平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

涙そうそう

2007年01月23日 | 邦画
 洋太郎(妻夫木聡)、カオル(長澤まさみ)の兄妹。
 血はつながっていないふたり。
 お互いを大好きなふたり。
 そんなふたりが、兄妹の距離を保っている所がいい。
 特にカオルは洋太郎に恋愛に近い感情を抱いているが、それを打ち消して必死に葛藤している所がいい。
 やはり葛藤がドラマを作る。
 兄妹愛か恋愛か?
 この入り交じった複雑な感情がドラマの味になる。

 さて、この兄妹。
 当然、洋太郎はカオルと血が繋がっていないことを理解している。
 洋太郎の母はカオルの父と再婚し、小学生の洋太郎はカオルに出会った。
 その後、母は病気で亡くなり、義父は彼らのもとを去った。
 一時は祖母の家に預けられたが、カオルの高校入学を機に自分のもとに引き取った。
 洋太郎は兄として、時に父親としてひたすら妹の幸せを願って懸命に働く。
 一方、カオル。
 実は兄と血が繋がっていないことを知っている。
 洋太郎には知らないふりをしているが。
 そして彼女は怖れている。
 もし、血が繋がっていないことを知っていることを兄に知られてしまえば、兄妹の関係は崩れてしまうことを。
 兄を失いたくない。
 その想いから必死で隠すカオル。
 妹として懸命に振る舞うカオル。

 しかし、わかってしまう時がある。
 洋太郎は彼らを捨てた父親に出会う。
 そして父親は血が繋がっていないということをカオルは既に知っていると洋太郎に語る。
 その事実を知らされて、洋太郎は戸惑う。
 カオルの自分に対する感情を薄々感じていたが、兄妹という関係だから取れていた距離感。それが崩れてしまう。
 兄と妹でいられなくなると考えたふたりはカオルの大学進学を機に、別々に住むことを決心する。
 そして家を出る時、カオルは言う。
「愛してるよ。好きだよ」
 兄として愛しているのか、男として愛しているのかわからない、複雑な「愛している」。
 このドラマのクライマックスだ。
 積み上げて来た心の葛藤が爆発する瞬間。
 洋太郎はふたりの写真の貼り付けられた古いアルバムを渡し、カオルは兄と過ごした家に大好きなウサギのぬいぐるみ(ふたりが初めて出会った時のきっかけの品)を置いていく。
 いずれもふたりにとっては思い出の品。
 兄に背を向けて歩いていくカオルは指で鼻をつまむ。
 これは幼い時、兄に教えてもらったこと。
 涙が出そうな時、こうすると涙が引っ込む。
 この作品、ぬいぐるみと言った小道具や動作の使い方がうまい。
 効果的に人物の気持ちを表現している。

 そして別々に暮らすことになって2年、カオルが成人式を迎えようとする時、もうひとつある事件が起きる。 
 これはネタバレになるので書かないが、少し唐突な感じ。
 2時間という映画の時間にカオルの高校入学から成人式まで5年間を描くのは少しキツイ。
 あと1時間かけて描いていたら、もっと感動的な作品になっていただろう。

 それにしてもこんな立派な兄がいたら、なかなか妹は他の男に恋できないでしょうな。


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2 コメント

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私は読みました (syuku)
2007-02-01 22:42:38
私は映画ではなく本のほうで読んだのですが、かなり気に入りました。ぜひ映画のほうも見てみたいと思いました。
確かに最後のほうは少しやりすぎな感じもしますが、それを差し引いてもとてもいい作品だと感じました。
コメントありがとうございます (コウジ)
2007-02-02 11:27:01
>syukuさん

 コメントありがとうございます。
 本だとどのくらいふたりの気持ちを掘り下げて書いているのでしょうか?
 映像だと小説の微妙なニュアンスはなかなか描くことは出来ないので。
 すごく気になります。
 僕も機会を見つけて読んでみます。
 映画の方は妻夫木聡、長澤まさみ、ふたりとも今、ノっている役者さんだけあって、いい感じを出しています。

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