【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「シルク」:新月島公園前バス停付近の会話

2007-12-08 | ★東16系統(東京駅~ビッグサイト)

あ、風流な屋形船。これからお出かけね。
外国人がこういう、いかにも日本的な風景見たら、喜ぶんだろうなあ。
そういえば、試写会で外国人が喜びそうな映画を観たわね。
なんだっけ?
マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、中谷美紀たちが出演するイタリア・カナダ・日本合作映画「シルク」よ。
ああ、そういえば、そんな映画もあったな。
あったな、じゃなくて来年公開の映画なのよ。正月第二弾の大作。19世紀フランス、男は愛する妻を残し、遥か極東の地、日本へと旅立つ。一人の美しい少女との出会いが、彼の運命を変えていく・・・。
・・・って、チラシの文章をそのまま読むな。
でも、おもしろそうじゃない。夢見る乙女の私にぴったりの映画よ。
乙女って、いつから三十過ぎの女を指すことばになったんだ?
気持ちのことを言ってるの。
で、自称乙女の気持ちは満足したか。
そう正面切って言われちゃうと困るけど、きっと外国人が想像するとおりのエキゾチックな日本があったんじゃない?
日本を何も知らない外国人が頭の中だけで想像する島国、日本がな。
ずいぶん厳しいこと、言うのね。蚕の卵を求めてはるばる日本にやってきたフランス人と出会うのが役所広司。その妻を新人、芦屋星が演じてる。
ちょっと待て。妻じゃなくて、娘だろう。
ところが、妻なのよ。すばらしく意外な展開でしょ。
すばらしく意外というか、おそろしく法律違反だろう。親子にしか見えないぞ。うらやましい・・・。
彼女が思い切りミステリアスに描かれていて、外国人の夢見る日本人女性像そのままだった。
ああ、ほんとに夢見てるみたい、というか夢遊病者みたいな役だもんな。ひとことも喋らず、お湯に出たり入ったり。温泉旅館のCMかと思ったぜ。
そんなこと言ったら、これから観る人に余計な先入観を持たれちゃうでしょ。
でも、みごとなほど何考えてるかわからないんだぜ、この女。
外国人から見たら、その何考えてるかわからないところがたまらないのよ。
そりゃ、駅弁だ。
は?
いや、詭弁だ。
はあ・・・。
すまん、すまん。こういう映画を観てると頭の中がとろけてきちゃうんだよ。
そうか、とろけるほど魅力的だったってことね。
うーん、そういうふうに何でもいいほうに受け取ろうとする人間がいるから、こういう映画が後を絶たないんだぜ。
こういう映画って?
エキゾチックと意味不明を取り違えている、とろけた映画。
日本が合作に入っているんだけどね。
何で役所広司はこんな映画に出たんだろうな。キーラ・ナイトレイも中谷美紀も、みんな何でこんな映画に出たんだろうな。
あなた、ひょっとして何か全然違う映画を期待してたの?
「シルク」なんていうタイトルだから、もっと絹がこすれあうような、繊細な映画かと思ってた。ところがどっこい、タイトルが象徴するようななまめかしい映像もなかった。
ははあ、なるほど。あなたは、いやらしい映画を想像してたんだ。それでがっかりしてるんだ。
お前、ほんとに想像力が下流社会だな。なまめかしいっていうのは、映像に色艶があるってことだよ。
うーん、意味わかんない。
デビッド・リンチとか、ピーター・グリーナウェイとか、ベルナルド・ベルトルッチとか。彼らの映像を思い浮かべりゃ俺の言いたいことが少しはわかるだろ。
わかんなーい。
甘えるな!気持ちだけ乙女が。
でも、そういう巨匠の名を出して、他の映画をおとしめるのは、悪いクセよ。上から目線はやめなさい。
そんなこと言って、お前も上から目線で屋形船を見下ろしてるじゃないか。
乗ってみたいなあって思ってるだけよ。
芦屋星みたいな女が中にいたら、俺も乗るけどな。
って、結局、気に入ってるんじゃない、夢遊病者とか言ってたくせに。
映画の出来とは別にな。


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ふたりが乗ったのは、都バス<東16系統>
東京駅八重洲口⇒通り三丁目⇒八丁堀二丁目⇒亀島橋⇒新川⇒住友ツインビル前⇒リバーシティ21⇒佃二丁目⇒月島駅前⇒新月島公園前⇒日本ユニシス本社前⇒IHI前⇒豊洲二丁目⇒豊洲駅前⇒深川五中前⇒東雲橋交差点⇒東雲一丁目⇒ジャパン・エア・ガシズ前⇒東雲都橋⇒都橋住宅前⇒かえつ有明中高前⇒有明二丁目⇒有明テニスの森⇒有明一丁目⇒フェリー埠頭入口⇒東京ビッグサイト









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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2008-08-09 19:15:50
■kimion20002000さんへ
上から目線でも下から目線でも、奇妙な映画だったことは間違いあいません。どこから目線だといい映画に見えるんでしょうね。
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上から目線 (kimion20002000)
2008-07-17 18:38:51
TBありがとう。
この映画は、「なにさまのつもり!」って、上から目線でで言うしかありませんよねぇ。
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2008-01-23 21:24:38
■ケントさんへ
風景と音楽はこの映画にもったいないほどよかったですね。最後の手紙を納得させるには、芦名星にばかり焦点をあてないで、キーラ・ナイトレイもきちんと描かないとね、と思いました。

■ミチさんへ
外国人全般、ではなく、一部の外国人であることを祈りたいですね。
返信する
こんにちは♪ (ミチ)
2008-01-20 11:42:15
やはり外国人にとっては日本ってこういうイメージなんでしょうね。
「こうあってほしい」みたいなものを感じました。
>エキゾチックと意味不明を取り違えている
永遠に埋められない溝なのかもしれませんね。
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Unknown (ケント)
2008-01-19 23:49:49
こんばんはTBお邪魔します。
本日映画館で観ました。
この映画、最後の手紙が全てですね。風景と音楽はベリーグッドだけど、脚本がどうもね・・・
悪い映画ではありませんが、お金と有名俳優を使う必要性は無かったですね。
まぁ三人のヌードはおまけでしたが・・・
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コメントありがとうございます。 (ジョー)
2008-01-14 09:37:14
■きららさんへ
この少女、夢遊病者かと思いましたが、そうではなくこの映画を製作した人が夢遊病者だったんでしょうか?
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同じく☆ (きらら)
2008-01-13 20:07:18
こんばんはー。
ほんとうに!
あの少女はなんだったんでしょうね
役者さんたちももったいないですー。
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コメントありがとうございます。 (ジョー)
2008-01-13 10:57:26
■HIROMIさんへ
外国人からみるとこういう日本女性が魅力的に映るんでしょうか。
ワースト1候補というのも納得できる作品でした。

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今年もよろしくお願いします (HIROMI)
2008-01-12 11:21:51
女の正体が不明で、ただ不気味でした。ほんとにわけ分からなかったです。私の今年のワースト1に早々と決定です。 
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コメントありがとうございます。 (ジョー)
2008-01-09 20:40:19
■migさんへ
21世紀にもなってまだこんな映画ができることに
驚愕しますね。
そういう意味で一見の価値ありかも。
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ジョーさん☆ (mig)
2008-01-09 10:46:41
こんにちは☆

あはは、この記事、笑ってしまいました

ほんと意味不明でした。
大金かけてなんでこんな映画を作ってるのかも

今年も宜しくです
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今年もよろしくお願いします。 (ジョー)
2008-01-08 20:13:50
■kzeさんへ
まさしく拍子抜けする映画でしたね。
ここまで奇妙だと、案外カルト映画として持ち上げられたりして。
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今年もよろしくお願いします♪ (kze)
2008-01-07 19:57:35
こんばんは!

本当、キャストで期待してしまったのか
かなり拍子抜けしてしまいましたね

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