高校のとき、九州出身の田上先生から現代国語と漢文を習った。
中国語にも詳しく、面白い授業をしてくれる先生だった。
その田上先生は、ある年の体育祭で応援旗に書を書いてくれと頼まれて、
「無心で闘えというつもりで『空』と書こうと思ったんだけどね。
何を間違ったか、穴かんむりに土って書いちゃったんだよ。」
国語の先生が漢字を間違っちゃあまずいよね。
「書き直せないんで、大漢和辞典を調べたらね、穴かんむりに土って書く字があったんだ。
『ふんづまり』って漢字だった。
あいつら、『ふんづまり、ふんづまり』って旗振って応援してたんだよね。」
と話されていた。
どうして空に似た字が『ふんづまり』なのか、高校生の私は不思議に思った。
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穴かんむりは、まさに穴を開けるとか、管とか、空間を意味する字に使われるのだろう。
そこに土で、ふんづまり、糞詰まり。
つまり、土による腸閉塞、砂疝だ。
なるほどね。
卒業後40数年、馬医者になったおかげで「穴かんむりに土」の意味がわかった。
馬に砂、土、砂利を食べさせてはいけません。
(右)
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結腸便秘は large colon impaction.
だからといって impaction をいつも「便秘」と訳してはまずい。
子馬で小腸に回虫が詰まると、ascarid impaction となるが、回虫便秘とは言わないでしょう?
便秘とはまともに食べて良いものが水分を失って詰まることだ。
医学英和辞典にもimpactionは「便秘」とは訳されていない。
「便秘」は病名としては constipation という。
本来、食べるべきでないものによって起こった腸閉塞は英語ではimpactionでも、日本語では便秘とは呼ばない。
腸閉塞は obstruction.
異物による腸閉塞は foreign body obstruction だ。
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