期待の星、矢口史靖監督にしては、いまひとつかな。
どうして?ロボットの開発を命じられた電器メーカーの冴えない社員たちが、ロボットの外装の中に内緒で老人を入れて動かしたことから起きる騒動を描くコメディ。相変わらず、着眼がおもしろいじゃない。
そうかもしれないけど、「秘密の花園」とか「ウォーターボーイズ」にあったような、がんばってる感がいまひとつのような気がしないか。
汗水流すことを汗水流さずがんばるっていうのが矢口映画の基本ではあるけど、やっぱり、中に入ってるのが老人じゃダメ?
ダメっていうことはないけど、ありえないかもしれないけどありえる世界をおもちゃのように描く監督の場合、「がんばってるねえ、君たち」と言えるような主人公じゃないと共感できなくて、ゆる~い映画を観たなあで終わっちゃう。
がんばってる人たちをのんべんだらりと描くのがこの監督の特質だって言いたいんでしょ。そういう意味じゃ一環していると思うけど。
電器メーカーの社員たちの奮闘とか、老人の奮闘とか、そこにからんでくるロボットおたくの女子大生の奮闘とかいろいろ散らばしてはあるんだけど、どうも散漫で一本芯に欠ける気がしないか。
そういう意味では、やっぱり老人が芯かしら。
五十嵐信次郎こと、ミッキー・カーチスか。いい味出してたけど、いまひとつ弾けきれない恨みが残る。
最後の歌がいちばんよかったりして。
あれはよかった。