけみちゃんはおなごじゃろが」「いいか。おなごちゅうもんは弱いもんなんじゃ。咲いた花のごと脆い。壊れやすいもんなんじゃ」
 「男が守ってやらないけん。大事にしてやらないけん」
 「聞いとるんか。こら」。

 最近ふとしたことから、女性には男性にはわからぬ心の痛みを有するという意味の話を聞いていた私には、この台詞は強く響いた。
 以降、日夜涙に明け暮れる妻を労りつつ昨日満中陰を終えた。

 妻が育てて来た牡丹が、今朝満開近しを思わせていた。
 妻が育てて来た釦が、今朝満開近しを思わせていた。 

 [私の評価]上述のシーンが、サイドストーリーとして展開する若い二人のラストシーンに対する見事な伏線になっていることを追記した上で、堂々たる秀作と評価したい。1977年(公開).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]佐藤勝[主な出演者]高倉健。倍賞千恵子。武田鉄矢。桃井かおり。渥美清[上映時間]1時間48分。
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 次女と同じ乳ガンで他界された田中好子さん、喪中に他界されたエリザベス・テイラーさん、併せて合掌を捧げます。

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自由への闘い

2011-02-09 21:31:38 |  映画(サ~シ.)
 数々のレジスタンス映画や読み物の断片が、更には子供の頃の思い出までが、浮かんでは消え、消えては浮かぶ。そんな映画だった。
その①
 嫌がる少年の顔に、面白そうに‘J’の字を落書きする学友達。彼等の姿に少年時代の私が重なる。
 虐められる子供は可哀想。だが‘J’の意味するものを思えば、虐める子供達を一概に責められないのだ。
 戦争は国を問わず、時代を問わず、純真な子供の心まで完璧にマインド・コントロールさせて終うのだから。
 老婆心ながら‘J’の意味するもの、それはユダヤ人。

その②
 レジスタンスの闘い空しく、追い詰められ、遂に射殺されるポール。彼の背に、「鉄路の斗い」(1945年.仏.ルネ・クレマン監督)が浮かび上がる。
 出演者が全員レジスタンス経験者だったから。

その③
 この映画の最大の見せ場、チャールズ・ロートンのあの名弁論とシンクロナイズするのは「チャップリンの独裁者」(1960年.米)であることは論を待たない。
 

だが、その④
 鳩を窓の外に放つ1カットに、屋根裏に閉じ込められたあの少女を一瞬想ったのは何故だろう。
 「アンネの日記」(1959年.米)は、鳩ではなくて、群れ飛ぶ鴎だったのに。

その⑤
 そして彼の最後の授業にオーバーラップするのは、子供の頃に読んだ「ますらお」と題する絵本だった。
 ドイツと国境を接したフランスの片田舎。閉鎖される学校の先生が最後の授業をする。それは全く同じ内容ではないか。恰も二人羽織の如く。

その⑥
 悲劇のソレル教授には、題名は略すものの、数々の映画が浮かぶ。ここでは、「影の軍隊」(1969年.仏.ジャン・ピエール=メルヴィル監督)で代表させよう。
 扉の下の隙間から部屋の向こう側が分かる。灯り。人影。靴音。その鋭さ。終わりに待っている悲しい定めに泪したなぁ。「娘の写真は捨てよと言っていたのに…」母と子の愛は切っても切れぬを再認識したもの。

 “占領は嘘の上に成立する”~“奪えない武器それは尊厳”を力強く謳ったこの映画は、亡命中のアメリカで撮った作品ではあるが、故国フランスに想いを馳せたジャン・ルノワール監督の堂々たる反戦、レジスタンス映画だ。
 エンドロールで歓喜の♪ラ・マルセイエーズの許、モノクロのパリ市街がからカラーに変わる「パリは燃えているか」(1966年.仏.ルネ・クレマン監督)や、最近の作品では、戦争は独仏共に悲惨を訴えた「ピエロの赤い鼻」(2003年.仏.ジャック・ベッケル監督)等と共に。
 日本映画に、太平洋戦争反戦映画の絶えざる如く、フランス映画に反戦レジスタンス映画の絶えること無し。

 [私の評価]秀作。
 1943年(未公開).米(RKO)[監督]ジャン・ルノワール[撮影]フランク・レッドマン[音楽]ロサー・パール[主な出演者]★チャールズ・ロートン。モーリン・オハラ。ジョージ・サンダース。ウォルター・スレザック。ケント・スミス[原題]THE LAND IS MINE[上映時間]1時間40分。(★=強印象)
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殺意の瞬間

2011-02-07 17:52:05 |  映画(サ~シ.)
 巴里ムード一杯の冒頭のシャンソンに酔っていた。と突然、女性の顔がクローズアップ。一瞬「あっバーグマン!?」と思った。こんな女性が万引きを…。それを見て見ぬ顔の中年男が居た。
 前者は根っからの悪女カトリーヌ(ダニエル・ドロルム)。後者は人の良さそうなレストラン店主アンドレ(ジャン・ギャバン)だった。

 

 となると事の成り行きで話はとんとんと進む。主役の二人を取り巻く人。
①カトリーヌの母であり、アンドレの元妻だったガブリエル。となると少々話が出来過ぎの感も在る。然り乍ら扮するリュシエンヌ・ボガエル。身も心も悪女の母に成り切って居た。
②母といえばアンドレの母ジュルムーヌ・ケルジャンも芸は達者なもの。
③カトリーヌ殺意の瞬間の犠牲となるジェラールはイマイチである。

 

 古今東西、齢を重ねぬと演技力は身に付かぬと痛感する。(大河ドラマ豪姫の「スゴーイ!」に霹靂としているだけに)。

 ところで殺意の瞬間は、カトリーヌに対するアンドレにもあった。題意はどちらを指しているのだろう?。と、素朴な疑問が残る。
 一つ重要な演技者を忘れるところだった。セザールである。演技は人のみに非ず。

 シャンソン・モードは冒頭だけで、ジュリアン・デュヴィヴィエの稍息抜き的なサスペンスは衝撃的な終わりを告げる。
 1950年代後半のジュリアン・デュヴィヴィエ作品には肩の凝らぬ内容ものを多く見受ける。この2年後にも此の映画と双子のような「殺人狂想曲」も撮っている。
 が、何れも率直なところ、「商船テナシティー」や「望郷」や「にんじん」や「舞踏会の手帖」等、氏の代表的作品とは幾ばくかの隔たりを感じる。

 [私の評価]中の上。
 1955年(56公開).仏(東和)[監督]ジュリアン・デュヴィヴィエ[撮影]アルマン・ティラール[音楽]ジャン・ウィエネル[主な出演者]ジャン・ギャバン。ダニエル・ドロルム。ジェラール・プラン。★リュシエンヌ・ボガエル。ジュルムーヌ・ケルジャン[原題]VOICILE TEMPS DES ASSASSINS[上映時間]1時間54分。(★=強印象)
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 寒さ稍和らぐ今日、苗木を植えて3年目の庭の梅。いま、満開。

 
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紳士は金髪がお好き

2011-01-25 19:37:50 |  映画(サ~シ.)
 この映画は劇場鑑賞している。が、ノートを捲っても記述無し。感想記を付け始めたのは此の前年。多分つけ忘れだろう。
 記憶はある。トップ・ビリングはジェーン・ラッセルだけど、イクォール・ビリングでマリリン・モンローの名が連なって居た。
 ジェーン・ラッセルと言えば、1948年「腰抜け二挺拳銃」で、ボブ・ホープの相手を務めた人気女優。♪バッテンボ~のメロディーは一世を風靡した。そんな彼女をマリリン・モンローは喰った感じだった。

  

 そんなにボリュームのある声量ではないが、ハスキーな、お色気ある声は、歌唱力抜群。♪ダイヤモンドは女性のベスト・フレンドの旋律が素晴らしい。ピンクの衣裳がよく似合っていた。
 ジェーン・ラッセルも悪くはない。題名の金髪ではないが、対照的なブラウンの髪によく似合う、性格も対照的な役を、何の憶目もなく、素直に、堂々と演じていて、好感を持てた。

 ところで、ハワード・ホークスといえば「赤い河」であり「リオ・ブラボー」であろう。西部劇の巨匠の一人。この映画の監督とは意外な感がする。
 でも1938年「赤ちゃん教育」というスクリューボール・コメディを撮っている。意外に多才な面があったのだ。無論、ミュージカルが得意な監督に比べるのは気の毒な面もある。が、可成り健闘して撮っていると思う。

 [私の評価]準佳作。
 1953年.米(20世紀FOX)[監督]ハワード・ホークス[撮影]ハリー・J・ワイルド[音楽]ライオネル・ニューマン[主な出演者]ジェーン・ラッセル。★マリリン・モンロー。チャールズ・コバーン。トミー・ヌーナン。[原題]GENTLEMEN PREFER BLONDES[上映時間]1時間32分。(★=強印象)
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シテール島への船出

2011-01-12 18:57:09 |  映画(サ~シ.)
 巧妙な脚本,演出に唸る。現実と劇中劇が重なり合う。製作も兼ねたテオ・アンゲロブロスの一人舞台だ。花売り老人は映画では父。女優の妻は妹である。
 寒い映画である。氷雨。傘。雪山の鳥の声も凍りそう。32年前ロシアに亡命した父が帰国して来る。「待ちすぎて疲れたわ」「すまん」ソルヴェーグの歌を思い出した。

 

 「子供が3人居る」の衝撃を乗り越えて、「そばに行きたい」「一緒に行きたい」の叫びを発する母。痛ましさに身も凍る。
 象徴的な台詞「しなびた林檎」が重く響き、2時間20分、集中力を保たせる。
 こういう地味な映画は、アメリカ映画には到底望めないだろう。
 瑞典に、イングマール・ベルイマン。芬蘭に、アキ・カウリスマキ有る如く、希臘には、テオ・アンゲロブロス在り。

 [私の評価]優れた作品です。
 1984年(86公開).希臘/西独/英/伊[監督]テオ・アンゲロブロス[撮影]ヨルゴス・アルヴァニティス[音楽]ヘケン・カレンドルー[主な出演者]ジュリオ・ブロージ。★マノス・カトラキス。マリー・クロノブルー。ドーラ・ヴァラナキ。ヨルゴ・ゼノス[原題]TAXIDI STA KITHIRA[上映時間]2時間20分。(★=強印象)
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シャーロック・ホームズ

2011-01-11 18:50:26 |  映画(サ~シ.)
 若かりし頃、コナン・ドイルに熱を上げた。彼の原作は全部読破した。「バスカヴィル家の犬」は、古今東西を通じ、私にとってはナンバー・ワン推理小説でもある。
 これだけが、数あるコナン・ドイル原作の中で、唯一の映像化適切題材だと思って居る。“動”の要素があるからだ。だが、映画化された「バスカヴィル家の犬」は、あまりパッとしなかった。
 ましてや他の原作は、“静”が相応しい。その面で、かってのテレビ・ドラマ版シリーズは、佳かったと思う。

 

 だけど、今回の映画は、“動”だ。これも時代の風潮だろう。それなりに面白く出来ては居る。視覚映像芸術として見れば、難無く纏まっている。
 けれども、やはり、どうしても、推理的な要素が、些かこじつけ気味。幼稚気味なのが気になる。“静”と“動”の狭間で揺れ動く私である。

 [私の評価]準佳作。
 2009年(10公開).米(WB)[監督]ガイ・リッチー[撮影]フィリップ・ルースロ[音楽]ハンス・ジマー[主な出演者]ロバート・ダウニー・Jr。ジュード・ロウ。レイチェル・マクアダムス。マーク・ストロング。ケリー・ライリー。エディ・マーサン[原題]SHERLOCK HOLMES[上映時間]2時間9分。
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沈まぬ太陽

2010-12-11 11:38:07 |  映画(サ~シ.)
 46年間一民間企業で働いた私は興味津々。束の間の3時間半だった。国民航空と銘打っては居るが、日航がモデルなのは周知の事実。1985年8月12日、御巣鷹山の惨事は我が社からも犠牲者が出た。
 「クライマーズ・ハイ」は其の際の新聞記者魂を画いた。此は国民航空社の経営陣と労働組合の葛藤、軋轢。その表と裏を赤裸々に画いてゆく。
 所謂要領の悪さとその結果は恩地と共通する私は何時しか彼に共鳴、共振して居た。行天のような人間は大嫌いだったもの。自己の信念に徹しきり、人間の尊厳を第一に奉じた恩地に喝采を贈る。
 ラスト間際、遍路の旅に出る後ろ姿に思わず合掌した。毎年8月12日、御巣鷹山に登るかっての友は今年も参ったに違いない。

 [私の評価]秀作です。
 2009年.日(東宝)[監督]若松節朗[撮影]長沼六男[音楽]住友紀人[主な出演者]渡辺謙。三浦友和。松雪泰子。鈴木京香。石坂浩二。香川照之。草笛光子。宇津井健。小林稔侍。加藤剛[原作]山崎豊子[上映時間]3時間22分。

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 美しくも ちょっぴり哀しい某病院のXmas tree

 
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サラバンド

2010-11-12 19:30:10 |  映画(サ~シ.)

 プロローグを経て第1章から第9章まで。そしてエピローグと、きびきびした雰囲気を持っている。バッハの曲が劇中劇で流れるショット以外、所謂映画音楽無し。これが会話に集中力をもたらし、演劇調にストーリーが展開してゆく。
 第1章。マリアンは元夫のユーハンを尋ねる。32年/300kmの時空を超えて。余程の思いが生じたのだろう。
 第2章で、ユーハンの孫カーリンが音楽の道を目指していることが分かってくる。
 第4章では、ユーハンと息子ヘンリックの不和が判明するという具合。

 

 折に触れ女性の写真が現れる。亡くなったヘンリックの妻アンナだ。このような背景のもと、元夫婦。父と息子。夫と亡妻。父と娘。それぞれの愛と恩讐が、坦々と繰り広げられる。
 古今東西、肉親愛を描いた映画は数多い。だけど、この映画は、愛よりも恩讐に比重を傾けている。人間、肉親と言えども色々あるよ。とベルイマンは、綺麗事の世界に反発しているのかも知れない。

 ひととき現れた北欧の美しい景観にホッとする程、息詰まることが多い。所詮、人間は、それぞれに定められた寿命の中で、楽しみよりも悩むことの多い人生を全うしていくものだろうか。
 漠然とではあるが、いろいろなことを考えさせられるものを秘めている。
 私としては、例え恩讐が生じたとしても、それを克服せねば。肉親愛は切っても切れぬ絆だから。更に、果たして寿命は与えられたものだろうか。寧ろ、努力で寿命は作られる。という考えを持ちたい。

 冒頭にイングリッドに捧ぐとのメッセージが出たこの作品は、イングマール・ベルイマン監督の遺作となった。
 題名の源は、バッハの《無伴奏チェロ組曲第5番》サラバンドから来ていると、観ている途中で分かった。
 渋い映画である。

 [私の評価]可成りの意欲ある佳作。
 2003年(06公開).瑞典[監督]イングマール・ベルイマン[撮影]レイモンド・ウェンメンロヴ/ペーオー・ラント/ソフィ・ストリッド[主な出演者]リヴ・ウルマン。エルランド・ヨセフソン。ボリエ・アールステット。ユーリア・ダフヴェニウス。。[原題]SARABAND[上映時間]1時間52分。

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