平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

親指さがし 山田悠介

2007年03月30日 | 小説
 オーソドックスなホラー小説。
 オーソドックスというのは、パターンに沿って物語が描かれているからだ。
 そのパターンとはこう。
★主人公のまわりで起こる怪異な現象・殺人事件。
★その原因を追う主人公。
★その原因は過去に起こった陰惨な事件の被害者の怨念。
★その原因がわかり事件は解決したかの様に見えたが、怨念は続いていて……。

 「リング」から始まるこの物語のパターンは「呪怨」、そしてこの作品「親指さがし」まで連綿と受け継がれている。
 小説の一読者としては少し辟易。
 マンネリの感が否めない。
 この物語の場合、子供の頃、戯れで行った「親指さがし」という幽体離脱をもたらすゲームが原因となって連続殺人事件が起こるというものだが、「親指さがし」という衣装をまとっているだけで本質は他の類似作品と何ら変わらない。
 主人公のまわりの人間が殺していく犯人は主人公の友達で悪霊に取り憑かれた由美だが、(悪霊に取り憑かれたとはいえ)犯人が人間である分、呪いのビデオや呪いの着信音の様な怖さはない。
 あとのこういった作品の怖さといえば、悪霊がどの様な怨念を抱えて死んでいったかだが、これも実にオーソドックス。それはある狂人の殺人犯が屋敷に忍び込み殺された少女の怨念。
 このパターンのホラー小説の場合、この怨念の部分をいかに怖く描くかが作者の腕の見せ所なのだが、単なる狂人の殺人で終わらせてしまっている。現代社会であれば、もっと人の心の闇を描けるはずだ。
 唯一、ひとひねりしているなと思える点は、『狂人の殺人犯が体をバラバラにし、理由はわからないが左手の指を切断してどこかに隠していること』『それがゲーム「親指さがし」に繋がっていること』の2点だ。
 また、この作品、主人公があまり魅力的でない。
 一応、事件を追う動機は悪霊に取り憑かれ8年前、行方不明になった由美を探しだすというものであるが、8年前の事件になぜ今頃固執するかが見えて来ない。そして主人公はどこにでもいるような普通の少年だ。

 この作品、映画化までされて期待をもって読んだ作品だったが、何ら新しさを見出せずに読み終えてしまった作品だった。
 そろそろ作家さんは「リング」の亜流のホラー作品はやめて、新しいホラーを生み出してほしい。
 もっと人の心の闇を描き出してほしい。



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