ジャパン・エア・ガシズなんて珍しい名前の会社ね。
ジャバン・エア・ガシズの間違いないんじゃないのか。
「パ」じゃなくて「バ」じゃないかって?それじゃあ、「迷子の警察音楽隊」の勘違いと一緒じゃない。
エジプトからはるばるイスラエルまで遠征してきた警察音楽隊の映画のことか。
「ペタハ・ティクバ」という町に行くはずが「ベイト・ティクバ」という町へ行くバスに乗ってしまって、見知らぬ土地で一晩を過ごさざるを得なくなるという話。
バカだよなあ。「ペタハ・ティクバ」と「ベイト・ティクバ」を間違えるなんて。
あら、あなたなんて、この前、北浦和と南浦和を間違えたじゃない。
それはしょうがないだろう。北浦和に、南浦和。西浦和に、東浦和。浦和に、中浦和に、武蔵浦和。こんなに同じような名前の駅があるんだぜ、埼玉のJRには。間違えるのも当然だろう。
というわけで、この音楽隊も間違っちゃったのよね、きっと。
しかし、このエジプトの音楽隊は、間違ってよかったんじゃないのか。
そうそう。間違ったばかりに、一晩とはいえイスラエルの庶民と触れ合うことができたんだもんね。
まあ、一晩限りの触れ合いだから、そんなドラマチックなできごとはないけどな。
「たいしたことはありません」って、最初に字幕に出てくるんだもん、笑っちゃったわ。
そう、たいした話ではないんだけど、妙にユーモラスなできごとばかりで、ずーっとクスクスしてた。
エジプト人とイスラエル人じゃ言語が違うんで、どちらもカタコトの英語で会話を交わすしかない。
別に英語が得意な人たちではないから、それがかえって俺たち程度の日本人でもわかる英語になってて、それだけでなんだか好感が持てる。
音楽隊の隊長さんと地元の食堂のおかみさんが夜の町に出かけてデキそうになるんだけど、うっちゃりを食らわすような展開が待ってる。
それが、さもありなんという結末なんだよな。
身の上話をするほど親密になってしまった二人は一晩限りの関係にはなれない。むしろ、一晩限りの関係ならお互いを知らないほうがいいっていうことよね。
それって、お前の場合もか。
ゲボッ。
音楽隊の中のイケメンが地元の若者に恋の手ほどきをするくだりもおもしろい。
冴えない風貌の地元の男女がぶっきらぼうに心を通わせていく描写は、まるでアキ・カウリスマキの映画を見ているような錯覚におちいるわよね。
なにより、この音楽隊、青い制服を着てボーッと一列に並んで立っているだけでおかしみをかもしだす。
小さく手を振るだけでやたらおかしいのは、どうしてかしらね。
たたずまいがいいんだよな。
エジプトとイスラエルといえば、政治的に微妙な関係なのに、こういうチャーミングな映画ができてしまうなんて、結局、人と人の目線に立てば、喜怒哀楽は世界中どこでも同じってことよね。
俺たちもたまには、行き先を間違えたバスに乗ってみるか。思いもかけないできごとが待ち受けているかもしれないぞ。
いまさら、そんなこと言わなくたって、あなたはいつも間違ったバスに乗っているじゃない。
それが俺の人生なのさ。
クリックしてもらえるとうれしいです。
ふたりが乗ったのは、都バス<東16系統>
東京駅八重洲口⇒通り三丁目⇒八丁堀二丁目⇒亀島橋⇒新川⇒住友ツインビル前⇒リバーシティ21⇒佃二丁目⇒月島駅前⇒新月島公園前⇒日本ユニシス本社前⇒IHI前⇒豊洲二丁目⇒豊洲駅前⇒深川五中前⇒東雲橋交差点⇒東雲一丁目⇒ジャパン・エア・ガシズ前⇒東雲都橋⇒都橋住宅前⇒かえつ有明中高前⇒有明二丁目⇒有明テニスの森⇒有明一丁目⇒フェリー埠頭入口⇒東京ビッグサイト
今年もどうぞよろしくお願いします
>身の上話をするほど親密になってしまった二人は~~~~むしろ、一晩限りの関係ならお互いを知らないほうがいいって
うむーーーーー!!ほんとそうですね。唸りました。すごく言えてます。
相変わらず、最後の一言、すごくいい感じに利いててサイコー
なんか、「ペタハ・ティクバ」と、「ベイト・ティクバ」、カタカナにしちゃうと全然似てないんですが、ちゃんと発音しているのを聞いてると、すごく似て聞こえるんですよね。
本当、この映画面白くて大好きでした!
でも、どこか悲しげなムードも漂っていて。すごくすきです、これ!
異国で迷子になりました、というだけでこれだけ魅力的な物語ができるんだから、驚きですね。荒涼とした風景がまたよかったです。
■とらねこさんへ
そうそう、ユーモラスなだけじゃなくて、悲しげなムードというか、人生の機微が漂っていてそれがまたいい感じなんですよね。
いつもありがとうございます。
今年も楽しい2人の会話、待っています♪♪♪
この映画での会話の英語。
確かに私たちでも理解できるようなものだったけど、お互い巻き舌がすごかったのが笑えましたー
ほのぼのしたいい作品でした
ってトラバどうもでした。
微妙な間とか佇まいとか可笑しな不思議な映画でした。
ローラースケート場が笑えました。
ではでは今年も宜しくです
そうそう、巻き舌がすごかった。いかにもアラブや中東の人の英語って感じで聞き応えがありましたね。
■くまんちゅうさんへ
アイススケート場じゃなくてひなびたローラースケート場っていうのが、なんだかいいですよね。
カウリスマキの映画、やっぱり彷彿させますよね。
ところで『エリザベス』で、クライヴ・オーウェンに色気が・・・と書かれていて秘かにうれしかったです(恥)。
ではでは~。
カウリスマキの映画とは対極にあるような土地の話なのに、似ているのはおもしろいですね。
ところで、クライヴ・オーウェンに色気があると思うことは恥ずかしいことではありませんよ。堂々と宣言してしまいましょう。
そう、あの青い制服姿というのがおかしみがありますね。イケメンだけは、ちょっと崩してきているんだけどね。
で、女主人も、どこか姐御という感じで、いいなあ。
あのイケメンと姉御、ちょっと見方を変えると、古いイタリア映画にでも出てきそうな風情で、人情喜劇として楽しめましたね。