馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

帝王切開仔の蘇生と処置

2014-04-25 | 新生児学・小児科

妊娠末期の繁殖雌馬の不調。

歩様がおかしい。強張っていた。とのこと。

カルシウムやマグネシウムの異常かなと思ったが、それ以上に白血球数2200/μ?、PCV57%。

心拍60、体温39.8℃。

超音波で腹水を確認。さして多くはなく見える。なにせ子宮ばかりが大きい。

それでも腹腔穿刺で腹水が採れ、鏡検してみるとフリーの細菌がわずかに見え、好中球にも細菌が貪食されている。

消化管破裂のようだ。

このままだと親子とも助からない。

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開腹手術すると、腹腔内は糞便で汚染されていた。

母馬は助ける方法はない。

帝王切開し、子馬を引張りだす。

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気管挿管し、羊水を吸引し、デマンドバルブで酸素を吸入させる。

臍は鉗子で止めて、しばらくしてから縛った。断端は消毒する。

抗生物質を投与した。

経鼻カテーテルを入れて、持ってきてもらった初乳を投与した。

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しばらく反応に乏しかったので、foal squeezing をやってみた。P4246116

すぐに大人しくなりはしなかった。

はずした頃から活発に動き始めた。

効果があったのかどうか・・・・微妙。

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今日はとても元気になって退院していった。