アスカ・スタジオ

2011/9/1以降の映画記事は「八十路STUDIO」=(同一人管理blog)とリンクしました。

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トム・ジョーンズの華麗な冒険

2011-07-27 14:34:31 |  映画(ツ~ト)

 捨て子のトム、故在って大地主オールワージー家の養子となる。冒頭近くの「将来絞首刑になると言われた」とかいう主旨の台詞が、非常に興味を曳かせる伏線となっていて、強い磁力を有している。
 何かにつけて、嫡子ブリフィルとは好対照のトム。最大の弱点は女好きだった。森番の娘や、年上の女。彼の女性遍歴を描いている此の映画。やがて、大地主ウェスターンの娘ソフィーとの恋がクライマックスを形成する。

 が、如何にも泥臭いトム・ジョーンズの華麗な冒険ではある。極論かもしれないが、一人の色好き男の女性遍歴を描いただけのこのイギリス映画が、何故1963年アカデミー作品賞&監督賞を獲得したのか?。率直に言って甚だ理解に苦しむところである。
 もしかしたら、トニー・リチャードソン監督の伝家の宝刀フリーシネマの威力?。まさか!。見所は、狩りのシークェンスぐらいと思うのだが…。

 それは華麗なれども残酷な場面を、これでもか、これでもかと、流動的に写しだしていた。好感を持てるのは、昨今の作品群に見られる過激な官能描写は一切無いこと。寧ろユーモアを感じる場面もあった。
 ひょっとして、こんなことらが、18世紀と思われる時代背景と相持ちつつ、好意的な評価に繋がったのではないかと、ふと思ってはみたが…?。

 [私の評価]凡作。
 1963年(64公開)(2011/7/26TV録画観賞=初見).英(UA)[監督]トニー・リチャードソン[撮影]ウォルター・ラサリー[音楽]ジョン・アディソン[主な出演者]アルバート・フィニー。スザンナ・ヨーク。ダイアン・シレント[原題]TOM JONES[上映時間]2時間7分。

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東京日和

2011-06-30 11:43:44 |  映画(ツ~ト)

 「東京日和」とは、妻のヨーコを亡くした写真家、島津巳喜男が出版しようとしている写真集の題名。ということで、亡妻への感傷が一杯詰まる。
 先ず、ホームパーティで客の名を呼び間違えた事を気に病むヨーコから、彼女の繊細な性格を紹介する手法が長ける。

 雨中のピアノ演奏ごっこや、ホテルでのデート。夫の優しさが替えって気まずさの基になる描写も巧い。
 その一方で、同じマンションのカギっ子少年に女装させる妻。これは明かな異常。私も飛蚊症ゆえ彼女の不快感は解る。が、少年を遅くまで連れ出したり、蒸発に至っては最早や奇行だ。

 それでも妻への愛は不変。結婚記念日に新婚旅行と同じ旅館に泊まる柳川。ちょっと甘いか。川下りの後で再び姿をくらます病的な妻は、帰宅後交通事故に遭う。
 といった数々の出来事が、自己の仕事に影響を与えていたと悟る巳喜男は、次の発見で回想を停める。
 ヨーコが客の名を呼び違えた真相を見出したのだ。それは単なる感傷のみに陥ることを拒否した胸好くような締めくくりだ。

 [私の評価]後味爽やかな佳作。
 1997年(2011/6/11TV録画観賞=初見).日(東宝)[監督]竹中直人[撮影]佐々木原保志[音楽]大貫妙子[主な出演者]竹中直人。中山美穂。松たか子。三浦友和。[上映時間]2時間1分。

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トウキョウソナタ

2011-06-26 17:13:07 |  映画(ツ~ト)

 家ではワンマンの佐々木竜平だった。父に隠れて好きなピアノを習っていた次男を殴る。そのくせ、リストラされた我が身の事は隠した。卑怯ではないか。これでは同情する気になれぬ。
 長男は中東派兵の米軍入隊を志願する。架空じみて臨場感の欠片も生じぬ。
 そんな佐々木家にある日、恵だけ在宅の時に泥棒が入る。といったような出来事を絡ませつつ、家庭崩壊についての課題を投げかけてはいる。

 「人生をやり直したい」と願う竜平や恵や泥棒の心理は頷けた。
 だが前述のようにこれといった感動も無く、一向面白くもなかった。
 この映画の評判は風の噂に聞いては居た。然し例え少数派たろうとも、自分の心に素直であるべき。
 たとえ映画を観る眼に乏しかろうとも、「どう捕ろうとその人の自由」という特権の行使が最近多いようだ。

 [私の評価]中の中。
 2008年(2011/6/11TV録画観賞=初見).日/和蘭/香港[監督]黒沢清[撮影]芦澤明子[音楽]橋本和昌[主な出演者]香川照之。小泉今日子。井之脇海。小柳友。役所広司。井川遥。児嶋一哉[上映時間]1時間59分。

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遠い空の向こうに

2011-06-20 13:52:59 |  映画(ツ~ト)

 この映画を観ているうちに、同じように炭坑街が舞台の「我が谷は緑なりき」を思い出していた。あの和解シーンが最も印象に残っているからだ。この映画に於いても、その最たるは何と言ってもホーマーと父の恩讐を超えた和解にある。
 何時も思う事だけど、実話に基づく映画は、フィクションに比べて感動の度合いが全く違う。ホーマーの物理教師ミス・ライリーに拘わるエピソードも、清々しい中に哀感が籠もって堪らなくなる。

 山火事犯人にされた冤罪を払拭するシークェンスは痛快だ。同時に「アメリカは広いなぁ」と実感する。ロイやオデルの仲間に数学の天才クエンティンが加わり、鬼に金棒となったロケット・ボーイズ誕生の背景には、この広大な土壌があったからに違いない。
 “夢を諦めるな”これがこの映画のテーマと思う。内容こそ違え「パピヨン」(1973年)や「シービスケット」(2004年)でも見られた、あの夢と希望だ。

 この映画が作られた頃は世紀末。不安を煽るような映画も作られたと思うけど、斯くも爽やかな作品があったとは知らなかった。
 トランプで、ロイヤル・ストレート・フラッシュが出来たような気分である。

 [私の評価]後味申し分ない佳作。
 1999年(2000公開)(2011/6/1DVD観賞=初見)米.(ユニヴァーサル)[監督]ジョー・ジョンストン[撮影]フレッド・マーフィ[音楽]マーク・アイシャム[主な出演者]ジェイク・ギレンホール。クリス・クーパー。ウィリアム・リー・スコット。チャド・リンドバーグ。クリス・オーウェン。ローラ・ダーン[原題]OCTOBER SKY[上映時間]1時間48分。

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虎の尾を踏む男達

2011-01-06 21:46:50 |  映画(ツ~ト)
 太平洋戦争末期に軍の検閲下で作られ、完成は1945年9月。敗戦の翌月である。なのに公開は7年後。再び占領軍(GHQ)の規制が…。黒澤明監督の怒りも心頭に達したと推測される。
 勧進帳の映画化ゆえ、多少音声が不明瞭でも内容は理解出来る。当時の天才喜劇俳優、榎本健一、通称エノケンを強力として加えたのが、黒澤明の非凡なところ。
 口に手を当て「アババババ」と赤ちゃんをあやすような台詞。上唇を尽きだし、下唇を引っ込めた表情が愉快。弁慶の「人の情けの盃を~」に併せて、薬缶の蓋を盃代わりに、今度は下唇を突き出して逆の表情に替わるところなど天下一品。

 

 弁慶役の大河内伝次郎。白紙の勧進帳も威風堂々。大石内蔵助の東下りを連想する。
 背景の雪山は絵でも、邦楽は風格を宿す。1時間を切る上映時間が、余韻タップリのラストで、キリリと閉まる。
 桶狭間を撮りたかった黒澤監督が、馬が居ないため、この題材に変えたと聞く。馬が無くても立派な時代劇が出来上がっている。

 [私の評価]佳作。
 1945年(52公開).日(東宝)[監督]黒澤明[撮影]伊藤武夫[音楽]服部正[主な出演者]大河内伝次郎。榎本健一。藤田進。森雅之。志村喬。河野秋武。小杉義男。横尾泥海男。仁科周芳[上映時間]0時間59分。
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劔岳 点の記 標高3000メートル 激闘の873日

2010-11-21 12:15:45 |  映画(ツ~ト)
 映画「劔岳 点の記」の中で、陸軍参謀本部、陸地測量部測量手の柴崎芳太郎に対して、日本山岳会の小島烏水は言う。「私たちは登るだけ。だが、あなた方は登ってからが仕事ですね」と。
 この映画は、ただ映画を作るだけのために、前人未踏の撮影をした苦闘の記録を刻んでいる。
 数々の優れた映画撮影を残されている木村大作氏は、初監督された「劔岳 点の記」の構想は、2006年に着手された事を知る。

 赤色の傍線で汚れる浅田次郎の原作本から導き出された結論が、
①仕事
②仲間
③大自然
④その儚さ。だったという。

 「撮影ではなくて苦行」のナレーションが重く響く。スタートが予行演習だったとは。
 「精神が役者に宿るから」と、決断された順繰り撮影。3時間経っても晴れぬ山。晴れたとしても何時見えなくなるかも分からない稜線。
 撮影部、美術部、衣裳部、みんなで行う山の清掃に頭が下がる。

 

 飛ばされそうな中、体を支えながらの撮影。これは本当に苦行ではないか。
 足袋と草鞋だけ、凍傷寸前の足を温めるスタッフ。
 「いい映画になるという予感がしてくる」と話す人に、「うんうん」と頷ける。
 スタッフは、しんどい。役者は、辛い。仕事だ!。何も言われなくても、スタッフ全員で準備に掛かる三角点。にも実感が籠もる。

 全員で雪かき。監督が見出した①②が実践されているのだ。
 こんな山頂にエキストラは雇えない。スタッフはエキストラも兼ねる。
 発生した重傷者。「撮影を続けるべきか」。ハムレットの台詞を想起する。
 リハーサルなしの本番、最後の撮影は感動的だ。劔岳山頂で誕生日を祝われて、感謝の言葉を述べる木村大作監督の顔が、強く、強く印象に残った。

 [私の評価]佳作。
 2009年.日(記録映画)[ナレーション]窪田等[監督]大澤嘉工[主な出演者]木村大作。浅野忠信。香川照之。松田龍平。仲村トオル。[上映時間]1時間54分。

∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
【追伸】
 上述記録映画の前に放映された「劔岳 点の記」も、3度目の鑑賞をした。

 

 監督の結論③「大自然」が活きていた。ヴィヴァルディの「四季」を、メイン音楽にした効果を再認識した。春の桜。秋の紅葉。冬の吹雪。その美しさ!。そして、その厳しさ。吹雪は映画「八甲田山」を思い出した。

 過去と違った感想も持った。2009年7月8日。劇場で鑑賞した直後では、測量隊案内人宇治長次郎が息子を殴る場面があるが、そこに至るまでの訳を納得させる描写を欲しい。と書いていた。
 今回の鑑賞では、そこまでの描写は強いて無くてもいいと思った。子の気持ちも、父の心情も理解出来た。
 「こいつはこいつで生きていかねばならぬ」。
 「これみんなで食べてくだはれ。これを親父に渡してくだはれ。よろしうたのんまっさ」。
 その父子愛にグッと来た。

 「測量は技術じゃない。忍耐じゃ」の台詞も、ズッシリと重く響いた。
 「ただ地図を作るだけで…」の言葉に対して「いや、人には、それぞれの道がある」。私の好きな言葉も出てきた。
    -以上-
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ディープ・ブルー

2010-11-18 10:02:06 |  映画(ツ~ト)
 「ディープ・ブルー、それは生命の源」ナレーションと共に海を跳ぶはイルカかシャチか。それらの知識に詳しくない私には区別が付かない。
 それでも広重の絵を思わせるような豪快な波には眼を奪われた。3Dで見たい!と思った。「アバター」は強いて見たいとは思わなかった(未見)のに。こんな気持ちは始めてだ。それだけ撮影が優れているのだ。撮影スタッフが5人も居るのが頷ける。
 信天翁が居る。夥しい魚群。鳥の群。ナレーションは極めて少ない。映像と、ベルリン・フィルハーモニア管弦楽団の音楽だけで充分伝わってくるからだ。

 そんなナレーションが、アシカの一生を述べる。人間の一生に通じるなぁ!と思った。
 シャチだ!。危険が一杯!。残酷!。
 波打ち際。夥しい蟹の群。点と線ではなくて、これは点と面だ。

 

 珊瑚礁では、魚族の舞踏会が繰り広げられて居る。珊瑚のシャンデリアが眩しい。その蔭で植物が動物を食する。自然の尊厳を感じ入る。月の引力が海に及ぼす真理も垣間見た。

 

 カメラは一転、深海に。光不要の生物が。居る、居る!。自己の体内から光を放って。それはまるで海の茸。軟体動物。クラゲ。
 皇帝ペンギンは2005年のフランス映画でも見たなぁ。
 氷が溶けてシロクマ泳ぎ、氷に閉じこめられて白イルカは懸命に割れ目から息を吸う。

 2万㎞の旅に出るコククジラ。母クジラの重さは30トンという。かっての戦艦大和だ。疲れた子を溺れさせる母。迫り来るシャチの犠牲となる哀れさに泪が出そう。血に染まる海。シャチが食べるのは子鯨の舌と下あごのみとは…。嗚呼無情。シャチを撲ちたいツ!。
 海の放浪者の撮影が続く。このあたりは、ちょっと長くて、稍冗漫感。「海遊館」は、この小型だ。この映画で唯一のケチを付けたくなる箇所。でもそれは此処だけだった。
 
  

 再び深海。提灯行列だ。海の花火だ。水圧は海面の500倍。マリアナ海溝の最も深い地点は、地球の中心まで11㎞と出た。本当?。それは恐らく、マリアナ海溝の深さとの勘違いだろう。
 確か地球の半径は約6300㎞と記憶している。そんな訳或る筈無い。字幕の誤りだ。新発見!。ちょっとしたことが嬉しい。ああ、我のちっぽけさ。
 それに比べて、何と偉大な海よ!。海底から噴き出す硫化水素。此処にも生物が居る。生命の神秘を思わざるを得ない。

 空や宇宙に眼が向くが、海こそ其れ以上!とナレーション。これには素直に頷けた。かって30万頭居たシロナガスクジラ。今は1%。まだ続く略奪。とのナレーションに震える。日本は略奪はしていない筈だけど。
 海を護ろう。地球を護ろう。

 [私の評価]可成りの意欲を感じる佳作。
 2003年(04公開).英/独[監督]アラステア・フォザーギル/アンディ・バイヤット[撮影]ダグ・アラン/マイク・ドゥグレイ/サイモン・キング/リック・ローゼンタール/ピーター・スクーンズ[音楽]ジョージ・フェントン[ナレーション]マイケル・ガンボン[演奏]ベルリン・フィルハーモニア管弦楽団[原題]DEEP BLUE[上映時間]1時間31分。
****************

 今日は秋日和。
 菊も膨らむ。
 

 石蕗もそっと咲く。
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デストラップ・死の罠

2010-11-16 07:17:04 |  映画(ツ~ト)
 霊媒女で不安感を募らせたところへ、殺した筈のクリフォードが出現。心臓発作でマイラが死ぬところは「悪魔のような女」のパロディか。
 クリフィードとシドニーの対決は、さながら逆転に次ぐ逆転の野球ゲームさながら。

 

 この種の映画はレビューし難い。ペンを重ねるに連れてネタがばれそうになる。
 あっと驚くラストの奇抜さに敬意を表して、このあたりでストップ!。

 名作「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメット監督が、力作「評決」と同じ年に撮った本作。さすがに重厚さは見られない。が、その才の片鱗が迸る。最近尚、「その土曜日、7時58分」を3年前に撮られてご健在。巨匠の風格が漂って来た。
 演技陣では、マイケル・ケインがキャリヤ充分の貫禄ぶりを見せている。

 [私の評価]佳作。
 1982年(83公開).米(WB)[監督]シドニー・ルメット[撮影]アンジェイ・バートコウィアク[音楽]ジョニー・マンデル[主な出演者]★マイケル・ケイン。クリストファー・リーヴ。ダイアン・キャノン。アイリーン・ワース。ヘンリー・ジョーンズ[原題]DEATH TRAP[上映時間]1時間56分。(★=強印象)
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追想

2010-11-11 19:20:59 |  映画(ツ~ト)
 「追想」と言えば、イングリッド・バーグマンがアナスタシアを演じた1956年のアメリカ映画を思い出す。この映画の邦題も「追想」である。その追想場面が効果良くフラッシュ・バックを繰り返す。
 時代背景はナチス・ドイツが敗北する1944年。舞台はナチ占領下にあるモントーバン。地図で調べたら南仏。ピレネー山脈も近い。(トップ画像)こんな所まで独軍は進出していたのか。

 薬剤や用具も乏しい病院で、仏独双方の重傷者を手術するジュリアン医師。「いつ眠る?」に答えた「戦後だな」の台詞が彼の多忙さを物語り秀逸。
 彼の車のナンバー・プレートは、342YS1。再三写るので覚えてしまった。印象深く残る上手い演出だ。身の危険を感じたジュリアンは、妻子を田舎に疎開させる。それが返って仇になった。ナチ兵に妻子を殺された彼は、復讐を決意する。

 

 此処からのフラッシュ・バックが巧い。(以下、(FB)と省略)。
 怒りに震えキリスト像を投げつけるジュリアン/(FB)洗礼シーン/散弾銃を取り出すジュリアン/(FB)狩猟した思い出/ジュリアンが保存していた映写機で、彼と家族の映像を見るドイツ兵。それを蔭で見るジュリアン/(FB)海水浴を楽しんだあの日/。
 まだまだ続くがこの辺りで止める。

 トップ・カットの、ジュリアン家のサイクリング風景が、再び現れて、エンディングとなる。このあたりも洗練味を感じる。

 

 この映画は三十数年前に観ている。ジュリアンの妻クララの最期に身震いした。演じたロミー・シュナイダーも忘れ得ぬ作品だったのではないだろうか。
 ジュリアンに扮するフィリップ・ノワレも、十数年後の「ニューシネマ・パラダイス」を予感させるような熟演。

 ロベール・アンリコ監督は、この8年前「冒険者たち」で、燦々と照りつける大西洋に、極限したセリフと、口笛とピアノを融合させた音楽で、見事なフィルム・ノワールを作っているが、今回は、レジスタンスを描いて数あるフランス映画の輪の中に加えられるべき、反戦映画の傑作を創り上げた。

 [私の評価]力作の匂いがする佳作。
 1975年(76公開).仏[監督]ロベール・アンリコ[撮影]エチエンヌ・ベッケル[音楽]フランソワ・ド・ルーベ[主な出演者]★フィリップ・ノワレ。ロミー・シュナイダー。カトリーヌ・デラポルテ。ジャン・フィーズ。[原題]LE VIEUX FUSIL[上映時間]1時間41分。(★=強印象)
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特攻大作戦

2010-11-07 15:26:38 |  映画(ツ~ト)
 冒頭のショッキングなシーンでこの壮烈且つ壮観な物語は始まる。冒頭にあったその日を待つ兵も居る。彼等は番号で呼ばれた。例えば死刑囚のフランコは11番だ。
 “1ダースの汚い奴ら”は“12人の怒れる男”となる。全体責任を課せられて。

 

 指導するジョン・ライスマン少佐は適任だった。熾烈な訓練を終え、実践を控える前夜。彼等にプロの女性さえ与えた。彼等は団体で考え行動する一団になっていたのだ。

 

 そして、クライマックスを形作る実践の描写は、何と表現していいのだろう。もし未見の方には、兎に角、観て下さい。としか言いようがない。娯楽作品として充分満足出来た私であった。

 [私の評価]準佳作。
 1967年.米(MGM)[監督]ロバート・アルドリッチ[撮影]エドホード・スケイフ[音楽]フランク・イ゛・ヴォール[主な出演者]★リー・マービン。アーネスト・ボーグナイン。チャールズ・ブロンソン。ジョン・カサヴェテス。。[原題]THE DIRTY DOZEN[上映時間]2時間30分。(★=強印象)
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 今日は当地区の戦没者慰霊祭に参列後、正倉院展(トップ画像)へ赴くも、待ち時間2時間の長蛇の列に早々と退散。
 

 帰途の大銀杏が、秋たけなわを思わせた。
 
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ディア・ハンター

2010-10-23 13:04:10 |  映画(ツ~ト)

 この映画の後もベトナム戦争関連作は絶えない。思い出す儘に「地獄の黙示録」「プラトーン」「7月4日に生まれて」「ワンス・アンド・フォーエバー」等々。
 昨年公開された「グラン・トリノ」にでさえ其の後遺症の片鱗が伺われた。そんな中で此の作品の特長は、言わずと知れた、あの狂気極まる殺人ゲームに他ならない。

 殆どの人は理性を失う事なく観ているから問題は無い。だけど心配性の私は社会影響への危惧が今も絶えぬ。各種メディアからの手口を真似るような犯罪。それが連鎖反応して発生する傾向を垣間見るからだ。
 表現手段を其れに求めたとはいえ、この映画の意図はベトナム反戦にある事は論を待たないだろう。
 映画は大まかに3分割されるのではないだろうか。

①前半約1/3はアメリカ国内。 製鋼所で働く親友グループに、突如発生する3人のベトナム出兵。
 歓送会の描写は綿密だ。帰還後のニックを待つリンダも居たが、アンジェラはスティーヴンとの結婚式を兼ねる。
 見事な伏線となる式後の鹿狩りから一転して中盤へ。

②舞台は難民渦めく北ベトナムに移る。水牢に捕らわれた3人の目前に出現するロシアン・ルーレット。3人の別離。マイケルの帰国。と、文章表現は僅かでも映像内容は重厚にして凄い。

③そして「ニックは生きている」脚を失って居たスティーヴンの情報から、再びサイゴンにマイケルが赴く終盤へ。
 「白い服を着ると落ち着く」の台詞が悲しい。其処で彼の眼に写ったものは…。
 今にも鹿を撃たんとする銃の引き金を止めるマイケルが、この映画の叫びを集約する。

 

 [私の評価]引っ掛かるものを有するが、映画としては優れた作品です。
 1978年(79公開).米(UA)[監督]マイケル・チミノ[撮影]ヴィルモス・ジグモンド[音楽]スタンリー・マイヤーズ[主な出演者★好演]ロバート・デ・ニーロ。★クリストファー・ウォーケン。ジョン・サヴェージ。メリル・ストリープ。ルターニャ・アルダ。[原題]THE DEER HUNTER[上映時間]3時間3分。

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天平の甍

2010-10-22 11:21:00 |  映画(ツ~ト)
 普照と共に此の映画の中核を為す鑒真和上が建立した唐招提寺。近くで開催中の平城遷都1300年祭では、普照ら4人の僧が乗った遣唐使船が復元されて居る。(トップ画像)
 映画に登場する遣唐使船も其の面影を偲ばせて居た。(下記画像)

 

 許嫁と再び逢えるかの不安を胸に出国する普照の背に、太平洋戦時の特攻隊員の姿が重なる。
 洛陽から長安へ。十年経過。渡日して呉れる高僧は皆無。遂に鑒真和上と逢う歓喜が伝わって来る。
 それも束の間だった。僧の日本渡航は非合法だった。絶望からの別れ。病や獄死。二十年が経過。観ていて気も遠くなる。

 疲労から失明する和上。待望の許可。嵐。長年に亘り写経した経典と共に海に沈む業行哀れなり。海南島まで戻されても挫けず。
 唐へ渡った4人の内、栄叡は病死。玄朗は還俗。そして戒融は帰国を拒否した。「ビルマの竪琴」の水島のように。

 

 和上らと共に薩摩から奈良へ向うのは普照だけだった。許嫁は既に結婚していた。延々2時間半飽きる事は無かった。熊井啓監督の腕だろう。
 井上靖の原作本を古本屋に売って終った。仕舞った事をした。

 [私の評価]優れた作品です。
 1980年.日(東宝)[監督]熊井啓[撮影]姫田真佐久[音楽]武満徹[主な出演者★=好演]★中村嘉葎雄。大門正明。浜田光夫。草野大悟。★田村高廣。井川比佐志[上映時間]2時間32分。
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盗賊王子

2010-10-03 13:46:23 |  映画(ツ~ト)
 この映画は、1953年4月11日.京洛劇場で観た。興味深々。アラビア物。とのメモが残る。
 真珠を持参したものには姫を与える布告なんて、興味津々となる由縁。
 王家の入墨を隠した盗賊王子に扮するはトニー・カーティス。
 

 大活躍する女盗賊に扮するはパイパー・ローリー。可愛らしさが目立つ女優だった。
 

 見世場に盗賊連と衛兵の大乱闘。ハッピー・エンドで結ぶ典型的ハリウッド娯楽劇だったが、観ている間はなかなか面白かった。
 [私の評価]中の中。
 1951年(53公開).米(ユニヴァーサル)[監督]ルドルフ・マテ[撮影]アーヴィング・グラスバーグ[音楽]ハンス・J・サルター[主な出演者]トニー・カーティス。パイパー・ローリー。エヴェロット・ストーン。ペギー・キャッスル[原題]THE PRINCE WHO WAS A THIEF[上映時間]1時間28分。

  先月末に映画関係者の訃報が相次いだ。
 9/26に池内淳子さん。「男はつらいよ/寅次郎恋歌」のヒロインが印象に残る。
 9/28に「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン監督。
 翌29日は、トニー・カーティスが天に召された。

 トニー・カーティスは、1950年代は此の映画のほか「魔術の恋」(53)。「フォルウォスの黒楯」(54)。「ジョニイ・ダーク」(54)。「空中ぶらんこ」(56)。「ヴァイキング」(57)。「成功の甘き香り」(57)。「手錠のまゝの脱獄」(58)。「お熱いのがお好き」(59)。「スパルタカス」(60)等々、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
 当初は2枚目の人気が勝ったが、徐々に演技力も備わってきたことを、リアルタイムで見つつ感じ取った思い出が残る。
 わが青春の銀幕スター、トニー・カーティスに合掌。

 下の写真は、昨日10/2行き付けのクリニックで撮った花。
 
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翼に賭ける命

2010-07-24 11:56:05 |  映画(ツ~ト)

 ダグラス・サーク作品を初めて観たのは、1955年1月28日に京宝で観た「異教徒の旗印」。フン族の旗頭アッティラ大王が主役のキリスト史劇だった。
 「間奏曲」のような音楽映画もこの頃のダグラス・サーク作品。先日のオンエア「ショック・プルーフ」は、フィルム・ノワールだった。‘器用’な監督さん。というのが私の印象。一素人が生意気なことを言って恐縮だが、映画創りのコツを心得て居られる方。と思う。

 この「翼に賭ける命」でも、この2年前のビリー・ワイルダー作品「七年目の浮気」に於ける彼の有名な、マリリン・モンローの地下鉄の排気口上のスカート翻りシーンが再現されたかの印象を受けるシーンがあった。
 だから、どうと言う訳ではないが、
①ハリウッド・スタイルの踏襲の上に、
②ゲルマン民族愛も盛られる人。と見たけど…。
 「愛する時と死する時」では、そのことが顕著。ブライアン・シンガー作品「ワルキューレ」(2008年.米/独)を連想した。どちらもドイツ兵が英語を話す違和感等に。

 

 この「翼に賭ける命」も、他の作品と共に、①の上に立脚している。
(1)曲芸飛行の華やかな見せ場。
(2)その影で展開する愛と恩讐。
(3)観客への影響を避けるため、海に突入する悲哀。
(4)そして典型的なラスト等々。
 ‘起承転結’というレシピに、‘喜怒哀楽’という調味料を程良く鏤め、見事、難無く纏まった作品に仕上がっている。ではないか。

 [私の評価]中の上。
 1957年.米(ユニヴァーサル)[監督]ダグラス・サーク[撮影]アーヴィング・グラスバーグ[音楽]フランク・スキナー/ジョセフ・ガーシェンソン[主な出演者]ロック・ハドソン。ロバート・スタック。ドロシー・マローン。ジャック・カーソン[原題]THE TARNISHED ANGELS[上映時間]1時間31分。

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 猛暑を避けて、毎早朝5時頃、公園内を歩く。いま、百日紅が満開だ。
 

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天使と悪魔

2010-07-16 10:30:10 |  映画(ツ~ト)
 「此処はイタリアではない。ヴァチカンだ」という台詞を聞いた。10億カトリック教徒の頂点、教皇選挙のことをコンクラーベと称し、決定すると白い煙が立ち上ることは、以前観た何かの映画で知っていたような気がする。
 だが、‘イルミナティ’や、‘反物質’は、この映画(&原作)の創作だろう。“土/空気/火/水”のキーワードによって、順次殺害されゆく枢機卿。

 

 ちょっと音楽が目立ちすぎるが、一応は面白い。CGも目立つが、残酷すぎる映像に、ちょっと引っ掛かるものもある。今放映中の大河「龍馬伝」が、ふ~と一瞬浮かんで消えた。過去の事物も総て今流に昇華される現在なのだ。これは避けられない。

 過去のガリレオの著書は、宗教と科学は、天使にも悪魔にも成り得る。両者の融合こそ、現世に必要と説いていた。医者はその一例とか。尤もらしいが、些かこじつけの感を受くなぁ。
 と考えていたら、ヴァチカン宮殿に白い煙が立ち上る。決定した信教皇の名は、ルカ。両者の融合に因むとか。
 異教徒の私は、宗教では無く映画として観ている。が、もう一つ感動に欠ける。以前観た姉妹編映画「ダ・ヴィンチ・コード」よりは劣るなぁ。と、思った。

 [私の評価]凡作と思う。
 2009年.米[監督]ロン・ハワード[撮影]サルヴァトーレ・トチノ[音楽]ハンズ・ジマー[主な出演者]トム・ハンクス。アイェレット・ゾラー。ユアン・マクレガー。ステラン・スカルスガルド。ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ[原題]ANGELS & DEMONS[上映時間]2時間18分。

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