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酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

震災まとめ【その3】

2011-04-02 18:48:05 | のほほん日記系
週が明けた。
3月14日
朝から献血をしたいからバスを申し込みたいという電話がひっきりなし。
血液センターには土日に献血したいという人が殺到し4時間待ちだった。
いつも献血をしてくれる人には「2ヶ月後にお願いします」と言って帰ってもらうが、今まで献血なぞしたことない善意丸出しの人が怒り出す。
「震災被害に役に立ちたいから来たのになんだこの体制は」
今はいらないと言っても「血液が不足して困っている」と勝手に思い込んで是が非でも自分の血をあげたいらしい。
『今はこの状況で集まっているから後日連絡してから献血お願いします』
とてもかまってられないのでHPに「献血はあわてるな」と載せた。
職場内からも殺到したので社内掲示板にも載せる。
善意はありがたいが、断られたからって怒るのはナゼ?
結局、何かを「してあげた」という勝手な自己満足。
困った人を救うより自分の思い通りにならないことが嫌らしい。
「助けてやる」って上から目線でなく、ちったぁ謙虚になれよ。

実はこのときとんでもないことが起きていた。
世間の目が東北の悲惨さや原発事故に向いていたとき、震災とは関係ないココで死人がでるかも知れなかったのである。
とある医薬品が日本全国から無くなりかけていた。
普通は年寄りに使われることの多い薬であるが、甲状腺ガンで切除した人にとっては命綱となる薬だった。
それを1社でほとんど製造していた工場がいわき市にあったのである。
震災で工場は破損、ストックされた製品倉庫はゆがんで動かず、原発の危険も迫っていた。
至急調査したところ流通在庫は3日分程しかない。
病院や薬局にもたかが知れている。
医療機関相互での融通のシステムを作らなければならないが、それでもいつまで持つか。
日常は全く普通の生活ができている患者だが、命には代えられない。
緊急的に入院措置を取らなければならないか。
毎日、毎日、厚生労働省やメーカーから情報をかき集めた。

メーカーの決死隊が倒れた倉庫から少しづつ運び出すらしい。
なんとか1ヶ月弱はもつ。
国も緊急輸入を即日認めた。
4月半ばまでなんとか持てば、供給量も増えるとのことで大事にならなくて済んだのである。
被災地ばかりでなく、命の危険はココにもあったのである。

震災まとめ【その2】

2011-04-02 11:40:03 | のほほん日記系
3月12日
携帯が鳴った。
「献血のことで、職場に電話してくれ」
K課長から、山で芝刈り中だから代わりに対応するよう〔命令〕
非常事態だろうから、職場に電話してみる。
「社長のツイッターに献血の書き込みがあったので至急検討するよう」
なんでも、震災で輸血が足りないらしいから仕事帰りでも献血できるように血液センターの時間を延長しろとのことらしい。
なんて勝手な言い草!
支援したいのなら会社休んででも支援しろよ!
いいことしてやるんだから自分の都合に合わせろってことですかぁ!
『バカこけって回答したらどうです?』
「なぜ延長できんのか」
『延長して何になるんです?全く意味ないです。意味あるんなら言われんでもやってます』
「でも善意の人が・・・」
『無責任な善意は邪魔です。こんな非常時にテイサイなんか取り繕わないで、実だけとりましょう』
実は、血液は足りていた。
被災地直下の病院に運搬する機能が一時ストップしていたのである。
血液は短いもので4日しかもたない。
さらに、日常から普通の必要量の2倍近くがストックされるようになっている。
被災地で足りない分は、周辺からじゃんじゃん供給されるし、その連携は普段からうまくいっている。
足りないところへは順送り、少し時間をおけば九州からだって1日で輸送されるのである。
全国の余剰分を順繰りにかき集めれば突発的な対応に不足することはないのである。
ただし問題は被災地への運搬は困難だっただろうから輸血が不足しているという情報は現地からは発信されたかもしれない。
しかしそれは献血が足りないのではなく、運搬が困難だったのであり、たくさん献血してもしょうがないのである。
さらにこういう非常事態には必ず善意ぶったバカが横行する。
阪神大地震の時もボランティアという名のバカモノが迷惑ばかり起こし、本当の支援者や被災者の邪魔をしたのである。
「困っているから助けたい。いいことしてるんだから自分のやることが正しい」
善意って大切だ。
でも結果的に困っている人の迷惑になる行為を善意って呼ばないよ。
自分が被災地に独力で行って手を差し伸べてあげられないのなら、直接被災地を支援している者の言う事に協力するくらいしかできないじゃないか。
自分で最後まで責任を持てないのなら口だけ出すのはやめて欲しい。つくづくそう思う。
ツイッターとかに便所の落書きを書くヒキコモリよりも、お母さんとお年玉を募金箱に入れにきた小学生のほうがよっぽど現地の人の役に立ってるよ。

ちなみに、ネット上のツールは何よりも現地の生の情報が早く手に入ることは間違いない。
しかし、ツイッターなどに書き込む心境は「なにかを感じた」からこそ書かれる。
リアルタイムの生の情報ではあるけれど、悲痛な叫びがたくさんあるように見えるけれども、それは悲痛な叫びを集めたものにすぎず、印象深い事象にだけ極端なバイアスがかかった情報でしかないのである。
ツイッター信者はツイッターに世間一般の重要な情報が流れていると思っているが、一般の人は決して便所の落書きに重要な情報を書いたりしない。
なぜなら【自分を助けてくれる人がそこにいるとは思えないから】である。

震災まとめ【その1】

2011-04-02 10:52:35 | のほほん日記系
4月になった。
ここのところ、震災のドタバタで疲れ果てていた。
やっと一段落したので、まとめをしておこう。

3月11日
職場のI橋さんがメールを見てテレビをつけた。
「地震があったみたい。・・・あ、あ、あ、すごい!」
画面には家が車が押し流されていく映像。
農道を走る車に津波が迫りくる。
「あ、逃げて逃げて」
あっという間に車が消えた。
高台の道路に大型車が止まっているが、下の道に軽自動車が走っている。
大型車は孤立した道路に取り残されているが、今まで走っていた車は流されていく。
こりゃ助からん。

「東京もひどいらしい」
あ、K川さんとHさんは?
東京出張に行った同僚に電話するがつながらない。
『うーん、今電話使うのは迷惑だろうけど・・・』
そのうち、職場内で出張者の安否確認の指示。
何度かけてもつながらない電話。
十数回かけた後、固定電話からやっと呼び出し音が。
「よく繋がりましたねぇ」
K川さんは無事のようだ。
携帯は全くウンともスンとも言わないとのこと。
会議中に全員外に飛び出し、日比谷公園に避難したらしい。
会議を再開するというので、Hさんは戻り、K川さんは新橋周辺の様子を確認しにちょっとうろついていたという。
電車は不通、車は路肩で停車しており、信号や電気は大丈夫。
ビルのガラスも壁もなんともない。
戻ろうとしたその時、2度目の揺れが襲った。
「ビルがグニャグニャに曲がって、あんなに曲がるものなのかと思った」
あらゆるビルから人が飛び出して来て、日比谷公園が超混雑となった。

『とにかくHさんを探して一緒に行動すること!ホテルに戻りな!』
『電車は不通だから。歩いて数キロだからとにかくHさんと一緒に品川まで行くこと』
2人の家に連絡。
「K川さんは無事」
「崩壊等はないとのこと」
「Hさんは連絡取れないがおそらく無事」
「東京からは電話がほとんど通じない」
「電車が止まったので明日の帰りはどうなるかわからない」
2人の家どちらも「はぁ、そうですか」
事態が理解できていないようだ。
後で聞いたら、HさんはさっさとK川さんを探すのをあきらめ、徒歩で品川プリンスに到着。
ホテルも立ち入り禁止となっていたので、余裕で飯食って待っていたらしい。
K川さんはHさんを探していたため、品川へ歩き出すころは人に押されるように歩道をゾロゾロ蟻さん行列だったという。
まぁ、20時半にはチェックインでき、泊まることができたが、その頃は帰宅難民が街にあふれ、飲食店は大行列、コンビニはなにも無くなり、ホテルのロビーやエレベーターホールに雑魚寝する人がいっぱいだったそうな。

翌日、地獄のような帰路の果て、無事に着いたとの知らせ。
職場に電話したが「何で報告するの」ってな感じ。
『あのなぁ、安否確認は帰り着いて初めて安否だろ!現地で無事だからもういいってか!』
危機感のないバカどもが指揮をとるなよ!