
「黄色いリボン」っていうジョン・ウェインの西部劇があったな。

知らない。

「黄色いリボン」っていう桜田淳子の歌もあった。

知らない。

知らないとは言わせないぞ。お前だっていい年なんだから。


このリボン見えるでしょう ラブサインなの 待っててね

知ってるじゃないか!…と、ミヒャエル・ハネケ監督の新作とは関係ない話ばかりするのは、この映画、独特の肌触りで、どう表現していいかわからないから。

基本的には犯罪と謎解きの話なんだけど、その謎がきれいに解かれるわけじゃない。

むしろ、その謎の周りでうごめく人々の内面のドラマ。

謎が解かれないフラストレーションが溜まるかと思うと、それ以上に登場人物たちの心の闇がずっしりと残って、これはこれで映画として完結しているんじゃないかと思えてくる。

謎が解かれたらそれでおしまいだけど、謎が残る分、ざらりとした言いようのない感触が心に残る。

子どもたちのたたずまいがまた怖い。ある意味、ホラーよね。

「
キック・アス」を観たときのようにひとこと言いたいか。

全然種類が違う映画じゃない。これはもうリアルな描写そのもの。だから怖い。

そして、空間を立ち昇ってくるようなこの心の闇を描くには、冷たいモノクロ映像しかないっているのも納得させられるような美しくも不気味な映像。

たしかに、これがカラー映画だったら、独特な魅力が台無しになっていた。

時代は、1913年夏、北ドイツの閉じられたような寒村。ナチズム台頭の前っていうのも、なにやら不穏な空気をあおって、この映画を益々不気味なものにしている。

その閉塞感こそがテーマのような映画。

面白くないけど、そこが面白い映画の典型。

あなたみたい?

俺は、あんなに暗くない。
面白いとは違う しかし引き込まれる
不気味な恐ろしさ
モノクロ映像が効果的でしたね
ホラー映画でもないのに、
何とも背筋の凍る思いがしますね。