しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
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朝の露 <饒舌(じょうぜつ)の空しさ>

2022-05-18 | 伝道者の書

「多く語れば、それだけ空しさを増す。それは、人にとって何の益になるだろうか。」(伝道6:11新改訳)

世界一の知恵者だったといわれるソロモン、彼のところには知恵の言葉を聞こうと多くの人々が集まって来た。そのうち、典型的な人物はシェバの女王であった。「彼女は非常に大勢の従者を率い、バルサム油と非常に多くの金および宝石をらくだに載せて、エルサレムにやって来た。彼女はソロモンのところに来ると、心にあることをすべて彼に問いかけた。ソロモンは、彼女のすべての問いに答えた。王がわからなくて、彼女に答えられなかったことは何一つなかった。」(Ⅰ列王10:2、3)▼だがその実、知恵を語れば語るほど、彼は心に空しさをおぼえていたことが、伝道者の書を読むと見えて来る。ヤコブは言う、「舌は火です。不義の世界です。舌は私たちの諸器官の中にあってからだ全体を汚し、人生の車輪を燃やして、ゲヘナの火によって焼かれます」(ヤコブ3:6同)。ソロモンが語れば語るほど空しさを増したのは、そこに知恵はあっても、真理の本源であられるキリストがおられなかったからである。▼主イエスはソロモンより大いなるお方であった。その御口から発せられることばは天のいのちに溢れ、聞く者を立たせ、病める人を癒やした。単に難問を解いたり、謎を解明できる知恵ではなく、救いの恵みに満ちたことばだったのである。

現代人の多くがソロモン王の前に立ったら、きっと言うであろう。「宇宙を動かす力の本体は何ですか?」、あるいは「生命の中心である遺伝子の仕組みを教えてください」と。また別の人は言うかもしれない。「株や証券取引で絶対損をしない理論はありますか?ぜひ知りたいのです」などと。▼たぶんソロモンは言うであろう。「それを知ってどうするのか?あなたの生涯は空しさでいっぱいになるだけだよ」と・・。シェバの女王は少なくとも現代人にまさっていた。なぜなら彼女はソロモンを崇拝しないで、まことの神をほめたたえたからである。「あなたの神、主がほめたたえられますように。主はあなたを喜び、イスラエルの王座にあなたを就かせられました。主はイスラエルをとこしえに愛しておられるので、あなたを王とし、公正と正義を行わせるのです。」(Ⅰ列王10:9同)▼つまり彼女はソロモンを賛美したり、神と同列には決して置かなかった。それゆえ主イエスは言われたのである。「南の女王が、さばきのときにこの時代の人々とともに立って、この時代の人々を罪ありとします。彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし見なさい。ここにソロモンにまさるものがあります。」(マタイ12:42同)