「何つっ立てんのよ!
あなたたち、いいの これで!
お梅ちゃんが……」
一生の思い出になるであろう幸せな祝言の場を策略の場として使われ、血で汚してしまったことへの、きり(長澤まさみ)の怒りである。
きりに言われて、怒れなかった信繁(堺雅人)はがく然とする。
「兄上、私は……。そんな自分が好きになれません。私はどこへ向かうのですか?」
信繁は策略を重んじ、〝心〟を忘れてしまった。
それは、あの母上(高畑淳子)との会話でも。
「好きな女子がおるから一緒になるとなぜ素直に言えんのじゃ。
そなたは弁が立ち過ぎる。よい事ばかりではありませぬよ」
女性たちの自己主張である。
昌幸(草刈正雄)を中心とする男社会は、策を弄して非情なこともする。
信繁もそれが当たり前になり、〝心〟を失っていた。
母・薫に祝言を認めさせるために、自分の気持ちを正直に述べるのではなく、策を使ってしまった。
この作品の女性たちの役割は大きい。
おばばさま(草笛光子)は、以前、信繁にこう諭した。
「思うようにいかぬのがこの世。
大事なのは思うようにいかぬ時、いかに振る舞うか。
源次郎、諦めてはなりませぬ。望みを捨てなかった者のみに道は開ける」(第7回)
梅(黒木華)からは、
「戦って、勝てばそれでいいのですか?
大事なのは、人の命を出来るかぎり損なわないこと」(第9回)
信繁は、昌幸から多くのことを学んでいるが、女性たちからも学んでいる。
特に道から逸れそうになったり、迷ったりした時は、女性が軌道修正してくれる。
今までの大河ドラマは、たとえ女性が主人公であっても、男性論理ばかりでしたからね、おそらく脚本・三谷幸喜さんはこれに違和感をもっている。
男性社会であっても、陽と陰、女性の役割はしっかりあった、と考えている。
信繁はこんなふうにまわりの人たちからさまざまなことを教えられて成長していくのだろう。
彼は決してスーパーヒーローではない。
悩み、迷い、失敗し、さまざまな所に頭をぶつけて生きていく。
そう言えば、この作品の第1回は、信繁の失敗から始まった。
最後は兄上。
室賀正武(西村雅彦)が浜松の家康(内野聖陽)の所に行ったのを問いつめた時のこと。
・肌つやがいい
↓
・うなぎ
↓
・浜松
おおっ、繋がった!
兄上、お見事です!(笑)
※追記
男性論理とは、例えば、こんな感じです。
梅との結婚での、昌幸の反応は、
「これで人質の駒が一つ増えたぞ。ばば様頼りでは心もとないと思っておったのじゃ」
信繁も何の違和感もなく、
「そうおっしゃると思っておりました。梅は体も丈夫、よい人質になります」
信幸(大泉洋)との会話でも男性論理、というかオトコがよくするやつ。
「口吸いどころではないではないか! そんな顔してやる事はやっておるのだな」
確かに! 信繁、いつの間にーーー?(笑)
あなたたち、いいの これで!
お梅ちゃんが……」
一生の思い出になるであろう幸せな祝言の場を策略の場として使われ、血で汚してしまったことへの、きり(長澤まさみ)の怒りである。
きりに言われて、怒れなかった信繁(堺雅人)はがく然とする。
「兄上、私は……。そんな自分が好きになれません。私はどこへ向かうのですか?」
信繁は策略を重んじ、〝心〟を忘れてしまった。
それは、あの母上(高畑淳子)との会話でも。
「好きな女子がおるから一緒になるとなぜ素直に言えんのじゃ。
そなたは弁が立ち過ぎる。よい事ばかりではありませぬよ」
女性たちの自己主張である。
昌幸(草刈正雄)を中心とする男社会は、策を弄して非情なこともする。
信繁もそれが当たり前になり、〝心〟を失っていた。
母・薫に祝言を認めさせるために、自分の気持ちを正直に述べるのではなく、策を使ってしまった。
この作品の女性たちの役割は大きい。
おばばさま(草笛光子)は、以前、信繁にこう諭した。
「思うようにいかぬのがこの世。
大事なのは思うようにいかぬ時、いかに振る舞うか。
源次郎、諦めてはなりませぬ。望みを捨てなかった者のみに道は開ける」(第7回)
梅(黒木華)からは、
「戦って、勝てばそれでいいのですか?
大事なのは、人の命を出来るかぎり損なわないこと」(第9回)
信繁は、昌幸から多くのことを学んでいるが、女性たちからも学んでいる。
特に道から逸れそうになったり、迷ったりした時は、女性が軌道修正してくれる。
今までの大河ドラマは、たとえ女性が主人公であっても、男性論理ばかりでしたからね、おそらく脚本・三谷幸喜さんはこれに違和感をもっている。
男性社会であっても、陽と陰、女性の役割はしっかりあった、と考えている。
信繁はこんなふうにまわりの人たちからさまざまなことを教えられて成長していくのだろう。
彼は決してスーパーヒーローではない。
悩み、迷い、失敗し、さまざまな所に頭をぶつけて生きていく。
そう言えば、この作品の第1回は、信繁の失敗から始まった。
最後は兄上。
室賀正武(西村雅彦)が浜松の家康(内野聖陽)の所に行ったのを問いつめた時のこと。
・肌つやがいい
↓
・うなぎ
↓
・浜松
おおっ、繋がった!
兄上、お見事です!(笑)
※追記
男性論理とは、例えば、こんな感じです。
梅との結婚での、昌幸の反応は、
「これで人質の駒が一つ増えたぞ。ばば様頼りでは心もとないと思っておったのじゃ」
信繁も何の違和感もなく、
「そうおっしゃると思っておりました。梅は体も丈夫、よい人質になります」
信幸(大泉洋)との会話でも男性論理、というかオトコがよくするやつ。
「口吸いどころではないではないか! そんな顔してやる事はやっておるのだな」
確かに! 信繁、いつの間にーーー?(笑)
好きな男が望むようにできる、女を出せる梅。ずけずけと本音はいうが肝心なとこで踏み込めないきり。梅のほうがしたたかで、きりのほうがまだまだ子供ですね。
あと昌行はあれはあれで女房の尻にしかれてますね。
自分の身の回りのものはつかい古したものが多いのに、奥方にはいいものきせてたりしてますし
コメントありがとうございます。
僕も、きり、嫌いじゃないです。
>ずけずけと本音はいうが肝心なとこで踏み込めないきり
可愛いですよね。
実際にそばにいると、面倒くさいかもしれませんが……(笑)
梅は、少し引いて見てみると、したたかですよね。
一歩、下がっているようでいて上手く男を操縦している。
お腹の子でも、梅はそうなるように仕向けたのかも? と勘ぐれないこともない。
おそらく彼女は無意識にそれをやっているのでしょうが、それに乗ってしまう信繁は若いですね。
男はこういう女の子にすぐダマされてしまいます(笑)
母・薫についても確かに。
家康もそうですが、男たちは女性の手のひらの上で転がされているのかもしれません。
もっとも、他ブログを見回すと「きり一人だけがまともなことを言っている」というご意見もありました。この方は「現代人感覚」だと思いました。そして
>きりに言われて、怒れなかった信繁はがく然とする。
ということで、「きり一人だけがまともなことを言っている」という視点を三谷氏自身共有しているようです。
しかし、言葉遣いのみならず意識と行動においても現代的なきりは、少なくともこの物語世界では異分子([タイムスリップしてきた現代娘])と言わざるを得ません。
三谷氏は現代人感覚と戦国マインドとを媒介する存在として構想しているのかも知れませんが、かなりリスキーな感じがします。きりがウザすぎるので見るのをやめた、という視聴者もいるそうですので。
時代劇を見慣れていて、戦国マインドにモード変換してしまった人の目には、きりは戦国女性失格(「ウザいぶち壊し女」)としか見えません。
・信幸に「向こうに行っていろ。居られては困るのだ」と明確に命じられているのに、無視して平然と居座っている。何様なんだ。きりはけっして「姫君」ではない。家老とは言え家臣の娘で、城内にいるのも侍女の資格でのこと。主筋の嫡男の命令には一も二もなく従うはずではないのか。
・せめて信繁の目に触れないところで事を運ぼうという大人たち、特に信幸の心遣いを完全にぶち壊してしまった。信幸の妻が夫の命にしたがい病身を押しての涙ぐましい踊りで信繁を引き留めていたというのに。わざわざ広間に飛び込んで、新妻を差し置いて信繁の手を引いて殺害現場まで連れて行くとは何といらぬことをするのか。
女性視聴者であっても「あ-あ」だと思います。
こうしたきりが「信繁の生涯のパートナー」(公式HP)となるにはどのような仕掛けがあるのかは興味津々です。
ところで、今回文句なしに「格好良かった」のは出浦昌相。
徳川の刺客二人をそれぞれ一刀のもとに斬り伏せ、室賀が足に隠し持っていた武器で昌幸に襲いかかろうとするところを手裏剣で阻止する殺陣の見事さ。
前回は、昌幸に「惚れ込んで」自ら家臣となることを申し出ていた場面も良かったと思います。
この人は忍びの元締めのようですが、かなり前に「忍びは戦では死なない。忍びが死ぬのは信用を失ったときだ」といった趣旨の台詞を残していたのが印象的でした。忍びは策謀をこととするので、むしろ根本的なところでの信頼関係こそが生命だ、ということでしょう。
信が置けて腕も立つ。昌幸にとって、また視聴者にとって、何とも頼もしい存在だと思います。
いつもありがとうございます。
きりはバッシングを受けているようですね。
確か『功名が辻』の時の長澤まさみさんの役も嫌われていましたが、長澤さんも大河では役に恵まれていない?
きりは、おっしゃるとおり「現代人の感覚」の人物なんですよね。
三谷さんもそれを意図している。
この作品が始まる前の土曜日のスタジオパークに長澤さんと堺さんが出ていて、そのようなことを言っていました。
TEPOさんが上げられていた視聴者の違和感の2点に関しては、
・傷心のきりが歩いてきて偶然、遭遇してしまう。
くらいでもよかったかもしれませんね。
・きりが信繁を連れてくる所は、今回のドラマの胆なので外せないと思いますが。
本当にドラマって難しい。
でも、賛否両論があるくらいのキャラの方がいいのかもしれません。
信幸に関しても、カッコいいイメージを持っている人は、NHKに抗議のメールを送ったらしいですし……。
出浦昌相に関しては、「忍びが死ぬのは信用を失ったときだ」ということなので、その逆で命を落とすのでしょうか。
これも土曜スタジオパークネタですが、演じられている寺島進は三船プロでかなり殺陣を勉強されていた方なのだそうです。
なので、今回のふたりの徳川の刺客を斬る技はあざやかでしたね。
というか、紫式部や清少納言なんかみるかぎり女性メンタルが時代によってそんなに変わってるようには見えないし
逆に、いかにも時代劇にでてくる戦国マインドとか戦国の女とかって没個性で嘘臭く見えるんですよね、テンプレがきまっててステレオタイプになってるし。
>時代劇にでてくる戦国マインドとか戦国の女とかって没個性で嘘臭く見える
>テンプレがきまっててステレオタイプになってるし
確かに。
戦国女性のステロタイプばかりが登場していたら、つまらない作品になってしまうでしょうね。
それだったら、歴史書を読めばいい、という話になる。
まあ、ポイントは現代的なるものと、どれくらいブレンドさせるかということなんでしょうけど、それだと結局は面白みのないキャラになってしまいますよね。
作家さんには、視聴者が100%満足する人物などあり得ないわけですから、自分のプランを貫徹してほしいですよね。
それが作家性にもなるでしょうし。