平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第3回「策略」~食えない男・真田昌幸、自分の価値を高めるために策略をつかう

2016年01月25日 | 大河ドラマ・時代劇
 真田昌幸(草刈正雄)は食えない男である。
 上杉、北条、そして織田に渡りをつけ、世上がどう転んでも生き残れるようにしている。
 信長が国衆の惣代と認めれば、小県は自分のものになると踏んで策略を練っている。
 そして、上杉から誘いが来ていることを示す密書をわざと奪わせ、信長の関心を買おうとする。

 いはく、
「世の中は何があるかわからん。打てる手は打っておく」
「人は皆、己の欲のために動くのじゃ」
「あれを読んで信長がどう思う? この真田という男、方々から声をかけられている。旨味のある人物に違いない。わしも味わってみたいものじゃ。信長ならそう考える」

 すごくしたたかですね。
 とても「のるかそるかが、わが家の家風」とは思えない。
 しかし、すべては生き残るため。

 生き残るのに必死な人物は他にもいる。
 まずは家康(内野聖陽)。
 潔癖な信長が怒り出すのを怖れて、戦場をきれいにしておくように指示を出す。
 武田の残党がいるかもしれないので、陣の外に出たがらない。
 一方で、武田勝頼の供養をおこなって、武田の残党を取り込もうとする。
 小心で慎重だが、深謀遠慮もある家康だ。

 もうひとり、生き残ることに必死なのは、小山田茂誠(高木渉)。
 茂誠は格好よく死のうなどとは思わない。
 裏切り者の汚名を受けても、地べたに這いつくばっても生きようとする。
 お家のために、名誉のために、あるいは、お国のために死ぬことが美化されるようになったのは、いつからなんですかね。
 やはり江戸時代からかなぁ。
 みんなが下克上で、裏切りや陰謀を企んでいたら、上の者は枕を高くして眠ることが出来ない。
 だから統治のシステム、価値観が必要になってくる。
 戦国時代は、裏切りと忠義が混在していて、忠義への過度期であったように思える。

 さて、このようなしたたかな昌幸とは対照的なのは、信幸(大泉洋)と信繁(堺雅人)だ。
 ふたりはまだ若い。
 信幸は密書の件で簡単に昌幸にダマされてしまう。
 信繁は、純情で、梅(黒木華)への気持ちが自然に出てしまう。
 木の箱に入った櫛と布に包んだ櫛(笑)、高価な漆塗りの櫛と簡素な櫛(笑)
 ふたりとも素直なんですね。
 そして
 信幸の地金は、真面目さ。
 信繁の地金は、やさしさ。
 信繁は足を怪我して歩けないという幼なじみ・きり(長澤まさみ)を自然な気持ちでおんぶした。

 信繁ときりのやりとりは、長澤まさみさんが何かのインタビューで話していたが、現代の若者のやりとりなのだそうだ。
 敢えて戦国時代を意識して脚本は書かれていない。
 これと同じことが、松(木村佳乃)と小山田茂誠夫婦にもあった。
 死んだと思っていた茂誠と出会って、松は大喜びして抱きつく。
 実に現代的だ。
 三谷幸喜さん、随所に現代を入れてくるなぁ。
 これが作品に弾みをつけている。

 人物像の蓄積も出来ていますよね。
 真田昌幸
 徳川家康
 特にこのふたりについては、どんどんデータが視聴者に入っている。
 その描写は具体的かつ魅力的で、視聴者はまた、このふたりに会いたいと思ってしまう。
 母・薫(高畑淳子)も、まだ小袖を隠し持っていて、さりげなく存在をアピール(笑)

 この作品は、キャラクター戦国ドラマ。
 三谷幸喜脚本、縦横無尽という感じだ。


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4 コメント

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少女マンガ (ミキコ)
2016-01-25 12:45:27
きりと梅と信繁のくだりは、「少女マンガだ」と思いながら見ていました。中学男子が気になる女子にプレゼントを直接わたすことができずに、幼馴染の同級生に代理を依頼する…という脳内変換をしてしまいましたよ。きりも本当は信繁を意識しているのに、幼馴染であるがゆえに、複雑な心境になり、信繁におんぶをねだるのも少女マンガですね。あと信幸の「わたしをないがしろに」と父親に本音をもらすのも、そうなんですよね。上の子からは、親って下の子ばかりを気にかけているように映るものなんですよ。うまいなあ。
長男と次男 (コウジ)
2016-01-25 19:53:34
ミキコさん

いつもありがとうございます。
なるほど、あれは少女マンガだったんですね。
パターンと言えばパターンなのですが、戦国時代に持ってくると新鮮に見えますね。

信幸も。
男の子には父親を越えたいという<オイディプスコンプレックス>があるそうですが、信幸も偉大な父親に認められること、父親を越えることに悩んでいますよね。
それは武田勝頼もそうだった。
三谷幸喜さんはもともと演劇出身の方ですから、オイディプス王の古典劇を意識しているのかもしれません。

一方、信繁は、このあたりを次男の立場で整理していますよね。
<自分は兄を支えることを本分としている>
こう割り切っているから、父親越えをあまり意識することがない。
もちろん父・昌幸の姿は信繁にも大きな影響を与えているのでしょうが、長男と次男では背負っているものが随分、違っている感じですよね。
人物像・武士道・現代風 (TEPO)
2016-01-25 20:01:54
>真田昌幸 徳川家康
>特にこのふたりについては、どんどんデータが視聴者に入っている。

私は「平清盛」の前半は忠盛が実質的主人公だと思って見ていました。
同様、本作でも当分は昌幸が実質的主人公だと思いますが、昌幸の場合九度山まで信繁と一緒なので、かなりの期間「昌幸対家康」の両知将の勝負が続くものと予想されます。
そのために二人をしっかり丁寧に描き込んでいるのでしょう。
私にとって昌幸はずっと主人公でいてもらって良いくらい魅力的なキャラです。

>お家のために、名誉のために、あるいは、お国のために死ぬということが美化されるようになったのは、いつからなんですかね。やはり江戸時代からかなぁ。

おっしゃる通りだと思います。
「葉隠」は江戸期になってから山本常朝が戦国武士へのノスタルジーで書いたもの。
「死ぬことと心得たり」が一人歩きし、選ぶことのできない対象に対する忠誠心を強制するイデオロギーとされるのは、さらに近代になってからかもしれません。
戦国時代には、今回出浦昌相が昌幸に示したように、あるいは昌幸やその父親が信玄に示したように、相手に「惚れ込んで」おのれの命運を託すことはあったでしょう。
しかしそれは仕える側が仕える相手の力量を評価して選ぶことが前提されてのことです。
勝頼の運命は家臣側からの厳しい評価に耐えられなかった主君の悲哀を示すものだと言えましょう。

>三谷幸喜さん、随所に現代を入れてくるなぁ。

きりや松の台詞や所作を敢えて現代風にしている点については評価が分かれるかもしれず、もう少し様子を見たいと思っています。
ただ、やや昔風に近い言葉遣いの梅との対比が図られているように思いました。
惚れ込んで命運を託す (コウジ)
2016-01-25 21:07:24
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>かなりの期間「昌幸対家康」の両知将の勝負が続くものと予想されます。

だから、昌幸と家康を毎回、丹念に描いているんですね。
普通なら、秀吉が出てきそうな所ですが、この時は黒田官兵衛と共に中国攻略中?
今回の裏の主役は、家康なんですね。

武士の価値観について、教えていただきありがとうございます。
今、子母澤寛の「勝海舟」を読んでいるのですが、勝が「いつでも死ねるのが武士だ」と語っていて、ずっと気になってたんです。
これが行き過ぎると、近代の強制イデオロギーになってしまうというのも納得で、イデオロギーは程々につき合うくらいがいいんですよね。

>「惚れ込んで」おのれの命運を託す
というのは、どこか古代ギリシャ的ですよね。
男が男に惚れ込んでお互いの命運を託す。
だから武田家の家臣は、信玄には惚れ込んだけど、勝頼はそれほどでもなかった。
武田という家に忠誠を尽くすのではなく、信玄に尽くしていた。
こうなると、小山田たちの裏切りも単なる裏切りではないような気がして来ました。

きりと梅に関しては、今後、どうなるんでしょうね。
特に梅の黒木華さんは本当に上手い女優さんだと思っているので、どんな演技を見せてくれるか、楽しみです。

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