この症例は上瞼側の結膜に扁平上皮癌ができて、瞼をかぶっているためかなり大きくなるまで気づかなかったらしい。
角膜が白くなってきて、なんかへんだということで気づいたらしい。
しかし、瞼をめくってみると見事にカリフラワー状。
妊娠中の繁殖牝馬で、全身麻酔のリスクも考えたが、分娩を待っていては眼を失うことになりかねなかった。
この馬の腫瘍は、眼結膜から広がって、角膜の上に至り、角膜にも浸潤しているようだった。
すでに角膜にも炎症と血管新生が起きている。
完全に切除することは難しいと思われた。
大学病院へ連れて行くことも考えて、眼に詳しい酪農学園大の小谷教授に相談した。
結局、輸送の負担なども考えて、大学病院は連れて行かないことになったが、小谷先生は角膜手術用のメスを貸してくれた。
角膜の上の腫瘍も特殊なメスでできる限り削り取った(右)。
一部は、止血と再発防止のために焼烙した。
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完全に取りきれたとは思えず、再発は避けられないかと思ったが、再発せずにすんだ。
小谷先生には馬の眼の症例で随分お世話になった。
小谷先生が亡くなってから、眼科で教えを乞うことができないでいる。