【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「百万円と苦虫女」:清澄白河駅前バス停付近の会話

2008-07-23 | ★門33系統(豊海水産埠頭~亀戸駅)

ラーメン屋の前を通ると、アルバイトをしていたころを思い出すな。
指をどんぶりの中に突っこんで客の前に出して、いっつも店長に怒られてたわね。
いや、ああすると指の油がいい具合にスープに溶けこんで、絶妙な味わいが生まれるんだ。
うそばっかり。
はは、ばれたか。
おかげで何度ラーメン屋をクビになったことか。
それにひきかえ、「百万円と苦虫女」の蒼井優の器用なこと。カキ氷つくりも桃もぎもいっぺんでコツを覚えちゃうんだから感心するな。フリーター時代の最先端を行く才能の持ち主だぜ。
アルバイトで100万円貯めては、また次のアルバイトを探して引越しするという、友だちのいない女の子の物語。
ひとところにいることで人と親密になるのがイヤ、っていう、いかにも最近いそうな女の子だ。
奇妙なタイトルから、相当、根暗でひねくれた物語かと思ったけど、蒼井優の人柄のせいか、意外にストレートな青春映画に仕上がっていたわ。
彼女の苦虫をかみつぶしたようなつくり笑いが印象的な映画ではあったけど、タイトルはもうちょっときれいでもよかったかもしれないな。
自意識過剰と自信のなさの固まりみたいな、そうとうとっつきにくい女の子を演じているんだけど、容姿がかわいいから回りがほっとかないのよね。
そういやあ、アルバイト先で起こる事件は、ナンパされかかるとか、ミス・ピーチに選ばれかかるとか、かわいい女の子ならではのエピソードだったな。
私が同じような行動をとっていたらいまごろどうなっていたか、と思うと暗澹たる気持ちになるわ。
まあまあ、そう肩を落とすな。映画なんだから、もっとポジティブに楽しめよ。
後半は、森山未来との恋愛模様。その中で、自分の殻に閉じこもっていた蒼井優が徐々に考えを改め始める。やっぱり、女には男なのよね、男。
なに、いじけているんだよ。
女優と比べちゃいけないと思いつつ、つい、我とわが身を振り返っちゃうわけよ。
そんな、蒼井優に対抗心を感じるような年じゃないだろう。
女はいくつになっても女なのよ。
ふーん、よくわからん。
でも、最後が、ハッピーエンドというより、現実のほろ苦さを投影した微妙な幕切れだったから許しちゃうわ。
そうそう、それでこそ、正しい映画の見方だ。
そうやって考えると、蒼井優の困ったような、会話にならない会話を堪能する映画でもあったわね。
現実には、立て板に水のように自分の気持ちを表明するヤツなんていないわけで、ああいうたどたどしい会話には、いちいち共感しちゃうよな。
こういう自然体の映画が最近の日本映画には多いわね。みんな佳作で拾いもの。
つくりものが好きな人は、テレビ番組の映画版で楽しみなさいっていうことかな。
蒼井優が見せる自意識過剰も自信のなさも、青春期を通り過ぎた人なら、多かれ少なかれみんな経験していることだし。
やっぱり、ひとごととは思えない。
うん、ひとごととは思えない。
容姿を除いては。
言わないで!


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ふたりが乗ったのは、都バス<門33系統>
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2 コメント

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はじめまして (ぴょん)
2009-06-08 00:11:08
はじめまして♪
かみさんの実家が日立の
河原子海岸で民宿をしています♪

蒼井優の映画
【百万円と苦虫女】
河原子で撮影してました♪
休憩中ですが、写真撮ったので
見に来て下さい♪
実物はすごく
可愛かったです♪
監督が、この河原子海岸が
気に入って撮影したそうです!
実際、綺麗です♪
義父が他界して、
かみさんの兄弟と
実家を盛り上げて行こうと
ブログを作りました。
通年民宿 第二常作です・・
宜しくお願いします♪
http://motemama.seesaa.net/

■ぴょんさんへ (ジョー)
2009-06-08 21:42:16
蒼井優さんと会ったんですか?
うらやましい。
海岸のシーンもなかなかおもしろかったですね。
いちど行ってみたいなあ。

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