平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第9回「命の値段」

2010年03月01日 | 大河ドラマ・時代劇
「簡単に命を捨てるのはもったいないがじゃ」
「必ずおまんが生きる場所があるぜよ」
「おまんは罪を背負うて生きていくことになるが、卑屈になるな。堂々と生きや」

★龍馬(福山雅治)によって救われた山本琢磨(橋本一郎)の命。
 龍馬紀行に拠ると、琢磨は箱舘に渡り、キリスト教に目覚め、日本で最初の司祭になったとか。
 神田のニコライ堂を造ったのも琢磨。

 このエピソードを聞くと、人はどんなにどん底でも<生きるべき>だと思いますね。
 江戸を離れた琢磨のその後は描かれませんが、それが孤独と後悔のつらい道のりだったことは想像できる。
 どん底から雄々しく立ち上がった強さも。

 琢磨はおそらく心の強い人物だったのでしょう。
・酒の上での何気ない過ちから故郷の父母などすべてを失ってしまったこと。
・信じる半平太(大森南朋)や仲間に迷惑をかけてしまったこと。
・切腹せず逃げた武士としてあるまじき行為。
 それらを背負って生きていく人生はあまりにもつらい。
 そんな琢磨はキリスト教によって救われたのでしょうが、何とあっぱれな人生!
 道の途中で酒に逃げたり、挫けたりしたこともあったでしょうが、最終的にはゴールに向かってまっすぐに歩いた。
 この作品で描かれて、また新しい幕末の人物を知った。

★どん底と言えば、弥太郎(香川照之)もそう。
 投獄。
 世の中の理不尽、世に受け入れられない憤り。熱い想いは空回り。
 だが、この人も強い。
 父親が瀕死の重傷を負ったと聞けば、江戸での生活を投げ出して帰ってきたことでも分かるとおり、弥太郎は曲がらない。
 そして真剣に生きていれば、琢磨がキリスト教に出会ったように、大切なものに出会うんですよね。
 弥太郎は<商い>に出会った。
 エネルギーの噴出先が見つかって、弥太郎は大きく飛躍していくに違いない。

 琢磨と弥太郎、僕はどん底から這い上がるこういうたくましい人物が大好きだ。力を与えてくれる。

★一方、半平太(大森南朋)。
 まだ琢磨の処分に迷う分、<鬼>にはなりきれていない。
 龍馬の意見も聞くし、龍馬が逃がしたことに怒り狂わない自分を持っている。
 本当の狂信者なら、琢磨を何の躊躇いもなく殺すだろうし、龍馬にも斬るように仲間に言う。
 これから彼はもっと変貌していくのだろうが、道を歩きながらも、道端の<一輪の花>を愛でる心は大切だ。
 確かに高い山に登るには、脇目も振らず山道を進むことが必要なのだろうが、頂上に登れなかった時は何もない人生。
 あるいは仮に頂上に登ったとしても、見える風景はどの様なものなのだろう。

★そして龍馬。
 大きな時代の流れの中で戸惑い、違和感を感じている。
 目の前に起こった出来事に対し、「簡単に命を捨てるのはもったいないがじゃ」「必ずおまんが生きる場所があるぜよ」と龍馬らしいリアクションは出来るが、あくまで受け身で自分から歩いてはいない。
 真の自分を見出すにはまだ時間が掛かりそうだ。

 そして佐那(貫地谷しほり)への対応。
 あれは可哀想だ。
 佐那の二年半。
 料理を学び、お茶や生け花を学び、毎日龍馬のことだけを考えていたはずだ。
 一方、龍馬は二年半、佐那のことなどほとんど考えていなかっただろう。
 なのでこう言いたい。
 龍馬、佐那さんが、この二年半、どんな思いで過ごしてきたかを考えろ!
 がんばれ、佐那!!
 シナリオ的には、佐那の二年半を具体的に描写することなく、行間で想像させてしまう所がすごい。



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沢辺(山本)琢磨神父 (TEPO)
2010-03-01 14:30:17
>琢磨は箱舘に渡り、キリスト教に目覚め、日本で最初の司祭になったとか。

琢磨は流浪の末、箱館(現・函館)の宮司沢辺悌之助の婿養子となり沢辺を名のります。ニコライ神父との最初の出逢いは、神官・攘夷論者として「ニコライを斬ることも辞さず」という緊迫したものだったそうです。
彼がニコライの教えに心服して受洗した1868年は、名乗り出るのが早すぎた長崎の潜伏カトリックに対する迫害(浦上四番崩れ)が苛酷さを増していた時期でもあり、信仰を公言するに至った琢磨も捕縛・投獄を繰り返すようです。
日本で「キリスト教」と言えば西方キリスト教(カトリック・プロテスタント)であり、特に明治のキリスト者と言えば内村鑑三などプロテスタント系の人物しか知られていない中、東方正教会と出逢い、キリシタン禁教以来東西教会を通じて初の日本人司祭となった琢磨は近代日本キリスト教史における隠れた重要人物です。

恋愛パートに関して言えば、予想通り佐那に関しては完全な無自覚で、加尾に関しては真剣であったが今後引き裂かれる、ということのようですね。当初私が理解した人物像通りでぶれはなく、倫理的には納得しましたが、客観的には女性泣かせの「罪作りな」男ですね。
重太郎のあまりに「臭い」「支援」が微笑ましく思われましたが、彼の台詞なども
>佐那の二年半を具体的に描写することなく、想像させてしまう
ことにさりげなく貢献しているように思いました。
ロシアとの関わり (コウジ)
2010-03-02 12:08:49
TEPOさん

いつもありがとうございます。
沢辺(山本)琢磨とはそのような人物だったんですか。
東西冷戦のせいか、戦前の仮想敵国だったせいか、日本とロシアの関わりって、あまり描かれませんよね。
日本史の授業でも内村鑑三は扱われても、沢辺琢磨はクローズアップされない。
今後もっと描かれていい素材ですよね。

また、以前、函館に旅行に行って元町の教会に魅了されたのですが、今回のエピソードを知っていれば、違った目で見られたのにと残念に思っています。

恋愛話については
>佐那に関しては完全な無自覚
だったんですね。
恋愛の対象として意識されていなかった。
「竜馬がいく」などを読むと、龍馬と佐那は結構いい感じなので、この作品では少し違った解釈をしているようですね。
また次回は加尾との悲恋になりそうですが、加尾がダメになったから佐那に目が行くなんてことになるんでしょうか?
恋愛ネタ (Nolly Chang)
2010-03-02 18:47:22
この「龍馬伝」では、加尾が初恋の人として確固たる地位を占めるのかな。
それも一つですね。
司馬さんの「竜馬がゆく」では、加尾に相当するお田鶴様は、上士の娘であこがれのお嬢様という感じでしたから、さな子ともいい雰囲気になってよかったのですが・・・。
ただし、このままでは佐那がかわいそうすぎるので、江戸でもう少し龍馬の心が傾くことがあってもいいなぁと思います。
福山龍馬ならではの見どころで、わくわくします。
作家の腕の見せ所 (コウジ)
2010-03-03 11:32:20
Nolly Changさん

いつもありがとうございます。
佐那との恋愛は今後どう描かれるんでしょうね、
龍馬の心が佐那に傾くことがあったとしても、その後に悲恋があるわけで、うまく描かないと龍馬が視聴者の共感を得られない主人公になってしまう。
かと言って、このままではおっしゃるとおり、佐那がかわいそうで。
作家の腕の見せ所ですね。

また龍馬の結婚(お龍さん)をどう見せるかもポイントですね。
福山龍馬ですから、Nolly Changさんを含む全女性視聴者が納得する相手、結婚でなければならない。
この人なら結婚しても許せるみたいな。
この点でも作家の腕の見せ所ですね。

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