エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて22年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

人間とは何か?

2018-07-25 | 読書ノート


「Sengxenaj Dialogoj」の後半は生物学である。
 まず染色体や遺伝子から始まり、進化論に話が進む。一組の親から生まれる子供の持つ遺伝子の組み合わせは数十億種類あり、さらに遺伝子の交換や突然変異も加わる。突然変異はその多くの場合が生命体にとって不利になるが、中には逆に環境に適応する場合もあり、これが進化の原動力になる。
 生物の繁殖する力は非常に大きい。1859年に狩りを楽しむためにオーストラリアに24匹の兎は瞬く間に全土に広がり、生態系を破壊した。必死の駆除にもかかわらず1940年代にはオーストラリアほぼ全土に広がり8億匹に達した。今でも兎とのたたかいは続いている。
 こうした生物の増殖する力は、細菌などミクロの生物ではもっと劇的である。その過程で進化がくり返されるので、たとえば抗菌薬の使用が耐性菌を増やしてしまうといったことが起こる。
 生物の進化には目的があるわけでもあらかじめプログラムがあるわけでもない。ところが人類の登場は新しい局面を生み出した。世代から世代への知識・歴史の継承は遺伝子ではなく言葉によって行われる。身体的能力は人工物によって発展する。この発展は生物進化にくらべるとものすごく急である。生物が空を飛べるようになるまでの時間と、人類がその能力を獲得するまでの時間をくらべてみるといい。コンピュータによる知能の新しい発展も始まっている。
 遺伝子についての科学は新しい生命体の創造をも可能にする。人類は自然界全体に対して重大な責任を持つことになった。まだ先の見通しは分からない。人類はどこに行くのか?

 こういったかなり本格的な科学書がエスペラント原作で読めるのはうれしいことである。最近ではダーウィンの「進化論」がエスペラント訳されたが、「Sengxenaj Dialogoj」の最新版も含めて、もっといろんな分野での原作・翻訳の出版を期待したいと思う。
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