ぼちぼち日記

手作りとおはなしが好きなモリーさんのつれづれ日記。

太宰治『きりぎりす』 『御伽草子』

2007-11-01 | 読書
高校3年になってから、やたら本を読むようになった息子。
今までもまあぼちらぼちら、たま~には読んでましたが、読書好きという程でもありませんでした。
何で、いよいよ勉強して欲しいこの時期になって、読み出すかよ~。
そいで、太宰治のことを、「太宰がぁ」なんて、友達みたいな呼び方して、是非読んでみろと、学校の図書館から『きりぎりす』という新潮文庫を借りてきました。
昭和53年発行の、ページが茶色に変色した、老眼鏡かけても読みにくい、ちっこーい文字。

私が「太宰治は、学生時代に読んだ『人間失格』のあまりの暗さに、どよ~んと気分が落ち込んだから、あんまり読みたくないなぁ。」
と言うと、息子も実は、人間失格は10ページほど読んで先に進めなくなり止めたとか。
「でも、これは面白いんだよ、いやぁ、傑作だよ。」
というので、まあ短編集だし、読みやすそうなのだけと思い、読んでみました。

そうしたら、面白いんですこれが。
太宰治、何とユーモアのセンスがあるんでしょう。
『畜犬談』という短編なんて、クスクス、プッ、アハハッ…。
読んでいくうちに、どんどん引き込まれてしまいました。
これ以外の短編も、可笑しくももの悲しく、寂しく切ない、何とも言えない混ぜ混ぜ気分に浸りました。

数日後、もう一つの短編集『御伽草子』も借りてきてもらって、ただ今読書中。
やっと、読書の秋らしくなってきましたわ。

「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」をパロディ化しているのですが、まぁー、今で言う【自虐】的ギャグでしょうか。
生きるのが下手な瘤じいさんや浦島太郎、狸たちは、どう見ても太宰治自身でしょう。何だか、そこまで自虐しなくても、と思いつつも、分かる気がする、自分もそんな気分になるときがあると、はっきり思ったりして、こんなに親近感がわくとはオドロキです。

いいものは、どんなに時がたっても、色あせたりしないんだ。
今はっきり思うモリーなのです。