【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「フローズン・リバー」:国立がんセンター前バス停付近の会話

2010-02-17 | ★市01系統(新橋駅~新橋駅)

この下を走る高速道路、昔は運河だったらしいわよ。
きょうみたいに寒い日は、凍ることもあったんだろうな。
文字通り「フローズン・リバー」ね。
アメリカ映画の「フローズン・リバー」は、セントローレンス川だったけどな。
凍りついた冬の川を、不法移民を乗せた車が渡っていく。
ここの高速を走る車みたいにな。
それはないでしょ、日本の場合。
そうかなあ。
お金のために、不法入国者の運び屋をやるのが50歳近くなる白人女性。メリッサ・レオが渋く演じてる。
この映画の演技でアカデミー賞にノミネートされた。
いまは、古いトレーラーハウスに住んでいるんだけど、幼い子供たちのために、新しいトレーラーハウスを買いたくて、つい悪事に手を染める。
日本では、トレーラーハウスを家族で暮らす家にするなんて、あまり想像できないけどな。
こういう、地に足がついた家さえ持たない暮らしをしている人たちって、実際、アメリカにはたくさんいるんでしょうね。
マイケル・ムーア監督の「キャピタリズム マネーは踊る」で暴かれた格差社会の底辺にいる人々を劇映画で再現したような真実味がある。
そして、もうひとりの主役が先住民、モホーク族の女性。ミスティ・アップハムという、生活感ある女優が演じている。
こちらもまた、つつましやかなトレーラーハウスを住処にしている。
先住民ってことで、居留地が与えられているんだけど、アメリカの恥部を見せまいと隔離されているようにも見える。
少なくとも、幸せにはほど遠い。
この異人種同士がひょんなきっかけから手を組んで運び屋をやるうちに、気持ちを通わせていくという物語。
お互い、幼い子供を抱えている母親同士って部分では、肌の色に関係なく通じ合うものがあったってことだ。
そのあたりの心の変化は、パキスタン人の赤ちゃんを運ぶエピソードを通して、くっきりと浮かび上がってくる。舌を巻く脚本もまた、アカデミー賞にノミネートされた。
さまざまな人種の人たちが出てくるんだけど、誰ひとり幸せとはいえない。人種のるつぼ、アメリカの実態を凝縮して見せられているようで、寒々としてくる。
凍てついたセントローレンス川の荒涼とした光景がまた、こういう物語にふさわしい味わいをもたらすのよね。
でも、最後にはほのかな希望も垣間見せて、この監督、ちょっと隅に置けない。
コートニー・ハントっていう新人女性監督、その腕は決して凍てついていなかった。
寒い日に観るのは、お勧めしないけどな。




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ふたりが乗ったのは、都バス<市01系統>
新橋駅前⇒浜離宮前⇒築地五丁目⇒築地市場正門前⇒国立がんセンター前⇒新橋駅前


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