This is me.

- 無用の用 -

『働く過剰』玄田有史

2009-05-10 15:31:17 | 本 2009
『働く過剰』玄田有史


【内容情報】Amazonより
若者と労働をめぐる言説は多い。「ニート」「即戦力」「コミュニケーション能力」「自己実現」「過重労働」……。▼しかし、それは責任を放棄した大人が作り出したプレッシャーではないのだろうか。いわれなき圧迫に翻弄される若者たち。その背後には日本社会の階層化も忍び寄っている。
「働くことに疲弊する若者」と「働けない自分に絶望する若者」を、理解不能な存在、単なる社会的弱者として排除することなく、大人たちが個人として、社会として彼(彼女)らの就業と自立のためにできることとは何か。
企業の本音、支援現場の声、そして豊富な最新データを総合した本音の革新的論考。「ニート論」の火付け役にして労働経済学の第一人者による「現代若者論」の集大成。



しばらく前からこの本が本棚にあった。
いつ、どこで、どうして購入したのか全く覚えていない。
まあ、きっと私のことだから、どこかでレビューを見て興味を持って、それで買ってたんだろうなあー。
ちょっと難しい感じの本だから、読むのに躊躇してるうちに忘れてしまったってとこだろう。
いつの間にかあり、そして、次に何を読もうかな?と考えるたびに、「これ読んでないなあ」と思いながら素通りしてた。
しかし、今回思い切って読んでみよう、と思った。
この本は単行本なので持ち運びに困るため、このゴールデンウィークの間に読んでしまおうと思っていた。しかし、なんだかんだで読めずに、結局電車の中でも読んだりした。


結論から言うと、なかなか興味深い内容だった。


現在、私は、この本で言われているところのフリーターであり、少し前までは、サラリーマンをしていて心の病に罹ってしまい働けなくなったニート、だった。
働きたいという意欲はあるものの、働けない、という、非求職型、であったわけだ。
それが、2年8ヶ月ほどの休職期間を経て、ようやくフリーターに昇格したという、ね。

結局のところ、なんで自分は働き始めたのだろうなあ、なんてふと思い返してみた。
やっぱり、なんだかんだ言っても仕事がしたかったんだよな。社会から取り残されていく感が耐えられなかった。というか、“それまで当たり前のように出来ていたものが出来なくなった”ことが耐えられなかったのかもしれなかったなあ。
その他諸々も勿論ある。家族に後ろめたいとか、収入が欲しいとか。

私と同じような境遇にある人って、今たくさん居るんだろうなあ。
別に焦ることはないと思う。何年休んでから働きなさい、なんて答えがあるもんじゃないし。これだけは本当に人それぞれ。
自分でやろうと思い始めたその時が、その時、なんだと思う。
色々事情はあるかもしれないけれど、辛いかもしれないけれど、きっとぼちぼちでも働ける日は必ず来ると私は信じてるんだけどな。
それには、勿論、努力は必要だ。
「努力」と言っても、一概に働くことへだけに頑張るベクトルを向けたものだけじゃない。
「休む」ということに、頑張る、というか。
うーん、まあ、まだ私もフリーターなので、偉そうなことは言えないし、同じ病気でも、本当に人それぞれで、風邪で熱が同じ38℃出てしんどさが人と違うように、本当に人それぞれなんだわな。
難しいわなー。

私も次へのステップに向けて、とりあえず今を頑張らなければならない。
さっきも書いたけど、我武者羅にやることだけが、頑張ることじゃないと思っているから、時には休息も必要だと思うし、ってそこら辺のさじ加減が難しいんだよなー。
まあ、なんだかんだ言いながらここまできたんだから、今の仕事を2年ほどやって、次は週5で働きたいと思っている、という感じかなー。
ってなんだかレビューに全然なってないな。ま、いっか。(←こういうのが大切。笑




読んでいて、印象に残ったところ。


「やりたいことなんてなくても大丈夫」とはっきり伝えたい。「やりたいことは、働くなかでほとんど偶然のように、みつかるものだ。(略)」

これは、本当にそう思うな。
私も低学歴に入るのかな?高卒で、会社にだって、先生が勧めるからなんとなく入社したし。入ったら入ったで、最初なんて自分が何してるんだかちんぷんかんぷんだったし。
そのうち、あることがきっかけで資格を取ろうと思って、取った。
そしたら異動の話が来て、あれよあれよという間に、同じ会社だったけど、転職したも同然の状態になって、また自分が一体何をしているんだかちんぷんかんぷんの世界に入って・・・・・・なーんていう状態だったもんな。



・すべての信頼関係は、目の前にいる相手のことを「自分はわかっていない。でもわかりたい」という気持ちをお互いが共有し続けることでしか保たれない。その緊張を忘れ、相手のことをすべてお見通しとわかったつもりになった瞬間、関係の崩壊は始まる。

この一文はとても深いなーと思ったな。
これって確か、企業側の人材育成についての章に書かれていた言葉なんだけど、多くの人間関係に繋がる部分だよなあ。
初心忘れるべからず、という感じだろうか。これってやっぱ大切だよな。と思って、密かにやってることあるけどねえ。





この本って一体誰向けなんだろうなあ。
多岐にわたっているので、一体誰向けなんだろうな、って思いながら読んでた。
誰が読んでもなかなか興味深いんじゃないだろうかなあ。

あと、章ごとに、ここがポイントみたいな感じで、まとめてくれているのもわかりやすかった。






しかし、これが出版されたのが2005年。
参考にしているデータが2002年。
現在は、2009年。
もう既にだいぶ変わっているだろうな、なんて思った。