整復できない盲腸重積を外科的にどうやって治療するかだが、
「整復できないまま置いておいて、回腸を結腸に吻合しちゃえばどうだろう?」
というのを報告したグループもいる。
Use of cecal bypass via side-to-side ileocolic anastomosis without ileal transection for treatment of cecocolic intussuception in three horses
3頭の馬での盲腸結腸重積の治療のための回腸切除しない回腸結腸側側吻合による盲腸バイパス
カナダ、プリンスエドワード島のAtlantic獣医科大学からの報告。
症例-疝痛症状で診断を受けた3頭の馬。盲腸重積が診断された。
臨床所見-異常所見は蠕動音の減退、白血球の炎症像、脱水、直腸検査所見は特徴的ではなく、超音波検査では大腸の重積、であった。開腹手術により盲腸重積が判明した。
治療と結果-管腔内吻合器を用いてそれぞれの馬で回腸切除なしの回腸結腸側側吻合による盲腸バイパスが行われた。術後の併発症はわずかで、全ての馬は早期に回復し、手術後12ヶ月以上臨床的に正常であった。
臨床的関連-この状態を治療する上で、回腸切除しない回腸結腸側側吻合による盲腸バイパスは従来の外科手技より2点の優位性があるように思われた。盲腸の切除を可能にするために必要とされる結腸切開を行う手技や回腸切除を行う手技より、腹腔の汚染がはるかに少なかった。
また、回腸切除や、回腸の断端の縫合や、盲腸切除や、右腹側結腸に空腸断端を吻合することによる腸間膜の隙間の閉鎖が必要ないので、技術的により簡単に行うことができた。
Journal of American Veterinary Medical Association 232,4, 574-577,2008
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3症例とも盲腸は完全に右腹側結腸に入り込み、盲腸を引き出すことはできず、右腹側結腸に引き込まれている回盲部も引き出せなかった。
そこで、重積の整復はあきらめて、そのままにしておき、回腸を腹側結腸に吻合することで盲腸をバイパスしてしまったわけだ。
おそらく盲腸は結腸の中で壊死して分解され、重積部は自然治癒力で癒合し、徐々に萎縮し、空腸からの消化管内容は新たな回腸結腸口を通って結腸へ送り込まれるようになったのだろう。
これでうまく行くなら楽な話かもしれない。
実際に3頭すべてが問題なく助かったという報告なのだから。
ところが・・・・・
(つづく)
大変参考になりました。
タイトルと質問内容は違いますが、またちょっとコメント頂きたく、投稿させて頂きました。
現在4歳雄馬です。 元々JRAでも勝って、そこそこには走る馬ですが、最近はレースで、パドックでのいれこみや、レースで全く進んでいかなかったり、精神的なものだと思われますが、調教の動きと競馬があまりにも合致しません。
そこで、去勢をしようと考えてます。
一般的に去勢をすると、どれぐらいの期間で競馬に使えるものでしょうか[E:#xE483]
それと、成功失敗の判断は、一旦減った体重が増えてくると成功。と聞いた事がありますが、個体差はあると思いますが、何か基準になるものはありますでしょうか[E:#xE483]
4歳ともなると、雄化のせいで気性が悪いなら、すっかり覚えてしまっているので、去勢しても性格が変わるのに時間がかかるかもしれません。それは馬によって様々ですぐに大人しくなる馬もいます。
気性が変わるのに1週間から3ヶ月というところでしょうか。調教は2週間もすれば問題なくできます。
去勢による体重の変化と競走への効果もいろいろだと思います。
術後一週間~3月で気性が変わる。と表現して頂いてますが、ホルモンのバランスも同じ程度の時間で大丈夫ですか[E:#xE483]
術後3ヶ月で、セン馬として競馬出来る。と理解させて頂いてよろしいですか。
去勢は意外にも時間がかからない事なんですね。
ホルモンのバランス。というのが何で、大丈夫というのも何がかわかりません。天然の男性ホルモン製造装置を取ってしまうのですから元通りにはなりませんし、気性や体つきが変わることを期待して去勢することがほとんどです。
すぐにすっかり大人しくなっちゃった。という馬もいますし、痛かったのか、しばらく元気までなかったという馬もいますし、逆に、あんまり変わらないという馬もいます。雌馬でもウルサイ馬は居ますので。