平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

結婚できない男 第5回

2006年08月02日 | 恋愛ドラマ
   1
 今回は「家に人を入れないで悪いか」。
 信介(阿部寛)にとって家は自分自身。
 人が家に入ってくるということは自分の心の中に入られること。
 信介は他人が自分の中に入って来て、心乱されたくない。
 整然と物が置かれた(冷蔵庫の中のわさびのチューブまで)家と同じように自分の心の中の秩序を乱されたくない。
 面白い舞台作りだ。
 作り手は人物がどんな家に住んでいるかは十分考えるものだと思うが、住んでいる所までをドラマにしてしまう作家はなかなかいない。

 今回はそんな信介の家に踏み込んできた人物がいた。
 夏美(夏川結衣)だ。
 これで夏美が信介の心に入ってきたことを象徴的に語った。
 実にうまい。
 ただ、夏美が入ってきたのは医者としての使命感から。
「なぜ、入ってきた?」と問う信介に「あなたがプロの建築家なら、あたしはプロの医者です!仕事させてください」と強く乞う夏美。
 それは医者としての顔。
 そして、ここがポイント。
 友人でも恋人でもなく医者として入ってきた。
 ふたりの関係やいかに?
 夏美が信介を違った対象として見るようになるには、もうひとつ劇的なものが必要な様だ。
 それが何であるかは楽しみ。

   2
 これまでも書いてきた様にこのドラマは、すべて今までのドラマの反対をしている。
 病気の信介に夏美はロールキャベツを作る。
 普通のドラマならここで感激。
 しかし、信介は言う。
「塩味がきつすぎる。しかも煮込み過ぎだ。これじゃあ、あの女結婚できないな」
 脚本の尾崎さんはかなりへそ曲がりだ。
 へそ曲がり過ぎて、人物のリアクションの予想が出来ない。
 それが見る者を釘づけにする。
 これからの作家さんは視聴者の予想がつかないことをやらなくてはならない。
 ひとつ前の枠の「ダンドリ!」は展開の予想がつくというか、安易。(青春物だからある程度のストレートさは仕方がないが)
 例えば、
 雨が降って演劇発表会が出来ない→待って下さいという主人公→旅館の宴会場でやることに。
 小道具の使い方もそう。
 スタミナドリンクの差し入れ→ロミオとジュリエットの公演・薬瓶がない→スタミナドリンクを手渡しで渡す。
 一方、「結婚できない男」の小道具の使い方はすごい。
 例えば牛乳。
 信介が倒れて牛乳がこぼれる→それに気づいた犬のケンちゃん→ケンちゃんが信介の部屋の方を見ているので信介が倒れてしまったのではないかと思うみちる(国仲涼子)と夏美、英治(塚本高史)。
 すごいひねくれ方だ。
 夏美が部屋に入れる条件にするUSBメモリーの使い方もうまい。
 今の時代、予想外のリアクションをする主人公やドラマが受けている様に思う。
「マイボス★マイヒーロー」もそう。「マイボス」は突飛すぎるが、「結婚できない男」はリアリティに少し味付け、誇張した裏切り方だから、オトナの鑑賞にも耐えうる。

★追記
 信介は主婦に喜ばれる家のデザインをする。
 これは家庭を否定している信介の気持ちの裏返しかもしれない。
 彼は実はあたたかい家庭を求めている?


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