【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「スペル」:東洋大学前バス停付近の会話

2009-11-07 | ★草63系統(池袋駅~浅草雷門)

この大学、ちゃんと英語で表記もしているのね。
スペルは合っているだろうな。TOTO UNIVERSITYなんて、なってないよな。
そんな、トイレの大学じゃあるまいし。
しかし、間違いっていうのはどこの世界にもあるもんだからな。映画の「スペル」もちょっとした判断の間違いから、執拗な報復を受けるハメになった。
住宅ローンの支払いを待ってほしいと訪れた老婆の懇願を拒否した女性銀行員が、その老婆からとんでもない復讐を受けるというホラー。
ホラーというより、ほら話に近い。怖いというより笑える怪奇映画。
女性を襲おうとした老婆の総入れ歯がはずれ、あぐあぐした口で首を噛もうとするなんて、観てるほうまで口をアングリ。もう、笑うしかないわよね。
って、口を開けるな!はえが入るぞ。
はい。
女性のほうも恐怖におののきつつも、反撃も忘れない武闘派女性なんで、同情するというより、老若ウーマン・アクションを楽しむ感覚に陥ってしまう。
広告で「エクソシスト以来、30年待った傑作」なんて言っている評論家がいたけど、「エクソシスト」とはまったく趣を異にする大活劇よね。
たしかに悪魔祓いみたいな儀式もあるけど、悪魔に乗り移られたとたん、妙に安チープな踊りを始める男がいたりして、深刻度は異様に低い。
まったく、悪乗りよね。
うまい!その通り。
途中のトリックも、最後はああなるんだろうな、と想像できちゃうトリックだしね。
そういったずさんさが、映画をつまらなくしているかというと、そうでもないところがこの手の映画のおもしろいところでね。
突っ込みどころ満載。それを楽しんでください、っていう思い切りのよさが、ま、これもありかっていう、おおらかな気分を誘って、肩肘張らずに楽しめちゃう。
とにかく、この超高齢化社会に、しわくちゃばっちゃんが飛んだりはねたり若い女相手に大活躍ていうのだけでも、痛快だよ。
それがまた、住宅ローンを返せない果てのできごとだっていうのも人ごととは思えなくて、涙を誘う。
うそつけ。涙を誘うような映画じゃないよ。
おかしくて、涙をさそうのよ。
あ、それはあるな。
せいぜい、お年寄りは大事にしなくちゃいけないってことね。とってもためになる道徳映画だったわ。
えっ、それが結論かよ。映画の見方、間違ってない?
間違いはどこの世界にもあるわ。





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ふたりが乗ったのは、都バス<草63系統>
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