権力闘争でありもす。
徳川が権力を握るのか、薩摩が握るのかの戦い。
吉之助の立場に立てば、慶喜(松田翔太)は悪であり、徳川の立場に立てば、薩長が悪になる。
歴史とはそういうもの。
立場が歴史の解釈を変え、勝者が自分に都合良く歴史を解釈する。
とはいえ、これを言ってしまっては〝ドラマ〟にならないので、一応、吉之助の立場に立って今回のテキストを読んでいく。
吉之助の視点で見れば、慶喜は〝売国奴〟ということになりますね。
自らの権力維持のためにフランスの援助をあおぎ、国土をフランスに割譲する。
外国の脅威を感じている右派としては〝慶喜はとんでもないやつ〟ということだろう。
吉之助もおそらく同じ考えを持っていて、英国のパークスから援助の話がきた時はこう応えていた。
「日本のことは日本人で解決せねばなりません。
日本はイギリスのものでもフランスのものでもありまへんど」
〝大政奉還〟に関しても従来の大河とは違う解釈。
今までは国を二分する内戦を避けるための、慶喜の英断、坂本龍馬らの働き、といったものだったが、今作では薩長の振り上げた拳をおさめさせるものと解釈された。
今作の慶喜は、帝を頂点とする諸侯の会議の中で実権を握る気まんまんなのだ。
ここで実権を握れば、別に将軍職でなくてもいい、いずれは返り咲けるかもしれない、と考えている。
これに対して吉之助は慶喜の真意を見抜いて、
「これでは何も変わりまへんど。何としても慶喜を討つ」
吉之助は過激派になりましたね。
以前の吉之助は、龍馬(小栗旬)と同じように〝内戦などしている場合じゃない派〟だったのに。
そのために、第一次長州征伐でいくさを収めに行ったし、
京でクーデターをおこなおうとしている薩摩の同志を説得に行った。
吉之助を過激派に変えてしまった原因は何だったのだろう?
この原因がよくわからない。
慶喜のやっていることが売国政策だったからだろうか?
いずれにしても歴史はすべて同じなんですね。
歴史とは権力闘争であり、権力者は自分に異を唱える者を徹底的に叩きつぶす。
家康だって徳川の世を脅かす危険のある豊臣家を滅亡させた。
井伊直弼の安政の大獄、フランス革命の断頭台、ソ連のスターリンの粛正、中国の文化大革命などもそう。
規模は小さいが、安倍晋三は石破茂を叩き潰そうとしている。
吉之助と慶喜の対立・権力闘争。
そんな中、ふき(高梨臨)の言葉がせつない。
「西郷様とひいさまと三人でうなぎを食べる日が来るのでしょうか」
いずれ吉之助は、以前の穏やかな非戦派に戻るのだろうが、火をつけてしまったのは吉之助であり、それは戊辰戦争の悲劇にまで広がっていく。
※追記
今回、描かれた民衆の〝ええじゃないか〟
これは社会学、社会心理学的に分析したいテーマですね。
脚本・中園ミホさんが、どうしてこれを入れたのかも知りたい。
徳川が権力を握るのか、薩摩が握るのかの戦い。
吉之助の立場に立てば、慶喜(松田翔太)は悪であり、徳川の立場に立てば、薩長が悪になる。
歴史とはそういうもの。
立場が歴史の解釈を変え、勝者が自分に都合良く歴史を解釈する。
とはいえ、これを言ってしまっては〝ドラマ〟にならないので、一応、吉之助の立場に立って今回のテキストを読んでいく。
吉之助の視点で見れば、慶喜は〝売国奴〟ということになりますね。
自らの権力維持のためにフランスの援助をあおぎ、国土をフランスに割譲する。
外国の脅威を感じている右派としては〝慶喜はとんでもないやつ〟ということだろう。
吉之助もおそらく同じ考えを持っていて、英国のパークスから援助の話がきた時はこう応えていた。
「日本のことは日本人で解決せねばなりません。
日本はイギリスのものでもフランスのものでもありまへんど」
〝大政奉還〟に関しても従来の大河とは違う解釈。
今までは国を二分する内戦を避けるための、慶喜の英断、坂本龍馬らの働き、といったものだったが、今作では薩長の振り上げた拳をおさめさせるものと解釈された。
今作の慶喜は、帝を頂点とする諸侯の会議の中で実権を握る気まんまんなのだ。
ここで実権を握れば、別に将軍職でなくてもいい、いずれは返り咲けるかもしれない、と考えている。
これに対して吉之助は慶喜の真意を見抜いて、
「これでは何も変わりまへんど。何としても慶喜を討つ」
吉之助は過激派になりましたね。
以前の吉之助は、龍馬(小栗旬)と同じように〝内戦などしている場合じゃない派〟だったのに。
そのために、第一次長州征伐でいくさを収めに行ったし、
京でクーデターをおこなおうとしている薩摩の同志を説得に行った。
吉之助を過激派に変えてしまった原因は何だったのだろう?
この原因がよくわからない。
慶喜のやっていることが売国政策だったからだろうか?
いずれにしても歴史はすべて同じなんですね。
歴史とは権力闘争であり、権力者は自分に異を唱える者を徹底的に叩きつぶす。
家康だって徳川の世を脅かす危険のある豊臣家を滅亡させた。
井伊直弼の安政の大獄、フランス革命の断頭台、ソ連のスターリンの粛正、中国の文化大革命などもそう。
規模は小さいが、安倍晋三は石破茂を叩き潰そうとしている。
吉之助と慶喜の対立・権力闘争。
そんな中、ふき(高梨臨)の言葉がせつない。
「西郷様とひいさまと三人でうなぎを食べる日が来るのでしょうか」
いずれ吉之助は、以前の穏やかな非戦派に戻るのだろうが、火をつけてしまったのは吉之助であり、それは戊辰戦争の悲劇にまで広がっていく。
※追記
今回、描かれた民衆の〝ええじゃないか〟
これは社会学、社会心理学的に分析したいテーマですね。
脚本・中園ミホさんが、どうしてこれを入れたのかも知りたい。
>慶喜のやっていることが売国政策だったからだろうか?
そういうことになると思います。
本作の論理においては慶喜とロッシュとの「薩摩割譲の密約」が決定的だと思います。
ふきが暗にそのことを吉之助に伝え、吉之助はその後の状況証拠からその事実性を確信した。
吉之助にして見れば、慶喜の行動は(「日本人」として)「それだけはしてはいけないこと」についての限界を超えるものであり、慶喜はもはや単なる「敵」レベル以上の「絶対に許すことの出来ない存在」ということになってしまった。
ただ、これで吉之助の変貌とその後の行動(幕府側に対してかなりあくどい挑発をしたりしています)の動機は分かりやすくなるものの、根本前提となる「薩摩割譲の密約」の史実性が気になります。
歴史については常識的知識しか持ち合わせない私には判断しかねますが、少なくとも何か「説」のようなものはあるのでしょうね。
>今回、描かれた民衆の〝ええじゃないか〟
>これは社会学、社会心理学的に分析したいテーマですね。
倒幕派側の工作という説もあるようですね。
ただ、新しい研究ほど発生源が京都から遠ざかり、発生時点が時間的に前になる、つまり自然発生を支持する方向になっているようです。
いつもありがとうございます。
「薩摩割譲の密約」は僕も聞いたことがないです。
毎度の出典になりますが、子母沢寛の「勝海舟」には「北海道を担保にしてフランスから資金を借りた」という表記がありました。
「ええじゃないか」に関しては、討幕派の工作という説があるんですか。
これは面白い。
僕は自然発生説派で、〝民衆の不安・不満〟〝物価高騰〟〝民を顧みない政治に対しての憂さ晴らし〟みたいに捉えていました。
で、薩摩が江戸で騒乱を起こすみたいな工作をやっていたことを考えると、討幕派の陰謀説もうなずける。
あるいは民衆の不満を煽った結果、ええじゃないかみたいなものが生じたのかもしれません。
いずれにしても歴史はドラマのようなきれいごとだけではないんですよね。