平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

八重の桜 第39回「私たちの子ども」~罪のなか人間なんち、おっとごわすかい

2013年09月30日 | 大河ドラマ・時代劇
 人間というのは簡単に理解し合えないもの。
 冒頭のスタークウェザー先生と女生徒たちがそうだ。
 一方は淑女になるためのマナーを教えたいと思い、一方は男性並みに学問をしたいと考えている。
 お互い生きてきた文化や風習も違う。

 八重(綾瀬はるか)と薩摩の女学生・小松リツ(大後寿々花)の場合はもっと複雑。
 会津VS薩摩という仇敵同士。
 おまけに八重はリツの父親を殺している。

 さて、このふたりはどのようにして心を通わせていったか?
 まずは<痛みの共有>。
 お互い、戦争で肉親を亡くした者同士という共通の痛みがふたりの距離を縮める。
 そう、悪いのは個人ではなく、戦争なのだ。
 しかし、八重の場合は少し事情が違う。
「いや、私は違う。私は戦ったんだから。人を撃ったんだ、会津のために弟の仇を討つために戦った。迷いはなかった。私の父はなじょして死んだ。弟の三郎はなじょして殺された。そう、思っていたけんじょ、私は同じ罪を背負っている。この罪は決して消えることはねえ」
 いくさに巻き込まれた庶民よりも自分の方が罪が重いと八重は考えているのだ。
 これに対し、リツは歩み寄る。
「じゃっとん、罪のなか人間なんち、おっとごわすかい」
 <人はみな罪人(つみびと)>。
 この点で繋がろうとするリツ。
 そして
「先生、あたいの看病をしっくいやって、命おば救ってくいやって。ありがとなし」
 最後の「ありがとなし」が会津の言葉だとすると、リツの最大の感謝の表れと言える。

 リツが少し物分かりが良すぎる気もするが、自分の罪を認めて謝罪し、必死の看病をした八重に心を動かされたのだろう。
 キリスト教信仰も影響していたかもしれない。

「人はみな罪人」
 あるいは襄(オダギリジョー)が言った
「あなたは私たちの子ども」
 こういう気持ちを皆が持っていたら、世の中はもっとやさしくなるはずなのですが、現実はなかなか上手くいかない。
 どうしても<怒りには怒りを><憎しみには憎しみを>で対応してしまう。
 八重たちのような<やさしさからやさしさが生まれる>連鎖が行われるといいのですが……。


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「新島」八重の物語 (TEPO)
2013-09-30 21:18:52
帰国しましたが、まずは最新回から。

最近、ようやく「幕末編」での「客観叙述」の意味が分かってきたような気がします。
それは、本作の主人公はあくまで「新島」(=キリスト教的教育者)八重であって、「山本」or「川崎」(=鉄砲を撃つ女戦士)八重ではないということによるのだと思います。
だから本作は最初から「敵味方」を越えた視点で出来事を描き、「女戦士」八重の活躍についても-おそらくは史実よりも-抑えた描写にとどめていたのでしょう。
今ようやく、作中の八重は作者が設定した「敵味方を越えた」地平に追いついてきたわけです。
しかし重要なのは、江や兼続のような嘘で固めた「平和主義者」とは違い、幕末編の八重は「敵味方の論理」の只中に生き、怒りに燃えて敵と闘い、実際に敵を殺めていることです。
「(殺人の道具である)鉄砲を撃つヒロイン」という問題性には、コウジさんはじめ多くの方々が早くから引っ掛かりを持っておられました。
小松リツという人物はおそらく虚構だと思いますが、八重自身を「父の仇」としてリツの前に立たせることによって、作者は今ようやくこの問題性に正面から取り組もうとしたのだと思います。

>リツが少し物分かりが良すぎる気もするが

たしかにそうですね。
おそらくリツはすでにキリスト者であるのか、あるいはキリスト者となろうとしている人物だから

>罪のなか人間なんち、おっとごわすかい

という言葉が出てくるのでしょう。
しかしながら、「赦し」ということはキリスト者にとっても大きな課題だろうと思います。

ともあれ、今回で八重は完全に「新島」八重に脱皮しきった感じです。
脚本家交替? (コウジ)
2013-10-01 08:31:11
TEPOさん

帰国されましたか。お帰りなさい。

おっしゃるとおり、八重がやっと主人公になりましたよね。
物語も八重視点で描いていますし。
一部報道では、脚本が山本むつみさんから吉沢智子さんに変わったと報じられていますが、これも影響しているのかもしれません。
今まで客観描写で描いてきた山本さんが製作側から、八重の主観で描くように迫られ、脚本家変更を余儀なくされたのではないかと憶測もしてしまいます。

脚本としては吉沢さんの方がオーソドックスですよね。
TEPOさんも例にあげていらっしゃいましたが、「鉄砲を撃って人を殺すこと」について、八重の心の葛藤を描くのがオーソドックスなドラマ作り。

逆に山本さんの手法で最後まで描いていたら、どんな作品になっていたかも気になります。
Unknown (ubega)
2013-10-01 12:39:01
黙れこら!
どうせお前の言う「やさしさ」は
反日朝鮮人や中国人に対する
「やさしさ」だろうが!!
ふざけんな!
今に時代は (コウジ)
2013-10-01 19:26:15
ubegaさん

いったい、この記事のどこからこういうコメントが出て来るのかよくわかりません。
ubegaさんの文脈にお答えするのなら、権力の犠牲になった庶民(八重やリツ)に対する「やさしさ」でしょうか?

僕は、中国、韓国、そして日本の権力者を信用していませんし、やさしくしてはいけないと思ってるんです。
だから今回の西郷や領民を悲惨な目に追いやった松平容保の考え方には違和感を覚えたりもしています。

それに今の時代、右翼、左翼って分け方はもはや時代遅れだと思いますよ。
たとえば「復興は不要」と発言した経産官僚には、ubegaさんの立場でも批判しますでしょう?

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