エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて22年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

長谷川テル著作集

2018-04-11 | 読書ノート


 中国人と結婚して中国に渡り、反戦・抗日闘争に参加した日本人エスペランチストの著作集である。発行は1982年、中国世界語出版社から出版された。
 長谷川テル、別名を Verda Majo(緑の5月)は1912年生まれ、1947年に中絶による感染症で亡くなった。その略歴は冒頭に Jxlezo という中国のベテランエスペランチストによって書かれている。ウィキペディアにもざっと書かれているので、興味のある方はそちらを見て下さい。
 エスペラントの学習を始めたのは20才の頃である。その後日本を去るまでの5年ほどの間に、すでにいくつかの作品を雑誌などに発表しており、この作品集にも30編近く収録されている。内容は様々で、「日本の文学史」「日本における女性の状態」といったものから「虫めずる姫君」とか童謡「ウサギとカメ」の翻訳もある。
 日本で知り合った Liu Ren と結婚、中国・上海に渡る。しかし、中国ですぐに信頼されたわけではなかった。なにせ中国では「敵国人」だったし、中国語もまだ話せなかった。スパイ容疑で国民党に逮捕されて香港に送られたこともあった。しかし彼女は夫とともに粘り強く努力し、次第に理解者を得て武漢で対外ラジオ宣伝に従事する。日本では「嬌声売国奴」などと呼ばれることになる。彼女は日本国民もファシズムの被害者であり、中国・日本の人民は連帯できると考えていた。
 その後活動の中心は文筆活動に移り、1941年には石川達三「生きている兵隊」をエスペラント訳して出版した。この著作集にはその全文が収録されている。
 500ページの大冊だが、エスペラントは読みやすく分かりやすいので、初級を終えて中級の読み物に取りかかろうという人にもいいかもしれない。中国の地名・人名や近現代史の勉強にもなる。
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