平成エンタメ研究所

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八重の桜 第31回「離縁のわけ」~だんな様には、赤い櫛が似合っていた頃の私を憶えておいてもらいてえ

2013年08月05日 | 大河ドラマ・時代劇
 しっかり<ドラマ>になっていましたね。
 今までのは、「むかしむかし、会津でこういうことがありました」っていう<物語>って感じだった。
 やはりドラマは人の気持ちを描かなくては。

 人の気持ちという点では、まずは尚之助(長谷川博己)と山川浩(玉山鉄二)。
 尚之助は藩のために罪を被り、妻のために離縁を決意した。他人のために身を捨て、困難を甘んじて受けるその姿は、潔くて穏やか。
 一方、山川はそんな尚之助の思いを理解して、非情な決断をする。「鬼だ! 鬼だ、俺は!」と慟哭する。
 尚之助の<静>と山川の<動>が対照的だ。

 うら(長谷川京子)も深く描かれた。
 覚馬(西島秀俊)が生きていることを知って喜ぶうら。
 しかし、手紙を持って来た若者の歯切れが悪いのに気づいて「誰かいい女性(ひと)がいるのですか?」と尋ね、時栄(谷村美月)の存在を知る。
 桶に張った水に自分の顔を映して、覚馬からもらった赤い櫛で髪を整えるうら。
 そして別れを決意。
「嫉妬、恨み……、そんな情けない姿をみねに見せられねえ」
「だんな様には、赤い櫛が似合っていた頃の私を憶えておいてもらいてえ」
 前者は<武家の母親>としての気持ち、後者は<ひとりの女性>としての気持ち。

 やはり人の気持ちをしっかり描くには、これくらいのシーンの積み重ねと尺が必要なんですね。
 ところが『八重の桜』は、あれもこれもと人物を出し過ぎて、結果として個々の描写が薄くなってしまう。
 これがこの作品の弱点。
 そして、それが顕著なのが八重。
 尚之助から来た離縁状もあっさり受け入れてしまうし、尚之助とのシーンは鉄砲に関することばかりで、夫婦生活はあまり描かれていない。
 同じ脚本・山本むつみさんが書いた『ゲゲゲの女房』では、あれだけ夫婦がしっかり描かれたのに。

 とはいえ、『京都編』は面白そう。
 今まで、ただ存在しているだけだった娘のみねもしっかり感情を持ち始めたようだし、やはり、人の気持ちを描くのがドラマだと思う。

 あと面白かったのは、八重たちと時栄の対比。
 八重たちはボロボロの着物を着ているのに対し、時栄は上等な着物を着ている。
 また、八重たちはゴツゴツした会津弁で、時栄はやわらかな京都弁。
 京都の家の造りも、こぢんまりとしているが、落ちついて洗練された感じがする。
 ここに描かれているのは、会津と京都の対立、違和感であり、時栄との反目。

 会津人の八重が京都でどのように変わっていくか楽しみです。



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6 コメント

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敢えて軽くしてある (TEPO)
2013-08-05 22:26:24
何度も書いていますが、私は「見ていて辛い」重い話は大の苦手です。
そうした私は、今回の話が会津戦争編よりも辛くなることを覚悟して見ていました。愛し合っている筈の夫婦の絆が壊れる様は死別よりも辛いものがありますので。
しかし今回の話、尚之助・八重、覚馬・うら、さらには梶原平馬.二葉までも加えた離縁オンパレードでしたが、意外にも私でもそれほど辛くない味付けでした。
尚之助の離縁状は彼自身が選んだ自己犠牲の道に八重を巻き込まないための愛情-そのことを八重は知らないが-の徴。
少し弱い感じはしますが、平馬の件も一応「二葉のためを思って」という形になっています。
もっとも、唯一うらが可哀想-裏返せば覚馬がいささか許しがたい-というのが、男女平等・一夫一婦的な現代人の価値観にもとづく感想でした。
覚馬の失明、そしてそうした彼を時栄が献身的に支えたところが情状材料なのですが、使者となった覚馬の弟子は時栄の存在まで明かした以上、なぜそのことを話さなかったのか、と思いながら見ていました。

前々から感じていたことですが、おそらく作者は私のようなタイプの視聴者が「脱落しないように」と配慮しているのではないかと思います。
前回をめぐる英さんとコウジさんとのやりとりにもあった通り、敗戦直後の会津の人々の「どん底」からドラマを引き出すことを敢えてせず、ただ「会津の悲惨」のサンプルとしてお千代を登場させるに留めている点。
今回さえ辛抱すれば話は前向きになると言わんばかりに、3組の離縁話を一挙に「片付けようと」している点。
そして毎度おなじみの「幕末編客観叙述」も。

また「客観叙述」で特に新政府側の人間を悪役にしなかった点は、今後八重も新政府の人たちと関わりながら生きることになるからだと思います。

>尚之助とのシーンは鉄砲に関することばかりで、夫婦生活はあまり描かれていない。
これも、夫婦生活については新島襄との関係に重点をおくために敢えて「あっさり」した描写にしているようにも思われます。

ただ、こうした私の推測が正しいとするならば、やはりバランス的に幕末編が長すぎたと思います。

>あれもこれもと人物を出し過ぎて、結果として個々の描写が薄くなってしまう。

この点、政治状況への言及は大奥に影響を及ぼすことのみにみに絞っていた「篤姫」は見事でした。
幕末ファンの囂々たる非難をものともせず、幕末もの定番エピソードの大半を思い切りカットしていました。
群像劇 (高木一優)
2013-08-05 23:04:18
「八重の桜」の最大の魅力は群像劇だということです。
群像劇って、少説なら大長編になりますし、映画なら3、4時間の作品になってしまう。TVドラマとしては面白いのですが、感情移入がしにくいのが難点ですね。
でも、私は群像劇が大好きなんですよ。

群像劇ではそれぞれの人物の内面を掘り下げることはしません。小さな表層を積み重ねることでテーマを隠し絵のように浮かび上がらせるという手法になります。歴史劇の場合は矛盾が顕になってきますよね。
八重は主人公ではるが群像の一人に過ぎない。ほんとうの主人公は歴史という大河であり、一人ひとりは大河の一滴に過ぎない。ただ、それはかけがえのない一滴である。
大河ドラマであるからこそ、描いてほしい大きなテーマだと思います。
京都編に期待 (コウジ)
2013-08-06 09:36:52
TEPOさん

いつもありがとうございます。

古いドラマ感覚を引きずっているせいだと思いますが、今回感情移入したのは<うらの離縁話>なんですよね。
これだけがしっかり<ドラマ>になっていた。

八重と尚之助の話は、真実が明かされる後日談があとで描かれれば、それなりのドラマになるんですが、大事なこだわりポイントをスルーしてきた今までの『八重の桜』を見ると、はたしてどうなるか?

幕末編はおっしゃるとおり長すぎましたね。
今から考えると、照姫のエピソードも覚馬が長崎に鉄砲を買い付けに行くエピソードもあまり意味がなかった。ナレーションで描けば済んだ話。
京都編は八重が主人公として機能しそうですし、残り話数が少ない分、凝縮されていいドラマになりそうです。
というより、そうなるように期待したいですね。
最後の1ピース (コウジ)
2013-08-06 09:46:09
高木一優さん

いつもありがとうございます。

おっしゃるとおり、この作品は群像劇ですよね。
物語の視点が、主人公だけに留まらずいくつもある。
いくつもあるというより、登場人物分ある。
なので感情移入しにくい。

この「大河の一滴」の人々に共通するものは何でしょうね。
<激動の時代に対して、自分の思いに真摯に忠実に生きた>ということでしょうか。
この作品はジグソーパズルのようなもので、最終回に最後の1ピースがはめ込まれるまで、全体のテーマは見えて来ないのかもしれませんね。
史実の山本覚馬(政治思想) (Unknown)
2013-08-10 06:12:02
山本覚馬建白(管見)
「時勢之儀ニ付拙見申上候書付」
冒頭文訳文

①先日、薩摩藩の渕邉直右衛門殿に既に申し上げているが、自分は国家の為に尽くしたいと思っています

②勝海舟は薩摩藩と長州藩に罪は無いと幕府に上申していました

③会津藩も私他3名が同様の意見を申し立てたが、幕府は情報に疎いので通りませんでした

④其の後、土佐藩から王政復古の建白がされたが薩摩藩も同じ意見だったでしょう

⑤徳川慶喜公と我が主君は情勢をよく知っていたので皇国の体制を一新して再び皇国を盛り立てる機会と思って政権を返上しました

⑥しかし、幕府の役人や会津の士分は井の中の蛙なので、因循姑息にも自分勝手な論を喚き立ててしまったのです

⑦幕府の人達は軽佻浮薄な軟弱者
一方、我が会津藩は山野に生育して頑なで凝り固まった風俗

⑧薩摩藩の様な九州の大国では世界の情勢にも素早く反応して公明正大な卓見も出されるものを

⑨王政復古の大号令が出されて会津藩士や幕臣の視野の狭い人達が不穏な情勢を察して大阪に下ると、官軍と接触してしまい騒然となった事は大罪で、慶喜公に今1度の政権復帰への願望があった為と思われます

⑩其れも国を憂える余り遣った事なので幕府をお疑いにならぬ様、又会津藩や桑名藩を憎しむ事との無い様お願いします

万国公法の様に公明正大なお取り計らいをして下さい

この建白を捨てないで下さい

尚【管見】は覚馬オリジナルではなく、福沢諭吉【西洋事情】の焼直し

情報ありがとうございます (コウジ)
2013-08-10 08:40:25
情報ありがとうございます。
ドラマ本編のせりふでは「会津に罪はねえ!」のみでしたが、こういう考え方が背景にあったんですね。
でも、<みんな悪くない>というのは現実の政治では許されず、誰か敵を作らずにはいられないんでしょうね。
あとは<井の中の蛙><因循姑息><頑なで凝り固まった>というのはマイナスに作用しますね。
まるで現在の自民党の一部の政治家を見ているようです。

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