エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて23年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

La Mortula Sxipo

2018-09-14 | 読書ノート


 私はこの本を PDF 形式でダウンロードしたものを読んだ。Inko というネット上の出版で、すべてプロテクトがかけられたPDF形式である。全部で208タイトルが出版され、自由にダウンロードできる。現在もネット上に残されている。http://i-espero.info/files/elibroj/
 そのままの形で iPad で読むことが出来るから便利なのだが、本をスキャンして OCR でテキスト化したものらしく、字上符文字などの誤変換が見られる。

 さて、Mortula Sxipo について続けよう。Inko ではタイトルに冠詞がついていないが、実際の本ではついている。
 ストーリーを大まかに紹介してみよう。実際に読まないとこの本の価値は分からないから、興味がわいたらぜひ読んでほしい。
 アメリカ人の船員 Gale の乗った船がベルギー・アントウェルペンに寄港する。彼は一夜の享楽のために上陸し、夜の女に所持金を巻き上げられる。港に戻ると、船はすでに出航してしまっていた。船員証などの書類はすべて船の中である。かくて「無国籍」になってしまった彼は地元警察からは厄介者扱いされ、オランダに追放される。オランダの警察は彼をベルギーに送り返すが、再度送り返され、ロッテルダムにやってくる。ここから船に潜り込んでフランスに密航しパリにやってくるが、「キセル乗車」で逮捕され刑務所に入る。釈放後、パスポートを手に入れようとアメリカ領事館に行くが、アメリカ国民を示す何の証拠もなく、「書類がなければ君が生まれたことさえ証明できない」と言われる。放浪を続けて農家で働いたり、迷い込んだ軍事要塞で死刑宣告を受けたり、逃亡した元ドイツ兵になりすましたりと、様々な冒険をしながらスペインにたどり着く。ここでは誰も身分証などの「書類」を気にしない。空腹になったらパン屋で「お金がないがひもじい」と言えば恵んでくれる。ここでは、立派な男が働いていないのはそれなりの理由があるのだろうから「なぜ働かないのか?」と聞くことは不作法なのだ。ここまでが第一部で、楽しく読める。
 港で魚を釣っていたときボロ船(Jorike)が現れた。「これは死の船に違いない、こんな船では働きたくないものだ」と思うが、船上から「仕事をしないか?」と声をかけられて乗船してしまう。船員には仕事に誘われたときには断らないという迷信のような習性があるのだ。ここからが第二部で、最悪の環境・労働条件で地獄のような激しい労働生活が始まる。ここで第2の主人公 Stanislav と出会う。船員たちはいろんな国からやってきた「死人」たちである。Gale(すでに名前さえ Pippip に変わっている)はその中でも最下層のボイラーマン助手である。船内の様子や彼の仕事場・労働についてかなり詳しく具体的に描写されている。そろそろこの船に慣れて「ここも悪くない」と思い始めた頃、Gale と Stanislav は他の船に暴力的に拉致される。ここから第三部になる。
 新しい船は一見新しく見えたが実際には Jorike 以上のボロ船で、保険金目当てに座礁させることが唯一の航海目的であった。座礁させたときに嵐になってしまい、Stanislav と Gale だけが助かって広い海を船の破片に乗って漂流する。
 この話自体が Gale の独白なので、Gale は生き延びるのであろうが、そこまでは書かれていない。
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