黒毛和種子牛が生まれた次の日も立たず、獣医さんも「弱いから立たないのか?」と言ったので、
初乳を哺乳していたが、生まれて2日目の朝はよく診てもらったら、骨が折れている。
ということで、NOSAIの獣医さんに連絡が来て、それから私のところへ電話が来た。
電話をして来た獣医さんは子牛は見ていない。
X線撮影もされていない。
X線撮影して画像を送って欲しいとか、応急処置のキャストの巻き方を指示していると治療が遅れてしまう。
「午後1時に連れて来て」
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子牛は、折れた肢を屈曲させてタオルとガムテープで固定され、軽自動車の後に乗せられてきた。
鎮静剤投与してX線撮影したら、脛骨遠位部の粉砕骨折だ。
遠位の健常部がとても短いので固定で強度をもたせにくい。
子牛の骨端はとても柔らかい。成長板があるが、またいでも仕方ないから、ギリギリ遠位にスクリューを効かせたい。
骨折は粉砕骨折で支柱性を残した部分はなさそうだ。
LCPを使って、LHSをしっかり効かせることができれば支柱性を作ることができるかもしれないが、
子牛の軟らかい骨にはねじ山の小さいLHSは充分には効かないし、遠位部が短すぎる。
LCPを1枚とDCPを使ったダブルプレートにするか・・・・しかし、器材の値段のことも考えなければならない。
使うプレートとスクリューが増えれば、畜主に負担が増える。
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立てない子牛は見た目以上に参っているかもしれない。初乳による免疫成分も吸収できているかどうかわからない。
麻酔に耐えられるかどうかわかりません。と説明する。
給付外の診療費がかかることも説明した。
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手術台に載せて、X線撮影しなおす。
脛骨の頭側を長く切皮する。
骨から骨膜がめくれているが、骨膜を骨から剥がしてしまってはいけない。
骨膜の外で傷を開いていく。
角状変形と軸ずれをできるだけ直して用手で保持する。
粉砕しているので、骨鉗子やラグスクリューで仮止めするのは無理だ。
内側にLCPを当てて、遠位部と近位部にスクリューを入れる。
骨端部はできるだけ6.5mm海綿骨スクリューを使いたい。
その後で、角度安定性と支柱性を作り出すために、遠位部と近位部に少なくとも1本ずつLHSを入れたい。
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内側に入れたLCPでかなりしっかり固定できた。
しかし、やはりもう一枚プレートが必要だろう。
脛骨は支柱性を無くしている。使ったLCPはナローだ。
35kgの子牛といえどもナローLCPだけでは曲がるか折れるかするだろう。
脛骨の頭側にナローDCPを当てる。
遠位部に2本か3本スクリューを効かせたい。
先のLCPに入れたスクリューに当たらないようにスクリューを入れなければならない。
画像左側がLCP。
一番遠位はLHSで脛骨内果に刺さっているが保持力はほとんどない。
遠位から2番目は6.5mm海綿骨スクリューでこれはしっかり効いているはず。
遠位から3番目はLHSで角度安定性と支柱性を作ってくれるはず。
左側(頭側)がDCP。
一番遠位の孔にはスクリューを入れられなかった。結果的にはもう1孔分あるいは0.5孔分近位に置けば良かった。
ダブルプレートは、先に入れたプレートスクリューに当たらないようにドリリングしなければならない難しさもある。
遠位から2番目と3番目の6.5mm海綿骨スクリューはしっかり効いてくれるはず。
遠位から4/5/6番目のスクリューは粉砕骨折部に入っていてほとんど効いていない。
一番近位の6.5mmはしっかり効いているはずだ。
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術後、キャストをするかどうか迷ったが、キャストすることにした。
脛骨遠位部なので、多少なりとも内固定を保護してくれるだろう。
2日齢で筋肉が発達していないのもキャスト固定に向いている。
しかし、様子次第で早くはずすかもしれない。
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成長板をまたぐ内固定をしているので、プレートは抜かなければならない。
1枚ずつ2回に分けて抜くつもりだ。
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2日続きの骨折内固定で、皐月賞は見る暇もなかった、が・・・・・
エポカドーロ!おめでとう!!