This is me.

- 無用の用 -

7『キッチン』吉本ばなな

2008-01-16 20:41:47 | 本 2008
吉本ばなな『キッチン』

【内容情報】
家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる―。唯一の肉親の祖母を亡くしたみかげが、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居する。日々のくらしの中、何気ない二人の優しさにみかげは孤独な心を和ませていくのだが…。世界二十五国で翻訳され、読みつがれる永遠のベスト・セラー小説。泉鏡花文学賞受賞。


半分ほど読んだ時に「これ・・・もしかして読んだかも」と気付いた。が、しかし最後がどんなだったか思い出せなかったので全部読んだ。読んだ本はだいたい家にあるので調べてみたけどなかった。どこで読んだんだろう・・・学生の時かなぁ。うーん、思い出せない。
吉本ばななさんの本は前に『とかげ』を読んだことがあって、その時はそんなに思わなかったけど、これ、めちゃくちゃよかった。何度も読み返せる本っていうのかな。
生、死、仕事、恋愛・・・様々なことがこの一冊に詰め込まれてる。書かれていることにいちいちうなずけるというか。
何気なく取った本だったけど読めてよかった。





この本は「キッチン/満月―キッチン(2)/ムーンライト・シャドウ」の三篇からなっているのだけど、どれもよかった。

「ムーンライト・シャドウ」を読みながら失恋した時の事を思い出した。
ここからちょっとネタバレ・・・?








この「ムーンライト・シャドウ」では恋人が死んでしまう。私は恋人を死別という形でなくしたことはないけど、ある日突然居なくなってしまった、ことはある。
それは相手にしてみれば「ある日突然」ではなかった。私にとって「ある日突然」だった。
その人の事が好きだった。このままずっと一緒に居るんだろうと思っていたときに突然別れを告げられた。そんな予感は微塵もなくて。私には本当に突然だった。
とてもショックで何が起こったのかわからなかった。
この本で私の感じた、あの時の感じが本当に上手く表現されていた。
朝起きた時に感じる「現実」という絶望感。すぐにまた夢に逃げたくなったあの朝。明日からどうやって生きていけばいいの?と毎日問いかけて。どうやってどんな顔で過ごせばいいのか分からなかった。どういうふうに息をしていたのかさえもう分からなくなっていた。
当時の私は本当にこんな感じだったなぁ・・・。しみじみ
思えば相手にかなり依存していたんだな(苦笑)
失恋ってそりゃなかったらなかったで越した事はないけど、今の私が形成されているのもああいうのがあったからで。それを考えると何とも言えないな。まあ、いい、悪いの話じゃないか。
私にも、こんな時代もあぁったねとぉ~♪
これは経験していないとなかなか書けないと思う。吉本ばなな・・・気になる。