心のかたち 小野英四郎

子どものころの思い出や、毎日の生活での思いを表現しています。ご感想をいただけたらありがたいですね。

刻字

2010年11月11日 | 刻字
                  008            

刻字との出会い

神社仏閣や老舗の店舗を訪れると、山門や店頭に立派な額がかかっています。
まわりの空気を圧倒し、オーラを発しながら自己主張をしています。

私が「刻字」と始めて出会ったのは、高校に入ったばかりのときでした。
地元の古刹の山門の額を彫らせてもらうチャンスがありました。ところがその額は当時のわたしにとっては途方もなく大きくて、とてつもない堅い板でした。たぶん欅の板だったと思います。

製作に当たっては、彫る作業よりも彫刻刀を研ぐ時間の方がはるかに長くて、何度も投げ出したくなり中断しました。数ヶ月後何とか出来上がった時に、ほっと息をついた時の安堵感を今もよく覚えています。 

  
       


刻字の材料としては松・杉・ひのき・欅・梅・かりん・栃・あかしや・竹などです。
総じて堅く困難なものほど、情を深く製作出来た様に思います。

刻字は紙の面に書くのと違って思わぬ効果が発揮出来ます。それは ①材料が本来持っている質感②彫ることにより出来る立体感③使用する道具が生む切れ味④彫り手の意気込み⑤塗料による色彩効果 などです。