【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「崖っぷちの男」

2012-08-01 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)


あなたみたいなタイトルの映画ね。
そう、どうせ俺は人生崖っぷちさ・・・っていい加減にしなさい。
無実の罪を訴えるために高層ホテルの外縁に立つ男の話。
もちろんそこにはウラがあるんだけどな。
展開がスピーディで停滞するところがない。
ワケあり女の交渉人を呼んで気持ちが通い合いそうになる場面もあるんだけど、そんなところに連綿としないでストーリーは前に進んでいく。
弟とかその恋人とか父親とかファミリーの話でもあるんだけど、そこもまた、日本映画あたりによくありがちな人情話に持ち込んで映画を弛緩させるようなところはない。
彼を取り巻くやじうまのひとりの行動が最後は決め手になるあたり、定石だけどうまくはまっている。
犯罪者がやじうまたちのヒーローになってしまう話ってシドニー・ルメットの「狼たちの午後」みたいな話でもある。
欲を言えば、「狼たちの午後」みたいに時間の経過があって、昼の事件が夕暮れから夜になってみんなの疲労度も増すような展開があればもう少し映画にふくらみが出たかもしれない。
たしかにナイトシーンがあれば映像も演出ももっと豊かになったかもしれないけど、ウラで起きてる事件にそんなに時間をかけるわけにはいかない事情もある。
それはそうだ。
監督はアスガー・レス。聞いたことない名前だけど。
これがデビュー作らしいぜ。
監督としては、全然崖っぷちじゃないわね。
そう、俺と違って・・・っていい加減にしなさい。


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